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『氷の女王』のオフ会に行ってあげたら、いきなり好感度がカンストした件

作者: 抑止旗ベル

この物語はフィクションです。登場する人物・設定・名称等は架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。


 同じクラスの月神詩笑つきがみ しえみは、モデルのスカウトを受けたこともあると噂される美少女だ。


 髪はさらさらのストレートヘアで、瞳からは崇高な知性を感じさせる。やや瘦せ型なスタイルも彼女の儚げな雰囲気を印象付けるのに一役買っていた。


 クラス内ではほとんど喋らず、休み時間は教室の隅の方で本を読んでいる。


 人間観察を趣味としている僕は、彼女がどんな本を読んでいるのか確認するのを日課としていた。


 いつもなら分厚いハードカバーを熟読している月神さんだが、最近は動画編集やSNSマーケティングの本を読んでいるみたいだ。


 とにかく、そんな他人を寄せ付けない神秘的で儚げな、そしてどこか冷たさを感じさせる雰囲気を纏った月神さんは、クラスの一部から『氷の女王』と呼ばれていた。


 有り体に言うならばこうだ。月神詩笑は、クラスにおいて、いわゆるクール系美少女という立ち位置を与えられている――まあ、戯言だけどね。



 未来ある高校一年生の僕、根古小豆ねこあずきは特に部活などもせず、学校が終わればすぐに帰宅していた。


 家に帰った僕はいつものように、ベッドで横になりスマホで動画を流し見している。


 何度も見た覚えのある動画を、これ昨日も見たよなあ、なんて思いながら最後まで見てしまう。


 そんなとき、動画のおすすめ欄に、初めて見るサムネが表示された。


「『現役JKがカレーつくってみた』?」


 投稿者は『ice_channel』。


 再生すると、大きなサングラスと白いマスクで顔を覆った人がレトルトカレーを鍋で温めている様子が流れ始めた。


『いつもなら調理しているシーンはカットするんですけど、今日は調理しているところもお届けします』


 声は本当に女の子だ……。


 女装したおっさんの可能性もあったけど、体つきとかを見るにマジで女子高生らしい。毎日学校で女子高生を見てる僕が言うんだから間違いない。


 カットが切り替わり、サングラスの人物がちゃぶ台の前に座っている。ちゃぶ台には先ほどのレトルトカレーを盛り付けた皿が乗っていた。


『というわけで、出来上がりましたね。見るからに美味しそうですね。もうお腹ぺこぺこですよ~。というわけで、いただきます』


 そしてサングラスの人物はその料理をスプーンで食べ始めた―――マスクをつけたまま。


『あっ』


 投稿者の短い声を最後に画面が切り替わり、食べ終わったシーンになっていた。


『はい、完食しました。ごちそうさまでした』


 何事も無かったかのように言うサングラスの人物だったが、そのマスクにはカレーがべったり付いていた。


 そしてそのまま動画は終了。


 総再生回数は16回。


 僕はしばらく動けなかった。


 ……一体何を見てしまったんだろう。


 動画投稿サイトの闇を覗いてしまったような気がする。


『えー、オープニングでお気づきの方もいらっしゃるかもしれないですけど』


 突然音声が流れだす。


 よく見ると自動再生がオンになっていて、次の動画に切り替わっていただけだった。あー、びっくりした。


 画面に表示されているのはオフ会の文字。


 何……? 6月11日、11時に映画館に集合?


 会場は近隣のショッピングモールだった。家からなら電車ですぐだ。


 動画のコメントを見ると、100人の団体で行きますというコメントが一件だけついていた。投稿者の返信は「当日会えるのを楽しみにしてます!」。


 ひょっとして冗談だって分かってないのか?


『今まで投稿した動画の再生回数合わせたら1000回くらいになるので、少なくとも100人くらいは来るんじゃないかと思ってます』


 そ、そんなわけないだろ!


