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隣で駄弁る、有栖さん。  作者: 世良セロリ
1/3

プロローグ コーヒーとおにぎり

作者初投稿作です!

(漢字や文章におかしな点があるかもしれません。)

短編で出そうと思ったら、間違えて連載形式になってしまいました。お許しください。


 俺の隣に座る桜木有栖(さくらぎありす)は、よく俺に意味不明な質問を問いかける。



「ねぇ、赤野くん。コーヒーとおにぎり、どっちから先に食べるべきだと思う?」



「……なんでそんなこと俺に聞くんだよ」



 机に置かれた鮭のおにぎりと紙パックのコーヒーをじーっと見つめながら、有栖さんは俺に問いかけた。


 時は昼休み。生徒たちは皆食堂や、別のクラスに行ってしまい、教室に居るのは俺と有栖さんだけだった。俺が通うこの高校には大きな食堂があり、皆お昼はそこで取ることが多い。一応購買もあるのだが、なんせ食堂のご飯は安くてうまい。同じ値段で出来立てが食べられるなら、皆食堂を選ぶ。

 

 という訳で、購買で買って自分のクラスで食べたり、弁当を持参する生徒は少ないのだ。

 俺が問いかけを適当に流すと、有栖さんはこちらを向いて語りだす。

 


「「そんなこと」だなんて……私は真剣よ。コーヒーを先に飲むか、おにぎりを先に食べるか。世界を取るか、大切な人を取るかくらいには真剣よ」



「なんで例えが主人公なんだよ。それどっち取ってもバッドエンドにしかならないだろ」



「あら、私バッドエンドは好きよ。足掻いても足掻いても、みんな笑顔の結果にはならない。……キャラクターが苦悩する姿は、こう…何というか、心にグッと来るわ」



「はいはい、有栖さんの性癖は分かったから。さっさと食べなよ」



 意外な有栖さんのカミングアウトに少々驚きつつ、弁当から玉子焼きを食べる。有栖さんは「でも推しには幸せになってほしい、いやしかし……」とぶつぶつと呟き、しばらくして



「よし、決めたわ。私は大切な人を取るわ」



と言い、おにぎりの封を開けた。

 小さい口でおにぎりを頬張る姿がハムスターに似てるなーと思いながら見ていると、有栖さんに「あまり見ないでくれるかしら。照れるわ」と注意されてしまった。……有栖さんはあまり感情が顔に出ないのだろうか。全然照れてるように見えない。「悪りぃ」と謝り、目を逸らした瞬間




「……ゴハッ!?ゲホゲホッ、ゴホッ、ゲホッ!」




有栖さんが咽せた。それも、かなり盛大に。



「お、おい!大丈夫か、有栖!」



 米粒が気管にでも入ったのだろうか。慌てて背中を摩る。



「無理するな。ゆっくりでいいから」



 しばらくして呼吸が落ち着いてきたのか、「ありがとう」と大きく息を吐いた。



「大丈夫か?ゆっくり食えよなぁ…焦ったぞ」



「えぇ、ありがとう。落ち着いてきたわ。まったく、合わせるものじゃないわね………」





「コーヒーとおにぎりって」





「………は?」



 今、こいつなんて言った?



「だから、コーヒーとおにぎりは合わないって言ったのよ。おいしいもの同士合うと思ったのだけれど、恐ろしく合わなかったわ。びっくりして咽せるくらい。赤野くんが言ったとおり、バッドエンドにしかならなかったわ」



 俺の思考は止まり、長い沈黙が訪れる。しかしやがて、段々と思考は動き出し、自分の行いに感情が溢れ出す。



「……お、俺の心配を返せよぉ、馬鹿やろー」



 気管に入ったのではなく、不味くて咽せたらしい。俺は必死に心配した自分が急に恥ずかしくなり、赤面する。思えば女子の体に無許可で触ってしまったし、名前を呼び捨てで呼んでしまった。いろいろな感情が頭の中を駆け巡って行く。もう誰か俺を殺してくれ!


 慌てる俺を見て、有栖さんは「ふふっ」と笑う。



「……でも」



 不意に有栖さんが顔を近づける。





「心配してくれてありがとう。真っ先に「大丈夫か?」って言って、背中を摩ってくれて。私、とっても嬉しかったわよ」





 そう有栖さんは微笑むと、残りのおにぎりとコーヒーを食べ終え、教室を出て行った。


 俺は赤くなった顔と緩んでしまった頬を隠し、大きなため息をつく。段々と心拍数が上がっていくのが分かる。



 

 きっと自分は、有栖さんに。




「……なんなんだよ、本当!」




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

よければ、感想コメントや評価の方よろしくお願いします。

(作者初心者の為、優しく接していただくと幸いです)

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