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あれ?今ハーレムじゃね?


 うう、何でか知らないが身体が言うことを聞かなくなってるようだ。俺の体がまるで俺の物じゃないみたいな、おかしな感覚だ……


(気がついたみたいだね、ゴロ)


 なっ……こいつ直接脳内に……!?


(驚かないで、私だよ。カーミラ)


 なんだって、それじゃここはあの世なのか? しまったな、あんまり遺跡の整備に精を出しすぎて過労死するなんて、なんてしょうもない死に方だ。でも処刑されたカーミラと再会できたし、死んでからようやくツキが向いてきたな。もうちょっと早く、せめて生きてるうちに向いてほしかったが。そうだ、どうせなら異世界に転生したいな。


(ぶぅ~、私もゴロも生きてるよ。でも処刑の時は来てくれて助かったよ、ゴロがいなかったら私、パワー不足で絶体絶命だった)


 なぬ、生きてんのかこれ。の割には全然体が動かせないぞ。口を開くことも、まぶたを開けることも、というか息はできてるか、俺よ。


(心配しないで。色々聞きたいことがあるだろうし、まずは目をさましてあげるね。私の言葉に身を委ねて……)


 んおお?? 勝手に俺の体が動き始めりゅう!! なんじゃこりゃああああ!?!?


x x x x x x x x x x x x x x x


「おわァー!!」

「うわぁ! ほんとに目がさめた!!」

「どう、私たちは友達って信じてくれた?」

「そ、そうね、ひとまずは」

「お、俺は一体どうなって……なんで二人と一緒にいるんだ……」


 思わず口からそんな言葉が出る。あれ、さっきまで口すら動かせなかったのに今は普通に動けるぞ。それにどこなんだよ、ココは。一見どこかの宿屋みたいな部屋だが、どうなってんだ。


「と、とにかくあたしもゴロも色々ワケがわかんないって感じね」

「それじゃ、処刑の辺りから話す」

「おう、頼むカーミラ」

「あの時、ゴロが瞳を見てくれたから生気を吸収して少し力を取り戻せた。それで刺される瞬間に、身をチリにして二人のとこへ移動した」


 心臓を刺されたと思ったが、間一髪で避けてたのか。そういえばあの時、確かにカーミラの瞳を見たら吸い込まれるような感覚が襲ってきた。あの感覚は生気を吸収されてたのか……


「ん? ということは、初めて会った時にまぶたを開けて生存確認したけど、あの時も?」

「うん。おかげで復活した」

「でも瞳を見るだけで生気を吸収出来るなんてインチキもいいとこね」

「この方法は効率悪い。吸血鬼なら、やっぱ血」

「そうだ、さっきの夢はなんだったんだ?」

「それはちょっと長くなる。ふかふ~か」


 もう説明するのがめんどくさくなってきたのか、ふかふかで遊び始めるカーミラ。おいおい、全部理解してるのはカーミラだけなんだからちゃんと話してくれよな。


「力を解放できるくらい生気を吸収したから、ゴロをうっかりシモベにしちゃった。えへ」

「な、なにィー!!」

「そ、それじゃゴロはグールなの、それともゾンビ? きゃー、あたしに寄らないで、バッチい!!」

「私のシモベだから、そんな低級じゃない。まあ悪魔か魔人ってとこかな、たぶん」

「そ、そうなのか、まあそれも悪くないな……」

「はぁ、ついていけないわ」


 悪魔、魔人か。そういえば吸血鬼に生命を捧げるのは神に背く行為ってどっかで聞いたな。名ばかり悪魔、名ばかり魔人だけどカーミラを助けた代償としては安すぎるくらいだ。こんな汚名が増えるだけでカーミラを助けられたのなら、いくらでも増やすさ。なんたって俺は、もうすでに大きすぎる汚名を負ってるのだから。


「で、シモベの夢には入れるからちょっと練習でお邪魔しました」

「そうなのか。でもちょっと恥ずかしいな、あんましょっちゅう入らないでね」

「けち。でもふかふかの恩に免じて控える」

「ははぁ、感謝しますご主人さま~」

「そういえばこのふかふかはなんなの?」

「ああ、カーミラと一緒に作ったイスだ」

「お姉さんもふかふかする?」

「そ、だから二人とも大事そうにしてるんだ。失くさないようにね。あとこれ……イスではないんじゃない?」

「ふかふかはイスだよ~。ね、ふかふか~」


 そういえばいつの間にかふかふかは綺麗になっている。もしかして俺が意識を失ってる間に、二人で洗ったのだろうか?

 しかしこうして3人で楽しく過ごしているのは夢みたいだ。カーミラが吸血鬼だというのもエシャーティは受け入れているようだし、このまま3人でどこかへ旅立ってしまいたいな、なんて。


「でもゴロが吸血鬼に力を吸われてるって言われた時はどうなることかと思ったけど、もう平気そうね」

「もうしばらく休めば元通りだろうな」

「それじゃあたしは一度帰るよ。カーミラはほとぼりがさめるまで日中出歩くのは危険だから、動くなら深夜にしなさい」

「おっけ~。ばいばい」

「もう行くのか、それじゃ」


 まあ普通にそうなるよな。いくら悪魔だとか魔人だとか言っても、俺は今までと何も変わってない。むしろ、今まで通りの日常に戻れそうな事に感謝しなければならない。カーミラだって生きてるし、俺は今までのようにひっそりと暮らせばそれでいいじゃないか。


 ところで、カーミラはこれからどうなる?


「お姉さん帰ったね……ゴロ?」

「……」

「そ、そんなに見つめないで、うっかり生気吸っちゃうよ?」

「おわ、あぶな。うかつに見とれることもできないのか」

「ま、見たいなら気にしない。ふかふか触ってると気が逸れて、うっかり吸わないし」


 おお、ふかふかに意外な使い道が。って、大事な事を考えなきゃ。俺とカーミラはこれからどうするのかをな……


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