 今日は6月9日、金曜日。11日は日曜日だ。


 明後日か……。このオフ会、本当に開催されるんだろうか。



 気になって映画館まで来てしまった。


 時間は11時すぎ。


 あのあと、『ice_channel』の動画を何本か見た。


 毎日何かしらの動画が投稿されていて、その本数はかなりのものだった。


 しかし再生回数が20回にも届かないような動画がほとんどで、そんな投稿者がオフ会をしたところで参加者が集まるわけがない。継続して動画を投稿する努力はすごいと思うけど……。


 映画館のロビーを見るとかなりの人数がいた。日曜の昼どきなら当然か。これじゃオフ会に来た人と映画を観に来た人の区別がつかない。


 そのままロビーを見渡して、『ice_channel』の姿を探す。


 ……いた。


 動画と同じように、大きめのサングラスとマスクを装着した人が。


 水玉模様のブラウスとデニムのタイトスカート、足元にはローファーを履いた彼女は、映画館の壁際で寂しそうに立ち尽くしていた。


 やはりというべきか、オフ会の参加者は僕の他にいなかったらしい。


 せっかくここまで来たんだし、一声かけてから帰るとするか。


 僕は彼女の方へ歩み寄り、言った。


「あの、『ice_channnel』さんですか?」


 声を掛けられると思っていなかったのか、サングラスの人物はびっくりしたように身体を震わせ、僕の方を見た。


「え、ええと……まさか、オフ会の参加者さんですか?」


 『ice_channnel』さんは恐る恐るといった様子で僕に訊いた。


「そうです。オフ会の告知動画見て―――」

「あ、ありがとうございますっ!」


 『ice_channnel』さんは突然両手を広げると、僕に抱きついてきた。


 さらさらの黒髪からシャンプーの甘い匂いがした。


 やわらかいものが僕の胸のあたりに押し付けられた。


 慣れない刺激に、僕の心臓は破裂しそうな勢いで鳴りはじめた。


 な――なんなんだこの状況!?


 動揺する僕に構わず『ice_channnel』さんは堰を切ったように話し出す。


「ずっと一人で待ってて、寂しくて、周りの人から不審な目で見られちゃうし……100人で来ますってコメントもあったから、たくさん人が来てくれるって思ってたのに……!」


