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鈍色送り  作者: 南部忠相
8/12

第8話 作戦会議

『現在見つかった……遺体のDNA鑑定が……と暴力団との関係を捜査……』


「派手にやられたみたいね」


 ラーメン店のテレビで流れるニュースを見ながらリツがナガレを見た。ナガレはチャーハンを掬いながら頷く。

被害者の人数は不明、血痕から複数名と見られるが残っていた肉片は寄せ集めても一人分に及ばなかったそうだ。テレビではそこまで詳しく報道していないが、ナガレが見ている資料が状況を詳しく教えてくれた。


「よくそれ見ながらご飯食べれるね……」

「ん? あぁ、慣れだな」


 現場写真が事件の凄惨さを物語る。捜査資料は正規の手続きを用いて横流しされたものだ。国は彼女達の存在を把握、運用の補助を行なっている。活動資金も提供しているが、それは海外への支援金であったり災害復興費として捻出されていた。

 祓屋と国は科学の時代が始まるよりもずっと昔から二人三脚で人ならざるものと対峙してきた。国民の不安を煽るよりも内々に対処することで平和を演出してきたのだ。


「あ、餃子追加で!」

「大声出さねくても聞っこえてるよ!」


 怒鳴っているように聞こえるが恰幅の良い店主はいたって上機嫌だ。殺風景な店内は他に客がおらず、BGMもかかっていないせいでテレビと二人の会話しか聞こえない。

 祓屋は怪異を倒せなくなれば引退せざるを得ない。そういう連中が各地域の本所近辺で店を開いていることが多い。このラーメン屋もその一つだ。聴力が弱って一線を退いた店主はことのほかリツを気に入って彼女がくると店を閉めて貸切にしてしまう。協会から補助金が出ているため売り上げなど気にしていない。

 リツもそれを理解して作戦会議や邪魔をされたくない時にはこの店を利用する。警察の捜査資料など見られてはまずいものもここでならおおっぴらにできる。

その資料の1ページ、上半身が残っている男の顔を見てナガレが言った。


「あぁ、やはり死んだか」

「知り合いでもいたの?」

「この前の双家の子供だ。もう一週間か」


 表情も変えずにナガレは言った。餃子を食べ終えたリツも写真に目をやったがすぐに視線を逸らした。


「良く見ながら食べれるね」

「ん?さっきも言ったが慣れだ。こうやって大人は摩り切れていくのさ」


 ナガレは新聞でも読んでいるかのようにレンゲを動かすのだった。

外観も汚いし客も居ないのに潰れないラーメン屋、ありますよねー

そんなお店での一幕。秘密は裏金(協会補助金)でした。

ちなみにおやっさんは相討ち覚悟で受けた傷が元で右耳の聴力がありません。幸い体は回復したのでラーメン店を始めました。リツを気に入ったのは若い頃の奥さんに似ているから。顔とかではなく雰囲気。

どうでもいい設定裏話でした!

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