表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇譚  作者: まだらな猫
1/1

怪奇譚とそれを取り巻く環境

始まりは一匹の猫の噂だった


桃源高校 2年3組の教室で

昼休みの時間に話す 雑談の一つだった

「知り合いの、知り合いに聞いたんだけど」で始まる噂話だ

輪になって話てるなか一人の女子生徒が話し出す

「街外れの山の中に一軒のセルフガソリンスタンドの屋根の上に月を眺める一匹の猫がいて その猫は化け猫らしくってそのせいでガソリンスタンドは潰れたって」

周りは「くだらねぇ」や「なんで化け猫ってわかるんだ?」等と言いながら笑いあっている


ただ近くで噂話が聞こえていた小森(こもり) (ひかる)は違っていた

そこそこによく出来ていると思った

古来より猫は月から精力を貰って化かす能力を得た言う話と

落語の油屋猫とをかけた話なんだろうと思案する


こんな事を考えるのは光が怪奇部と言う怪しげな部の部長だからだろう

もっとも3年の3人が抜けた中、怪奇部は小森一人なので

部かどうかと問われると怪しのだが


光は幼い頃から一人だった

親と妹の4人家族だったのだか

光が2歳の頃に一家は惨殺された

四肢を引き裂れた状態だったらしい

光も家に居たが 何故自分が無事だったのか 何故生き残ったのか この15年間わからなかった

そして犯人もわからないままだ

その頃の記憶は光にはない

強い晴らされる事のない恨みだけが光の心に残ったままだった


光は 親戚をたらい回しにされ 呪われてると噂され

友達もできなかった

桃源高校に入っても変わらないだろうと思っていた


しかし噂を聞きつけた当時2年だった怪奇部の3人の先輩がやってきて

怪奇部に半ば強引に入部させられた

光はそこそこに楽しかった


何より3人の先輩は光に居場所をくれた

普通だと言ってくれた

それが光には何より嬉しかった

それも半年前までだ

卒業が近づき3人は怪奇部を引退した

時たま来るのだか試験勉強が忙しいようだった


先輩達がいた頃の部活では色々な噂を聞かされた

知り合いの知り合いに聞いたという定番の話から

ネットで集めた都市伝説やら

怪談にいたり果ては民話 寓話まで様々な話を

近くで怪奇譚があれば足を運んで確かめる

ネットでの都市伝説や怪談なら

民話 寓話からこの話が元になっているなんて事を話し合っていた

3年が抜けて半年が経った今、光は懐かしいさを噛み締めていた


学校帰りに街外れのガソリンスタンドに寄って噂を確かめようと思ったのも、そんな懐かしさからだろう


満月が昇り、夜の帳が下りた頃

光は街外れの潰れたガソリンスタンドの前に立っていた


辺りを見回す

山道には面しているがこんな街外れにガソリンスタンドがあっても誰も来ないだろう 化け猫の噂なんてなくっても、潰れてただろうと考えながら

屋根の上を見る

そこには一匹の猫が満月を眺めるように座っていた


猫は闇を閉じ込めたように黒く、目だけが琥珀をはめ込んだように輝いていた


夜の闇に混じり、目だけが浮かんで見える姿は

化け猫と間違っても仕方ないだろうと感じた


猫はこちらに気づいたのか

ゆっくりと琥珀色の目を光に向ける

吸い込まれそうに綺麗なその猫の目は怪しく、それでいて美しく、魅入られてしまう怪しさを発していた


猫はこちらを見たまま

「面白い香りの人間だな」

と話しかけてきた


光は腰が抜けかけたが

ギリギリの所で踏み止まる

しかし、その怪しさに魅入られたのか、恐怖からか好奇心なのかわからないが一歩も動けないでいる

動けない中、化け猫への対処方を考える

鍋島化け猫騒動や想山著聞奇集を思い返してみたが

化け猫を物理で対処する方法しか思い返せない

もちろん光にそんな事は無理だ


尚も化け猫は光に話しかける

「山童の予言通り この地で面白い出会いがあったわ

人間聞きたいことがある」

と屋根から音も立てずに飛び降り、光に近づいてくる


光はやっとの事で声を絞り出す

「化け猫!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