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ランク2

「面白いことって、どういうことですか?」


俺のその言葉に対し、花宮校長は一つ頷く。


「話すと少し長くなるから、そこに座りなさい」


顎で示されたのは校長室にある来賓用のソファーだ。


「……失礼します」


そう言ってソファーに座ると、そのタイミングで花宮校長は話し始める。


「先ほどの件だが、順を追って説明しよう。まずこの高校には特殊なカリキュラムが組まれていることは知っているだろう?」

「はい」


その言葉に頷く。


「宝台高等学校では一年間で通常の授業とは別のカリキュラムがあると伺っています」

「そうだ。内容としては君にも馴染み深いものとそうでないものがあるだろう。例えば、体育祭や文化祭、中間テストや期末テストなんかもそのカリキュラムに該当する」


確かに、それは今までの学校でもあったものだ。


「逆に馴染みのないものとなると、GWやハロウィン、クリスマスなどの行事に絡めて行われるものかな」


なるほど。

確かに特段その辺りのイベントを学校行事に当てているところは少ないだろう。


「そういったイベント事も成績に影響するっていうことですか?」

「まあそうだな。ただ、君が思っている成績とやらは内申点的なものだろう?」

「え、違うんですか?」


てっきり学業が関連ないしないから、イベント参加への積極性などを内申点に反映させるものと考えていた。


「これが違うんだよ。まあ日本でこのカリキュラムを採用してるのはここだけだからね。と言うより、この学校で実験しているという方が正しいかもしれない。そうなると、君達は実験のためのモルモットということになってしまうがね」


皮肉を込めてそう言う花宮校長。

どこか思うところがあるのだろうか、その顔は少し不機嫌になった。


「まあ、それで将来安泰なら、いくらでもモルモットになりますけどね」

「おや、案外達観していると言うか、ドライなんだね。それともただ捻くれているだけかな?」

「どうなんでしょうね。なりふり構っていられないだけかもしれませんよ」

「ふっ、確かに君の場合はその可能性が高そうだ」


微かに笑ってそう言う花宮校長。


「少し話が逸れてしまったが……とにかくこのカリキュラムは年に十二回ある。そしてそのカリキュラムの成績によって個人成績が決まる。さらにこの個人成績と言うのも、この学校では一般的な学校と違っている。一般的なのは五段階評価なり十段階評価……各教科に対して五段階なり十段階の評価をつける方法だ。この学校でも各教科ごとに五段階で評価がつけられるが、それよりも重視されるのはランクだ」

「ランクですか?」

「ああ。ランクは十二段階あり、ほとんどの生徒はランク一から六の間だ。ランク七より上は人数がきまっていて、最高ランクの十二は学校で一人だ。

「たった一人……」


それは狭き門というか、なるのは到底無理だろうな。


「そしてランクを上げるための補助として強力なサポート機構がある。それがカラーサポートというものだ」


そこで言葉を切った花宮校長は、俺の目の前の机の上に置かれた箱を指差す。


「そこに学校から各個人に支給されるスマホが入っている。開けて起動させてみるといい」


俺は言われた通りに箱からスマホを取り出し起動させる。

すでに初期設定は終わっていたのか、もう使える状態になっていた。


「起動させたならプロフィールという名前のアプリがあるだろう?それをタップしてみるんだ」


言われた通り画面左下にあったプロフィールアプリをタップする。

すると、そこには俺の名前や年齢、所属クラスなどの様々な情報が書かれており、中でも目を引くのは画面右上に表示されているランク1という文字だ。

そしてその下に枠がある。

さらにその枠内に十二個の丸のようなものがあり、そこの一つが黒く塗りつぶされている。


「ランクの下にある枠の中に黒い丸があるだろう。それが今回君が合格した理由だ」

「え?」


唐突に告げられたその言葉に、俺は頭に疑問符を浮かべる。

この黒い丸が理由ってどういうことだ?


「その黒い丸はブラックカラーのサポートを受けられると言う意味だ。そしてその効果は冠履転倒……つまり対象の事柄を逆転させることだ」

「え、それって……」

「その効果で君の不合格という結果が合格に反転した、ということだ」


マジか!?

俺の不合格がサポートを受けて合格という結果に反転した。

それは完全に終わったと思っていたところで、願ってもない奇跡が起こったということだ。

しかし、俺はそこでふとあることに気がついた。


「あれ?でも試験当日は僕はまだこの学校の生徒ではなかったんですよ?」

「それは当たり前だ」

「ならどうしてサポートが受けられるんですか?恐らく端末もまだ準備されてませんよね?」


普通に考えて生徒でもない俺がサポートを受けられるのはおかしい。

そのことを問うと、花宮校長は一つ頷いて口を開く。


「それはだな、例えこの学校の生徒でなくとも、編入試験を受けるに当たり、一時的にこちらで仮の登録をするんだ。だから端末などはないが、データベース上では君の端末に表示されているデータと同じものが、この学校の基幹システムにはすでにあったということだ。もちろん、不合格ならその情報は消去されるが……」

「……消去される前にこのサポートの効果が発揮されたと?」

「そういうことだ」


そんなことがあるのか。

理屈としては通っているようだが、そもそもどうしてデータ上は一応存在しているだけの俺の個人データにそんなものが出現したのかという疑問も残る。


「まあ不思議な点は多い。正直、私達もカラーサポートについては概要しか知らない。だから各カラーがどんな効果を持っているのかも所持者本人しか知らないんだ」

「え、そうなんですか?」

「ああ。何せ、守秘義務があるからね。カラーサポートの影響下にある生徒は詳細についての口外禁止を言い渡され、他の者は例え教師であれ聞き出そうとしてはならないことになっている。まあ、ある程度各色の効果は予想されているところがあるから、完全にシークレットかと言うと怪しいものだが」

「なるほど」

「ちなみに、私は採点の際にその効果を目の当たりにしたため偶然知ってしまった。そして上から厳重注意を言い渡されてしまったよ。不可抗力なのにね。まあ君もそのブラックカラーの効果は口外禁止だから、気をつけてくれたまえ」

「……分かりました」


うっかり口を滑らさないように気をつけよう。


「とまあ説明しないといけないことはこんなものかな。他に聞きたいことは?」

「他は全て先に説明されているので大丈夫です」

「よし、それなら今日は帰るといい。昨日寮に着いたばかりで荷解きもできていないだろう?」

「あ、はい。ではそうさせていただきます」


そう言って俺は立ち上がり、そのまま校長室を後にしようとする。


「失礼しました」

「あ、そうそう、最後に一個だけ」

「はい?」

「君の狙ってる推薦だけど、高ランクかつカラーサポート待ちほど良い推薦枠を取れるから、頑張った方がいいよ。もしランク12の十二色持ちなんかになれば……そうだね、超一流企業の重役に推薦みたいになるかな」

「!?」


最後の最後にとんでもないことを聞かされ、その日俺の頭はそのことでいっぱいになってしまい、結局部屋の整理なんてできなかったのだった。

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