不思議部と開かずの扉 8
あれじゃあ重かったのって…こいつのせいかよ!俺は大事に大事に伯方の塩を運んでいたのか…
「あの先輩…」
「さーて始めようか!」
「先輩?あのこれただの粗塩…」
「んー、まあ、塩…だね。」
「ただの塩持ってきてどうなるって言うんですか!」
「清めの塩って聞いたことあるかな?」
「まあ、ありますけど…」
「そういうことだよ」
いやどういうこと?塩まいたら何かが見えるとでも?
「後輩くん、あそこの…そうだなぁ、突き当たりのとこに塩をまいてくれるかな」
「いや校舎を汚すのはあまり…」
「塩をまいてくれるかな?」
「はい…まきます…」
言われるがままに壁に塩をぶちまける。何が悲しくて休日にこんな…と思っていると。変化があった。塩をかけた、まさにそこだ。扉があった。
「えぇ!?なんですかこの扉!」
「やっぱりね!ほら、あったでしょ?」
「先輩!この扉はなんなんですか!?」
「魔を払う清めの塩!扉を隠す魔法をかき消したから見えるようになったんだよ!アマゾンで1500円で売ってた!」
すげーなアマゾン。なんでも売ってる。
「いやー半信半疑だったけど本物だったねー!」
「確信なかったのに買ったんすね…」
「まぁね!」
「で、この扉はなんですか?」
「開ければ分かるんじゃない?」
「え、先輩知ってるんじゃ…」
「いやなーんも知らないよ?」
清めの塩(胡散臭い)を買って適当にまいたら扉でてきたってこと?どんなミラクルだよ。
「ま、まあ、覗いて見ます?」
「失礼しまーす!」
ガチャリ、この人には得体の知れないものに対する恐怖心ってもんは備わってないらしい。
中はかなり暗く、入口付近が辛うじて見えるくらいだ。明かりでも無ければ探索するのは厳しそうだが、リュックの中に懐中電灯があったはずだ。
「暗い…電気電気ーっと、あった!」
壁を懐中電灯で照らして見ると部屋の明かりであろうスイッチを見つけた。パチリと押すと手前側から明るくなっていく。と、言っても見る限りそんなに広くはない。棚が並べられており、そして棚には何かの箱や分厚い本が所狭しと置かれている。よく見ると一部の棚は倒れ、棚に並べられていたであろう荷物が床に散乱している。
「で、先輩。この空間は一体なんなんですか?」
「さぁ?見てみれば分かるんじゃないかな?」
行き当たりばったりかよ
「じゃあ棚に置かれているものを見て回ります?」
「いや、まずは倒れた棚を起こそうか」
「先輩がそう言うならそうしますか。手伝ってくださいね?」
「当然!」
棚は金属で出来ているようで、触るとひんやりとしている。そして重い。心と骨が折れそうだ。が、2人がかりでやっと起き上がらせて、床に散乱したものを片付けるとその下にそれはあった。いや、居た。と言うべきか。
そこに居たのは人だ。人だった。人の白骨死体が横たわっていたのだ。
次回か次々回には終わると思います