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鈍色送り  作者: 南部忠相
4/12

第4話 ナガレという女

「で、双家に喧嘩売って帰って来たの?」


 寂れた夜の公園。白い頭と黒い頭が並んでベンチに座っている。手にはサンドイッチ、膝には猫のような何か。


「喧嘩なぞ売っていないよ。少し警告しただけだ」

「それが喧嘩売ったって事でしょ!? もぅ、美咲の仇も見つからない状況で問題増やしてどうすんの!」

「なに、あの程度の輩なら問題ない。それにあそこの親父は私に頭が上がらない。さっき詫びの電話を貰った」


 リツは頬を膨らませて何か言いたげな顔だが言葉を飲み込んだ。春だというのに寒い夜、温かい缶コーヒーを取り出して手を温めている。


「だが、少し気になる事がある」

「なに?」


 二の句を継がず、ナガレはサンドイッチを口に運んでお茶で流し込むとデザートのプリンを開け始めた。


「いや、言ってから食べてよ」

「ん?あぁ、いつぶりだろうか人食いが多い」

「それって……」

大見主(おおみぬし)が生まれるのかもな」

「お伽噺……でしょ?」

「いや、本当の話だ。たくさん死んだよ、たくさんな」


 ナガレの顔に悲しみが浮かぶ。


「ナガレ、詳しく教えて」

「養成所で習ったろう? あれがすべてだよ」

「大地をも喰らい尽くすって馬鹿げた話が?」

「あぁ、そうだ」

「そんなものどうやって倒したのよ」


 バカバカしいといったような顔でリツはナガレを見た。しかし、さっきまでプリンを食べようとしていた彼女が見せる表情に驚いた。膝の上の猫のようなものがネーと鳴いた。


「倒してなんかいない。あいつは火山を喰って滅んだんだ」


 リツは狼狽えた。ナガレの表情がここまで変わることは今までなかったからだ。それ以上の事は聞けなくなり黙りこくってしまう。


「あぁ、気にしないでくれ。少し昔を思い出しただけだ」

「ごめん」


 言葉が見つからず、リツの口を衝いた言葉は謝罪であった。ナガレが一体どれほどの年月(としつき)を生きているか、正確にわかっている人間はいない。

 リツがこの道に入った時、ナガレが最年長だと聞かされて育った。深く皺の刻まれた老人達から敬われ今も最前線で戦っている。

 ナガレが送情(そうじょう)と呼ばれる所以はその祓い方だ。法力という清めの力を刀に宿せば、双家の如く退治することは容易い。しかしそれを良しとせずナガレは救おうとする。怪異に飲まれて堕ちた魂を拾い上げ、再び人として送ろうとするのだ。その姿をいつしか送情と呼ぶようになった。


「何を謝るんだ。リツ、頼りにしているよ」


 そう言ってナガレはリツの頭を優しく撫でるのだった。

主人公ナガレさんです。黒髪が美しいのです。見た目は26~28くらいの設定。体のラインが出るタイトな服が好みです。理由は動きやすいから。ストレッチ素材大好き女子。


一方の御結リツさん少しふわっとしたガーリー系。髪は脱色のダメージでバサバサだけど。安い所に行ったのだろうか? コーヒーはブラック派で甘い物が大好き系女子。



どうでもいいお話、じつはこのお話グランドイーターって名前でハイファンタジーを目指してたんですけど気付いたら現代日本になってました。何故かは本人も分からないので迷宮入りです。

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