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鈍色送り  作者: 南部忠相
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第6話 敵はどこか

 明るい町の光に照らされて星が見えない肌がぴりっとするような寒い夜。ナガレは一人町を彷徨っていた。ふと見かけた高いビル。彼女は壁を蹴り、その屋上へ駆けのぼる。


「町の明かりが邪魔だな」


 彼女は夜が好きだった。月の明かりで消える星の光、虫も鳴かない静寂。寒さの残る春の夜はその条件がそろっていた。だが、いつしか町は煌々と明かりをまき散らし、恐ろしい物を遠ざけるように夜を削ってきた。この町に本当の夜はもうやってこない。


「誰か、誰かッ!」


 感傷的な彼女の時間を女の声が邪魔をした。ナガレはふわりと屋上から飛び降りてビルの間を滑るように駆けまわり、声のする方へと進む。すると今まさに押し倒された女を発見した。

 相手は人間のようだ。外れか、と少し溜息を洩らした彼女だったが、乗り掛かった舟。圧し掛かる男の股間を蹴り上げて素早く一人黙らせた。

 激高した男の仲間がナイフを取り出したが構わず左足で蹴り落とし、右足のかかとで顎に一撃入れる。意識を刈り取られた男はその場に倒れ伏した。

 鮮やかな手並みに襲われていた女は呆けてナガレを見つめた。


「大丈夫、のようだね。警察は自分で呼んで欲しい」


 言い残して彼女はその場を後にする。後ろからは感謝の声が聞こえていた。






「それにしても最近物騒ね」


 猫を被った商売女が男に向かっておどけて言う。それを受けて経験のなさそうな男がニヤニヤしながら答える。


「大丈夫!何かあっても僕が君をまも」


 異変を感じて男の方へ向き直った女の顔に血が撥ねる。バキバキと頸椎の砕ける音が辺りに響き、それを目撃した女が悲鳴を上げる。悍ましい形相の顔が、ぎらつく目が、女を睨み据えて男の首を噛みちぎった。その光景に女は意識を保っていられず、その場に崩れ落ちた。


 翌日のTVニュースはまるでゴシップ記事のスクラップであった。交際女性が語る恐怖の瞬間、正体は地球外生命体! 新聞も見出しはこの事件で溢れ返っていた。


「やられたな」

「こいつ、やばくない?」


 新聞を読むナガレの顔の横にグイっと張り付くように近寄ってリツは言った。


「美咲の仇だとすると相当食ってる。強いよ」

「そうだな。だが、やることは変わらない。美咲を送ってやらねばな」


 ナガレは漠然と感じていた。この山姥が大見主を宿している、と。


探す側は人数いないと大変ですよねー

たとえ人数がいても、木を隠すなら森の中。人に紛れると余程のヘマをしないと探せません。

そんなヒリヒリ感、出したいですがなかなかどうして無理ですね。

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