不思議部と開かずの扉 1
部活動開始です
さて、なんやかんやありながら不思議部に入部することになったわけだが…活動内容は未定なのである。
「先輩…今日は何かするんですか?」
「うーん、とりあえずまだないわね」
「今日も何もないんですね…」
と、こんな様子で入部してから基本部室にこもって本を読んだりするだけである。
「まぁそろそろ不思議がこっちに来る頃よ!」
「はぁ…?そうですか」
先輩はいつもこんな感じなのでとりあえずスルーしているのだが、今日は違った。
コンコン
普段はないノック音が響く
「はーい、どうぞー!」
控えめに扉を開いたのは可憐な女子生徒だった。
見覚えはない。
「あ、あの、ここは不思議部…ですか?」
「そうだよー!あなたは1年の人?あ!もしかして入部希望者かな!?」
「いえ、3年の室田です。」
「すみません。この人、新入生に飢えてるんです。」
わざわざ校舎の端にある不思議部にやって来るとは…迷子だろうか?いや3年が迷子になる訳もないが。
「え、えっと、その。貼り紙を見てやって来たんです。」
「あ!あの貼り紙!見てくれたんだー」
「貼り紙?なんですかそれ」
「あのねー不思議なこと、募集中ってポスターを作って見たの。」
知らない。知らないぞそれは。
「それでどんな不思議なことがあったの?」
「不思議なこと…と言うよりは気になってることですかね…」
そうして彼女は語り始めた。
「私、さっき自己紹介した通り、3年生なんです。
この学校で2年間授業を受けてて、移動教室も結構あったのだけれど、一つだけ、1回も、どの授業でも、入ったことの無い。鍵の開いてるところを、開けられているところを見たことの無い部屋があるんです。
この学校に2年間皆勤してるので、休んでた日にたまたまなんてことはないはずなのに。」
「なるほどーそれは不思議だねぇ」
「いや、なにかの準備室とかじゃないんですか?」
「私も気になって聞いたことがあるんですけど、先生もよく知らないって言うんです。」
「それは確かに不思議、いや少し不気味ですね
「その教室ってどこにあるの?」
「えっと、特別棟なんですけど。他の教室より少し離れてて。ちょうどこの部室みたいに。」
「じゃあちょっと調査してみようか?」
「え、い、いいんですか?私の興味のために…」
「いーのいーの!ちょうど暇してたところだし…まぁ、今日はもう下校時間になりそうだし明日からだね!」
「それじゃあ、よ、よろしくお願いします…」
控えめな彼女はそう言い残し部室を出た。
「ほら!言ったでしょ?不思議の方からやってくる!って」
「たしかに不思議がやって来ましたね。」
「明日からはちゃーんと不思議部の活動ができるよ!」
「ほんとにやるんですか?そんな調査なんて…」
「やると言ったからにはやる!女に二言はないのよ」
「はぁ、ま、初めての部活動っぽいことですからやりますか」
「もうちょっとやる気出して欲しいな〜」
「調査開始は明日という事ですから明日にとっといてあるんですよ」
適当なことを言ってその日は帰宅した。