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誕生日プレゼント

「とりあえず桐生さんのお誕生日会始めよっか」


「そうだね」


 色々と話してしまったけど、今日の本題は栞さんの誕生日をお祝いすることだ。


「何かしてくれたりするの?」


「プレゼント渡して軽くご飯かな。夜に沢山食べるみたいだから」


「日持ちするものは持ってきてもよろしいか?」


「美乃莉さんがいいって言うならね。桐生さんの為に作ったものなんだし」


「それならやっぱりうちに来ようよ」


 栞さんからは栞さんの家で一緒にお祝いしようと誘われていた。


 だけど迷惑だろうし、せっかくの家族での時間を邪魔したくなかったから断った。


「せっかく私達が桐生さんの為に用意したお誕生日会の準備を無駄にするの?」


「それを受け取った上で来てよぉ」


「二回もお祝いするのはどうなの? それに気まずくなる予定だからやっぱり駄目」


 僕達は栞さんの為にとてもいいプレゼントを用意した。


 いいものだけど、栞さんに渡した反応に困るのは確実だ。


「何をする気?」


「ちょっとしたもよおししてプレゼントを渡すだけだよ」


 宇野さんの目が「それ以上聞くな」と言っているので、栞さんが察して黙った。


 このプレゼントは宇野さん達も結構身を削っているものなのでどうなるかわからない。


「なんだか嫌な予感がするんだけど?」


「大丈夫大丈夫。酷い目に遭うのは桐生さんだけじゃないから」


「ほんとにやるの?」


 このプレゼントにずっと反対していた鏡莉ちゃんが嫌そうに聞く。


「やるよ。別に鏡莉一人にやれって言ってる訳じゃないんだから諦めて」


「むしろなんでみんなは反対しないのさ」


 反対していたのは鏡莉ちゃんだけで、他のみんなは二つ返事で了承した。


「自分の損よりも得の方が大きいからでしょ」


「私は別に損とか思わないから?」


「ゆりかも別になんとも思わないし、お兄ちゃんに喜んで貰えるかもだから」


 梨歌ちゃん、芽衣莉ちゃん、悠莉歌ちゃんにあっさり答えられて鏡莉ちゃんはそれ以上何も言わなかった。


「話がまとまったから準備をしようか。その間は永継君と話してて」


 宇野さんはそう言ってみんなを連れて洗面所へ向かった。


「永継」


「なに?」


「私さ、この後の流れがなんとなくわかったんだけど合ってるかな?」


「半分は合ってるかもね」


「どっちだろうなぁ、後半が外れてて欲しいなぁ」


 宇野さん達と栞さんの双方が恥ずかしい目に遭う。


 そして洗面所に行く。


 これだけわかればもう答えみたいなものだ。


 その後に何が起こるかも。


「大丈夫、栞さんは可愛いから」


「ありがとうなんだけど、素直に喜べないんだよ」


「僕達の考えたプレゼントは駄目だった……?」


「それ誰に言えって言われたの?」


「梨歌ちゃん」


 もしも栞さんが嫌そうにしていたら寂しそうにそう言ってと梨歌ちゃんに言われた。


「それを純粋に喜んで貰う為に選んだんなら喜ぶけど、面白半分でしょ?」


「栞さんと同じ気持ちだよ?」


「……」


 僕がそう言うと栞さんが目を逸らした。


 どうやらみんなにあげてた誕生日プレゼントのコスプレ衣装は面白半分であげてたようだ。


「わかりましたぁ、言われた通りにしますぅ」


 栞さんが少し拗ねたように言う。


「良かった、きっと栞さんも喜んでくれるよ」


「なんであれ嬉しいけど、私は見る専なんだ──」


「はい、仲良くお話終了」


 そう言って宇野さん達が戻ってきた。


 全員メイド服姿で。


「とりあえず永継君感想」


「みんな可愛い」


「それだけで着た甲斐はありました」


 みんなが着ているメイド服はそれぞれ違っていてとても可愛い。


 悠莉歌ちゃんのは黒が基調のゴシックメイド服と説明された。


 胸のところに大きなリボンが付いていて、全体を見ても悠莉歌ちゃんに似合っている。


「ゆりかのやつってゆりかしか着れないからそんなに買わなくていいんだよ?」


「そしたら悠莉歌ちゃんのコスプレが見れないじゃん!」


「着ない口実になるのに……」