 肩が小刻みに震えている。


 泣いているのだろうか。


「ま……まあ、ネットのコメントなんて真に受けちゃだめですよ。嘘を嘘と見抜ける人じゃないとインターネット使うのは難しいって偉い人が言ってましたし」

「でも、でも、来てくれる人がいてくださって良かったです。私ずっとあそこで待ってないといけなくなるとこでしたから」


 と、『ice_channel』さんはサングラスを外し、ハンドタオルで目元を拭った。


 その瞬間。


 僕は開いた口が塞がらなくなった。


「あ……」

「そういえばお名前、聞いてなかったですね。ええと、何とお呼びすれば―――えっ!?」


 驚いたような声を上げる『ice_channnel』―――いや。


 冷たささえ感じる整ったルックス。儚げな雰囲気。


 なぜ今まで気が付かなかったんだろう。


 僕の目の前で大きな瞳を見開いているのは、月神さんだった。


「なんで月神さんが『ice_channnel』を?」

「なんで根古くんが私のオフ会に?」


 お互いに見つめ合ったまま、数秒の時間が流れた。


 僕たちは気まずくなって、どちらからともなく視線を逸らした。


「あの、とりあえず、映画……観ない?」


 僕が券売機の方を指さして言うと、月神さんが小さく頷いた。


 こうして僕らは二人、最近話題の恋愛映画を見ることになったのだった。





「なんで月神さん、動画投稿なんて始めたの?」


 映画の後、僕らはファストフード店に入った。


 テーブルの真ん中にポテトが山のように積まれている。


「えっと、それは……練習の、つもりで」


 月神さんは恥ずかしそうに目を伏せながら言った。


「練習?」

「そ、そう。私って、あの、人見知りだから、動画を作って人前に出るのに慣れようと思って」


 確かにさっきから一度も僕の顔を見てくれない。


 人見知りっていうのは本当みたいだ―――って。


「まさか学校で全然喋らないのも人見知りだから?」

「う、うん。昔から人とお話しするの、得意じゃなくて」


 つまり、月神さんはクールで物静かだったわけじゃなく、単にコミュ障だっただけってこと⁉


 『氷の女王』の真相を知ってしまった……。


「まあ、とにかくさ。動画投稿はもうやめにしたら? 今日みたいに月神さんが悲しい気持ちになることがあるかもしれないし……」


 僕が言うと、月神さんは首を振った。


「途中でやめたくないの。目標があるから」

「目標って?」

「チャンネル登録者数1000人」


 ……本気か?


 登録者数1000人を達成しているのは、動画投稿者全体の15パーセント程度だと聞いたことがある。


 つまり、動画を投稿している人の8割近くは達成できない目標ということだ。


「ちなみに今の登録者数は?」

「20人……くらい」


 あと980人か……。


 どのくらいの時間がかかるんだろうか。


 僕はポテトを齧りながら、月神さんの方を見た。


 月神さんはやはり恥ずかしそうに目を伏せ、僕に顔を向けようとはしなかった。


「かなり頑張らないと難しい……と、思うんだけど」

「わ、私もそう思う。どうしたらいいのかな」

「えー……どうしたらって言われても」

「根古くんはいつもどんな動画を見てるの?」


 月神さんは怯えたような目を、少しだけ僕に向ける。


「いつもは……ゲーム実況とか」

「ゲーム実況? あの、ゲームしながらお話するやつ?」

「うん、そう。つい見ちゃうんだよね」

「……分かった。私、ゲーム実況やる」


 決意が込められたような声音で、月神さんは言った。


 ゲーム実況か。


 確かに、冷凍食品のレビューよりは視聴者の目に留まりやすいかもしれない。


「意外と人気出るかも。月神さん、声も可愛いし」

「かっ、かわっ!?」


 月神さんがぱくぱくと口を開閉する。


 その頬が真っ赤になっていて、僕はその可愛さに卒倒しそうになったが、強靭な精神で持ちこたえた。


「あ……だから、生配信とかやった方が良いかも。動画編集する手間もいらないだろうし」

「か、かわ……」


 落ち着きなくまばたきをしながら、月神さんはドリンクのストローを勢いよく吸い込みすぎて、可愛らしくむせた。


「ええと、僕も一応月神さんのチャンネル、登録しとくね」

「あ……ありがとう」


 口元をタオルで拭きながら、月神さんが答える。


「ところで今日はこれからどうする? オフ会の時間は18時までってことになってたと思うんだけど」


 現在の時刻は12時。


 まだまだ時間が残っている。


 とはいえ参加者は僕一人。多分このまま解散という流れに―――。


「ゲーム実況の準備、したい」

「え?」

「私、ゲーム持ってないの。だから、その、根古くんさえ良かったら、少し手伝って欲しいの……」


 月神さんは僕を上目遣いで見ながら、言葉を一つ一つ絞り出すようして、言った。


 ったくなんで僕がそんなことしなきゃいけないんだ、別に僕は動画投稿のプロでもなんでもないし、やってあげる義理も義務もないんだからな――――なんて建前を考えながら、僕は口を開いた。


「良いよ、僕、手伝うよ」


 まったく。


 素直な口だよな。




 というわけで、月神さんの部屋にやってきた。


 可愛い丸型のクッションとかが置いてある、女の子っぽい部屋だった。


 そんな部屋には、今、パソコンとゲームを接続するケーブルや機材が無造作に並べられていた。


 そして僕たちは、小さいテーブルにおかれたパソコンの前で、配信の手順を確認していた。


「えーと、どこを押したら始まるの?」

「そのアイコン。で、このマイクで喋る。こっちはカメラを操作するところだからあまり触らない方が良いと思う」

「なるほどー。根古くん、配信のやり方にも詳しいんだね」

「いや、ネットで調べながら喋ってるから」


 僕はスマホの画面を月神さんに見せた。『初心者でもできる! ゲーム実況配信』のページが開かれている。


「でも、一緒に手伝ってくれる人がいるのって安心する。ありがとう、根古くん」


 月神さんが微笑む。


 僕の体温が数度上昇した気がした。


「あっ……、まあ、いや、大したことしてないし」


 月神さんが笑ってるところ、初めて見た。高校ではずっと無表情だったし。


 ということは、彼女の笑顔をみたことがあるのは、学校では僕だけってことなのか?


