【エッセイ】母の日の小さな花束
近所のスーパーに買い物に行った時のこと。
小学生くらいの女の子が、待ち合わせていた母親に、小さな花束を渡す場面に出会った。
恥じらう女の子。
驚きとともに満面の笑みを浮かべる母親。
ふたりは二言三言言葉を交わし、近くにあるフラワーコーナーへと向かった。
店員に声をかけ、頭を下げる母親。
「大丈夫です」と照れくさそうな店員。
「このお金で花束は買えますか?」という女の子の依頼に、店員は母の日のプレゼント用に、色を付けて花束を作ってあげたのだろう。
そうして母親は、花束とその子の小遣いが不釣り合いで、そこに花屋さんの善意を感じたのだろう。
母親の感謝は、わが子だけでなく、店員にも向けられたのだった。
これらはあっという間の出来事だったが、そこには親子の愛があふれていた。
そうしてふたりに寄り添う店員の心遣いが、母の日に、まさに花を添えたのだった。
実話です。