プロローグ・1
新作スタート!
とある都市にて、六人組の高校生が横断歩道を歩いていた。
「うりゃ」
「おわっ」
一人の小柄な女子高生がぼーっとしていた男子高校生の胸に飛び込んだ。
「ふっふっふっ、ねえ驚いたぁ、ねえねえ驚いたぁ?」
その小柄な女子高生、亜麻月香音が笑いながら、男子高校生に問うた。
「お、おう。びっくりした~。いきなり飛び込んでくるなよ」
飛びつかれた男子高校生、新真川天夜が驚きながらも、ゆっくりと相手に返事をした。気のせいか、抱き着かれた時に、殺気のようなものが感じられたが、それを無視した。
「いきなり抱き着いてやるなよ、香音」
「さすがに、歩いているときは危ないですからね」
香音が抱きついた事を優しく咎めた、大柄の男子高校生とハーフの男子高校生は、自然な流れで天夜の真横に並列して、歩き始めた。
「う~ん。じゃあ、そうするよ。今度からね」
その返答に大柄な男子高校生、黒波連夜とハーフの男子高校生、澪川蘭斗は苦笑した。そして、先程からずっと香音を睨んでいる女子高生、天谷優里に香音は口パクで、
『もっと、素直になったら』
と助言した。それに頷き、勇気を振り絞って天夜に話しかける直前に、
「早くいこ~よ~」
「はいはい、分かりましたよ」
蘭斗の腕に抱きついている女子高生、柏原鈴花の要求に蘭斗が応じた。
そのせいで、優里が話しかけるタイミングを逃し、涙目で睨み付けるも、鈴花には届いていないようで、それを見つけた連夜に、
「あ~っと、どんまい!」
「くっ、連夜に慰められるなんて」
「おいそりゃあ、どういう意味だぁ!!」
慰めたが、皮肉を言われて叫ぶ連夜に周りが笑う。いつもの日常だった、はずなのだが……
居眠り運転で、トラックが突っ込んで来て、
「あぶねぇ!!」
天夜が五人の背中をギリギリ全員をして、
五人の目の前で、轢かれてしまった。
「えっ」
◇
「うっ、ここ……は…?」
天夜は気がついたら、小さな和室にいた。
「ここは、いったい……お、れは………そうだ、俺はあいつらの背中を押して、うぷっ」
自分になにが起きたのか、思い出して天夜は吐いた。
自分が轢かれた事が覚えているのに覚えだせなくて、自分が死んだ事を受け入れられなくて、そして吐いてしまった。
「はあっ、はあっ、はあっ」
『大体…は……落ち着いた………?』
いきなり頭に響いた声に、虚ろな瞳で周りを見渡した。
ぱちんっ、という音が響いたら、気がつけば周りは一転して応接室のような洋室にいた。驚くことに、口の中に多少残っていた嘔吐物が、無くなっていた。
正面には、長く滑らかな金髪を垂らして碧眼で、こちらの顔を心配そうに覗き込む、美女がいた。
◇
「やっと、来てくれる。あのお方が、やっと」
こちらを主に書いていこうと思います。