 ラッキー。


「ええっと、試しにちょっとやってみようかな。マイクの音声を調整するのはどこ? このスピーカーみたいなマーク?」

「ああ、そっちは出力の調整だから、マイクはこっちの――」


 僕はマウスに手を伸ばした。


 その瞬間、既にマウスを握っていた月神さんの手に触れた。


「あ―――」


 月神さんが僕を見る。


 咄嗟に僕は手を引っ込めた。


「ご、ごめん。マウスを動かしたくて」

「う、ううん。ちょっとびっくりしただけ」


 そう言って顔を伏せる月神さん。黒い髪から覗く耳元が赤くなっているのが見えた。


「と――とにかく、マイク音量の調整はそっちのマイクのマークがある方を押せばいいから」

「う、うん、分かった」


 冷静になって考えれば、僕は今、女の子の部屋で女の子と二人きりという状況だ。


 大丈夫だろうか。セクハラとかで訴えられる心配とかないだろうか。


 そんな不安を抱えつつも時間は過ぎ、配信のやり方を一通り確認して、その日は解散となった。





 いよいよ月神さんの初配信が行われる日、僕は自室のパソコンの前で正座してその時を待っていた。


 僕が持っているありとあらゆるSNSアカウントで配信の告知を拡散し、宣伝に努めて来た。現在の配信待機者は数十人。まあ、上出来だろう。


 最後に願うのはただ一つ。頼む、事故らずに上手くいってくれ……っ!


 万が一機材トラブルがあった場合に備え、月神さんには僕の連絡先も教えてあった。何かあればすぐに駆け付けるつもりだ。


 ふう、と深呼吸する。


 あと一分で配信が始まる。月神さん、大丈夫だろうか……。


『どうも~、『ice_channnel』です~』


 は―――始まった!


 早速僕はコメントを送信した。


『楽しみにしてます!』

『あー、早速コメントありがとうございますー。がんばります~。じゃあ、ゲームを始めていきますね』


 そんな風にして開始された配信は、順調に進んでいった。


 やっているゲームは理不尽に難易度の高い横スクロールアクション。いわゆる死にゲーというやつだ。


 操作キャラが崖から落ちたりトラップに引っかかったりするたびに、月神さんが「あっ、あっ!」とか「んっ……!」とか聞きようによってはセンシティブな声を出すので、僕は内心穏やかではなかった。


