第三話 女の子
ガラスがちょっと曇って焦る。
何してんだ俺、いや、何もできないんだけど。てゆうか、どこだよここ。なんだよあのトカゲ人間。
「やっぱり起きてた」
「ひえっ!」
目の前に急に女の子の顔が現れたもんだから、ナギは不覚にも情けない声をあげた。
しかも、その女の子がめっちゃ可愛い。超絶美人だ。
てゆうか、さっきの子だ。
いやまて、さっきなんて言ったこの子。「やっぱり起きてた」だって、、、マジか、じゃあ、もしかしておっさんたちにもバレて、俺の童貞は望まない形で終わってしまうのか。。
「大丈夫。お父様たちには言ってないなら。気づいてもない。」
ありがとう。告げ口しないでいてくれたのか。
つーかこの子、エスパーかよ。俺、そんな不安な顔してたのかな。
「あなた、どこからきたの?」
「わからない」
ナギは素直に答えた。
どこからきたかって言うか、ここがどこか教えて欲しいんだけど。。。
「そう。どこかでさらわれて、連れてこられたのね。」
なぜか彼女は得心げだ。
何を理解したのか、俺にも少し教えてくれないでしょうか。聞きたいことは山ほどある。
連れ去られたってどういうことだ?
俺みたいな一般家庭の高校生をさらって誰が得するんだろう。
「ここはどこで、君は誰?」
やっとそれだけ口から出た。
「私は・・・。」
彼女は少し口を開きかけ、「いや、それより、」ナギに思いがけないことを言った。
「すぐにここから逃げた方がいい。」
「え?」
え〜っと・・・。ん?
「そうしたいのは山々なんだけど、これから出れなくて」
ナギは、コンっとカプセルの扉を叩いてみせた。
「そうね・・・」
彼女は思案顔になる。困っている顔も可愛い。
「もうすぐ夜になる。夜になったら警備も薄くなるし、客もいなくなるから、逃げるなら夜がいい」
言うが早いが、彼女は踵を返した。
「夜、また戻ってくるから、私がくるまでは寝たふりをしてなさい」
「え?」
「わかった? じゃないと、あなた、死ぬだけじゃ済まないわよ」
返事を返す前に、足早に彼女は立ち去った。
「うん・・・」
誰も聞いてないだろうが、ナギは一人、返事を返した。
それにしても、、、
「死ぬだけじゃ済まないって、どう言うことだよ」
死ぬって。。
とても現実的じゃない言葉だ。日常で死を意識することなんて、まずない。だってそうだろ? 平和な日本で、交通事故や病気以外で死ぬことなんて、いや、そもそもここは日本なんだろうか。彼女は確かに日本語を話していた。いかついおっさんも、トカゲ野郎でさえ、日本語だ。ナギが唯一理解できる言語で、彼らは会話をしていた。だが、ここが日本だなんて保証はどこにもない。
だってそうだろ?
そもそも、彼女の話によると、俺は誰かに連れ去られてここにいる、可能性がある。らしい。連れ去られるってなんだよ、で、死ぬだけじゃ済まないって、もっとなんだよ。なんなんだよ。くそっ!
泣きたくなってきたじゃねぇか。