十五話「計画について」
「晶晶!この前行ったカフェさ!また新しいフェアやってるみたいだよ!」
「え、マジで?行こ行こ!」
親友であり家族であり、恩人でもある存在。雅朱里が、下校途中の私を呼び止めこう言った。
「相談したいことがあったんやけど、そこでしても大丈夫そうかな?」
私の言葉を聞いた朱里は、少しだけ悩んでから頷き「一応もしもの時のためにメモ帳あげるね!」と言いながら私へ小さめのメモ帳を手渡してくれた。
「ありがとう」
お礼を言うと頷く朱里。
「予備なら山ほどあるから安心して」
「流石朱里、愛してる」
「ふふ、私の方が愛してるよ」
カフェに到着し、朱里と二人で新商品であるパフェと、大好きな紅茶を注文し、運ばれてくるのを待っている間に、少しだけ話し合うことにした。
「朱里、どう思う?」
「あのパフェ?あれはね~」
「うん」
「イチゴが乗ってるから確実に0カロリーだよ」
「そうやな、確実に0カロリーや、イチゴは野菜やからサラダみたいなもん」
「だよね、あーまた健康になっちゃうよ…!」
「それとさ、華菜ちゃんについて話さへん?」
「り」
朱里は頷いてからお冷やを一口飲み、私と自分の分のペンを鞄から取り出して机に置いた。
「ありがとう」
私も鞄からさっき朱里から貰ったメモ帳を取り出すと、それと同時に朱里はメモ帳に何かを書いていく。
私はそれを読みながら少しずつ話し始めることにした。
「この前あったやん、三年の教室の前でなんか…揉め事?」
「……うん、あったね、あのイチャイチャ…彩ちゃんと二人で見て盛り上がってたよ!いやー最高だった…」
朱里のメモ帳を見て、書いて、読んで、また話し始める。
「ずっと思ってたんだけどさ、あれ、なんで騒ぎにならなかったの?」
「あれはな…三年生みんなの感覚がバグってるからやで」
「感覚が…バグ?ってる?というと?」
「うん、うちが二年の時に起こしたアレと、終業式で大怪我してる二人と、華菜ちゃんの蹴散らした事件のせいと…最終的に男二人がイチャつき始めたからや。多様性を認め始めてるんやな、世の中は」
「だから三年の教室の前で揉め事をさせたの?それも作戦のうち?」
「せやで!やから、もし一年生のクラスの前で揉められてたらちょっと困っちゃったかもしれへんねん」
「…それを考えたのは、スパイの子?」
「それは…どうでしょう?」
「わー!おもしろい…天才!」
運ばれてきた色とりどりのパフェを見て、朱里と二人で顔を見合わせ「かわいい~!」と盛り上がり、写真を撮ってから、落書きまみれのメモ帳を見た。
「この明人めっちゃ似てるわ!お腹空いたときの池崎や!かわい!」
「最近ずっとこの顔してるよね?ダイエット中だっけ?」
「そうそう!痩せんでも良いのに…えー待って、この神足かわいい、天使ちゃん?本人に見せたいな」
「いいよ」
「ありがと!」
「天使ちゃんって神足ちゃん本人に面と向かって言える?」
「あーー無理言えない」
「なら持って帰って言ったげな、え!この私めっちゃ似てる、最大限に太ってた時の雅に似てる」
「今何キロやったっけ?」
「58!数字なんてただの数値だって言い聞かせてる~」
「せやで、うち41」
「死ね」
「し、死ね?」