 そして特に事件もなく配信も終了しようかというとき、それ(・・)は起きた。


『ちょっと喉乾いたので飲み物休憩しますね』


 そう言って月神さんがマスクの下に飲み物のストローを持ってきたとき、何かが引っかかったのだろう、マスクもろともサングラスが外れてしまった。


 結果。


 月神さんの麗しい素顔が画面上に晒されることとなった。


『ちょ、あ、ヤバ……っ!?』


 慌ててマスクとサングラスを付け直す月神さん。しかしなかなかうまくいかない。


 その間に、コメント欄はお祭り状態になっていた。


『え、可愛くね?』

『マジ美少女』

『どこかのモデル?』


 月神さんを称賛するコメントが次から次に投稿されていく。


 視聴者数もどんどん増えていく。


「な……」


 茫然としてしまった僕だったが、すぐに理性を取り戻し、月神さんの携帯にメッセージを送った。



『配信、切った方が良いかも!』


 画面の向こうの月神さんが携帯を確認したような素振りを見せた。


 その直後、僕は―――月神さんと目が合ったような気がした。


 彼女は小さく首を振り、何事もなかったようにマスクとサングラスを装着しなおすと、


『えーと、休憩終わりです! ゲームを続けますね!』


 と、当たり前みたいに配信を続けた。


 コメント数と視聴者数が増え続ける中、その配信は時間を迎えて終了した。


「月神さん……」


 気づけば僕は緊張で全身が汗まみれだった。


 配信をしていた月神さんはもっと大変な気持ちだっただろう。


 だけど彼女は―――最後まで配信をやり遂げたのだ。


 配信終了後の黒い画面を見つめていると、電話が掛かって来た。月神さんからだ。


「月神さん! 大丈夫!?」


 僕が言うと、月神さんは疲れたような声で、


『うん、大丈夫。ちょっとびっくりしたけど、ちゃんと最後まで出来た』

「でも……良かったの? 顔出し配信なんてする気なかったのに」

『根古くんが見てると思って』

「え?」

『せっかく根古くんが手伝ってくれたんだもの。最後まで頑張らなきゃって思った。だから私が配信続けられたのは、根古くんのおかげなんだよ?』


 月神さん……。


 月神さんっ!


 何か言わなきゃと思いながらもうまく言葉が出てこず、僕は「お疲れ様」とか「良い配信だったよ」とか当たり障りのないことを言って、通話を切った。





 さて。


 月神さんの配信の様子は一気にネット上を駆け巡り、『可愛すぎるゲーム実況者』として『ice_channel』は一躍有名になった。


 あっという間にチャンネル登録者数は1000人を超えた。


 その後も月神さんは動画投稿を続けていたが、登録者数が10000人に近づいたところで、突然アカウントを削除してしまった。


 理由を尋ねようと連絡すると、返ってきたのは『放課後、靴箱前に来て欲しい』というメッセージだった。


 言われた通り放課後、校門前で待っていると、少しして月神さんがやって来た。


「ごめん、お待たせ」

「いや全然大丈夫。予定もないし。……で、動画投稿、なんでやめちゃったの?」


 ええと、と月神さんは恥ずかしそうに答える。


「元々目標を達成したらやめようと思ってたの。思ってたよりずっと早く達成しちゃったけど……」

「すごい人気だったからね。ファンの一人としては、やめちゃったのは残念だけど……そういうことなら仕方ないか」


 実は僕、『ice_channnel』のいかにも人気が出そうにない、素人感あふれるあの動画にハマりつつあったのだった。


 今回のチャンネル閉鎖はマジで残念だった。


「それからね、絶対やらなきゃって思うことがあって」

「え?」

「根古くんに伝えたいことがあるの。あの、私、本気だから。真面目に聞いてね」

「う―――うん」


 月神さんは僕の方に向き直り、大きく深呼吸した。


 一体何が始まるんだろうと思っていると、彼女は僕が初めて聞くような大きな声で、


「根古くん! オフ会に来てくれたあのときから、私、根古くんが好き! 私と―――付き合ってください!」


 顔を真っ赤にして、両手を強く握りしめながら、だけど視線はまっすぐに僕を見て―――月島さんはそう言った。


 そこにはもう、物憂げで儚げな『氷の女王』の面影はなかった。


 いや、そもそもそんなものは周りが勝手に思っていただけのことで、月神さんは本当はこんな風に素直に自分の気持ちが言える人だったのかもしれない―――というか告白なんてのは僕の方からするべきだったんじゃないだろうか―――とか、頭の中がよく分からなくなってきたので、僕は月神さんの手をとり、言った。



「ええと……僕みたいなので良ければ」


 僕が言いうと、月神さんは氷を解かす春の太陽みたいに笑った。


どうもー、ぶんぶんスクーターです。


ラブコメ短編も2作目です。

そろそろ人気出るんじゃないですか? え、ダメですか……。


引き続きラブコメ短編を投稿していく予定です! ユーザー登録お願いします!


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