 悠莉歌ちゃんは鏡莉ちゃん程ではないけど、少し恥ずかしさがあるようだ。


 ほのかに赤くなっている頬が更に可愛さをプラスしている。


「お兄ちゃん、どう?」


 悠莉歌ちゃんが全身を見えるように僕の隣に立った。


「とっても似合ってて可愛いよ」


「やったー」


 悠莉歌ちゃんが嬉しそうに僕の膝の上に座りながら抱きついた。


「次は照れてるメイドさんを何とかしないと」


 悠莉歌ちゃんが芽衣莉ちゃんの後ろに隠れている鏡莉ちゃんを指さしながらそう言った。


 鏡莉ちゃんのメイド服はミニスカメイドと呼ばれるものらしい。


 腕には袖口が広がっている何か(名称を誰も知らなかった)が付いている。


「鏡莉、照れてないで篠崎さんに見せないと」


「だってぇ……」


 鏡莉ちゃんが芽衣莉ちゃんの腕にしがみついて離れようとしない。


 ああやって見ると、お姉ちゃんに甘える可愛い妹にしか見えない。


「見せる相手って私じゃなくて永継なんだ。悠莉歌ちゃんもだけど」


「しおりお姉ちゃんには後でね。最初はお兄ちゃん」


「デタッチドも似合ってて可愛いからいいけど」


 僕が不思議そうな顔をすると、栞さんがあの袖のことをデタッチドスリーブということを教えてくれた


「鏡莉っていつもは自分から変なことするのに、こういう時は照れるよね」


 そう言って呆れたように言う梨歌ちゃんのメイド服は巫女メイドだ。


 悠莉歌ちゃんと鏡莉ちゃんのとは違って、白を基調にした赤いラインの入ったメイド服を着ている。


「梨歌ちゃんのってメイド服なの?」


「永継よ、今の時代では誰でもメイドさんになれるんだよ」


 栞さんが悟ったように言う。


「巫女服って本物見たことないけど、まさか初めてが自分で着ることになるとはね」


「僕も初めて見たけど、梨歌ちゃんすごい似合ってるよね」


「ありがと」


 梨歌ちゃんは少し照れたようにはにかんだ。


「梨歌ちゃんと私は『和』なんだよね」


 そう言う芽衣莉ちゃんは和風メイドと呼ぶものらしい。


 薄緑で腕を上げると袖がヒラヒラする着物みたいなメイド服だ。


「篠崎さん、私は似合ってる?」


「いつもの普通のメイド服だけど、それもとっても似合ってて可愛い」


「良かったぁ」


 芽衣莉ちゃんがとても可愛らしい笑顔を見せてくれた。


「芽衣莉ちゃんって静かでお淑やかなイメージだから『和』が似合うけど、和装してる人はエッチなことしたら駄目だよ」


「それは桐生さんの価値観では?」


「そうだけど、和装の人はするよりされる側だから」


「帯回しですか!?」


 何故か芽衣莉ちゃんが嬉しそうに言う。


 そして何故か僕に視線を飛ばしてくる。


「芽衣莉、落ち着きなさい」


 芽衣莉ちゃんをたしなめる宇野さんはメイド服ではなく執事服だ。


 だけど前回のとは少し違い、ボタンは全て開けて白手袋も胸ポケットに適当に入れられている。


 タイトルが『やる時だけしかやらない執事』らしい。


 髪は後ろでまとめられているところがいざという時の為とのこと。


「永継君は可愛いって言ったけど、私含まれてた?」


「執事服姿でも宇野さんは可愛いよ?」


「そ、そうですか」


 確かにかっこいいとも思うけど、やっぱり可愛さが勝ってしまう。


「やっぱ流歌ちゃんは男物かロリロリのやつがいいよね」


「それは私が男物でもすんなり入るし、見た目が子供っぽいって言いたいのか?」


「溢れ出る可愛さを表現するにはそれが一番ってこと。それと貧乳はステータスだから」


 宇野さんが怖い笑顔になって部屋の隅にあった紙袋を取ってきた。


「これ、誕生日プレゼント」


「……受け取ったらなんて言う?」


「着て」


「ですよねー……」


 栞さんは宇野さん達から熱い視線を受け、渋々洗面所へ向かった。


 今みんなが着ているものは悠莉歌ちゃんの以外、栞さんから誕生日で貰ったものだ。


 それを着ているのだから栞さんも着る以外の選択肢がなくなる。


 それがぼ達の考えた栞さんへのプレゼントと宇野さん達の小さな復讐だ。


 洗面所からは栞さんの小さな苦悶の声が聞こえてきた。

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