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[Z-E-R-O]  作者: 村岡凡斎
覚醒編
7/125

    [D]


――――  4  ――――




「…どうしてよ…」


目と鼻の先に敵が迫っている。

だというのに、金髪の戦士は眠りから覚める、その気配すら感じさせない。


「なんで目覚めてくれないの…?ねえ…」


少女の悲痛なつぶやきは、次第に叫びへと変わってゆく。


「…目覚めて!目覚めてよ!お願いだから!ねえ!助けてよ!お願い!助けて!私を…」


――――世界を…。


しかし


少女の懇願虚しく、依然、英雄は未だ神話の中で眠り続けていた。


「…どうして…」


数多くの大切な仲間達を失い


一番の親友までもが命を懸けたというのに


それでもまだ犠牲が足りないというのか



――――…これは…罰なの?


すぐそこに、確かに見えている希望。

それでもどんなに手を伸ばしても届かないもどかしさ。

己の非力さへの苦悩、後悔、絶望。

あらゆる想いが少女を黒く深い渦の底へと誘おうとする。



――――この歪んだ世界を…。さらに壊し尽くしてしまった、私の…



――――この世界の「悪意」を生みだしてしまった、私の…




今が贖罪の時だというのだろうか?




脳裏に「彼」の嘲笑が浮かぶ。


想像の中で「彼」は笑いながら、冷たく言い放つ。



『これで全ておしまいだね』



――――「彼」の下へ…連れて行くのね…。


パンテオンたちが、鈍く光る銃口を向けている。

人間であるシエルをレプリロイドである彼らは殺せない。


バスターショットの威力を最小限に抑え、四肢の動きを封じて連れ帰る。


そして「彼」の前に突き出すのだ。


――――…全ては自分でまいた種…


分かっている。


戦いの引き金を引いたのは自分。



――――……逃げ出したのも…自分……



だから








「彼」はきっと彼女を許さないだろう。











「…セルヴォ……アルエット…」


――――帰れなくてごめん…。


「……ミラン………みんな………」


――――本当に赦して…。




「非力」が「無力」に変わる。





「…………パッシィ……」









――――ごめんね…。






少女は瞼を閉じた。


暗闇しか見えなくなった。






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