不思議部と開かずの扉 4
ちょっと詰まってました
翌日の放課後、俺は不思議部の部室に直行した。
先輩はいないようだ。まあ待ってれば来るだろう。
と、椅子に座ってスマホの画面を眺めていると、ドアをノックされた。俺が
「開いてますよ」
と返すとすぐに
がちゃ、とドアを開き、立っていたのは依頼人だった。
「あの…呼ばれて…来たんですが…」
「一応聞き込みをしたので、その報告を。とりあえず先輩が来るまでお待ちください。」
本当は今すぐ問いつめたいところだが、抑えておこう。
我慢だ…3ターン後にやり返すんだ…それ我慢できてねえじゃねえか。
「はーい来たよー!って、もう来てたんだ」
「遅いですよ」
「じゃ、報告しましょうか。」
「はい。結論から言いますと、その部屋の存在が確認出来ませんでした。全生徒に聞いたワケではありませんがね。俺としては実在を疑ってます。」
「そ、そんな…でも、本当にあるんですよ」
「どこにあるんです?案内して貰ってもいいですか?」
「はい…今から見に行きましょう。ついてきてください」
「ミステリーっぽくなって来たわね!ワクワクする!」
「お願いします。」
俺たちはやけに入り組んだ学園を連れ回され案内された。
隊列は依頼人に俺が続き、しんがりに先輩、という形だ。
何分たった頃か、彼女はようやく歩みを止めた。
「着きましたか?しかしこれは…」
彼女が連れてきた場所。そこはただの行き止まりだった。
彼女がハッと息を飲む音が聞こえた。
しかし、やはりか。彼女は俺たちをからかっているのだ。
「やはり、イタズラですか。先輩、もう悪ふざけに付き合う必要はないでしょう。」
と、言いかけた。言い切ることはなかった。なぜなら
「そんな、そんなはずない!だって!でも、じゃあ!私は!もうずっと…」
と、走り出してしまったからだ。
迫真の演技だな。悪ふざけがバレた時の反応にしては大袈裟だな。まぁもう付き合う必要はないだろう。と、振り返る。
「先輩、帰りませんか…って、考え事ですか?」
彼女は、見たことの無い真剣な顔で行き止まりの壁を見つめていた。つられて俺もそちらを見るが…まあ、どう見てもただの壁だ。変哲も違和感もない。そして振り返ると先輩は
「後輩くん、明日暇かな?」
と、言った。ちなみに今日は金曜日である。せっかくの休日を潰されてはたまらない…のだが、特に用事がある訳では無い。
「まあ、用事はありませんよ。」
「そう!じゃあ…明日のお昼!部室に来てね。」
まあ、こうなるだろう。俺に拒否権はない。
今日はもう下校時間を少しばかり過ぎているし、俺としても真相というものがあるなら気になるし。
「では、今日はこれで解散ですね。」
「うん…そうだね。また明日。」
「依頼人は走り去ってしまいましたが、どうしましょうか。」
「それは大丈夫…多分。」
多分か、まあ大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。
何かあっても俺に責任はないと言い聞かせよう。
俺は悪くねぇ!…これ言ったら断髪するハメになるな。
これは言わないでおこう。記憶にございません。