泣き虫のポシェット
ポーちゃんの進化先はバレバレのような気がします
応援よろしくお願いいたします
読んでくださる方には感謝を
パンパカパーン! ドンドン!! パフ~
色々あったけど遂にポーちゃんの特殊進化です。マザーにパイセン、賑やかしありがとね
条件を纏めてみるよ
1:下級精霊以上の進化をしている
2:特殊進化アイテムを持っている
3:進化の種を使う
1はクリア、邪精霊は伊達じゃない。2はジャックに貰った提燈。
3はわたしが持ってる
「最終確認だよ、ポーちゃん準備は?」
「問題ない。あね、始めて」
よしそれじゃあ、あーんして。あれ、光兎に口あったっけ?
あ、あるみたい。ポーちゃんの口に進化の種を入れると黒い気が包み込む
それが身体に収まると新たな姿が見えて……ん? 姿が見えて……ぎゃあああー!!
「あ~ねえ~~」
ひい! 頭は蕪を削ったマスクみたいになってる!! その見た目の怖いこと怖いこと
身体はボロボロの黒いローブだ
すっぽん!
おっそろしい蕪マスクを脱いだポーちゃんはリアルの顔と少し違ってた。髪型は変わってないけど色は白くなり、目は邪精霊の時と同じ金色だ
「あね、怖かった? フフフ……」
どっきり大成功! じゃないよ、もう。マザー、そのプラカードは何かな?
ポーちゃんの進化先は【ジャックオーランタン】そう、あの沼地のジャックと同じ種族である。蕪を使ったランタンは元々の古い伝承らしい
運営のこだわりか?
「とにかく却下!」
「あねが私を否定する」
あわわ、そうじゃなくて
「もっとカワイクします。じゃーん!」
【誰でも魔女装備】あのねこれ課金で本来の装備の上に被せると性能そのままに見た目だけ変わるっていう、おしゃれアイテム。何も装備してなくても反映されるので使わない手はない
買ったのかって? いやいや、ポーちゃんへの謝罪のなかに入ってた。もうちょっとしたら公式ショップに並ぶのを先行して貰ったもの
わたしの【物質変化】に反応するし、とことんやったるで──
頭は定番の黒いとんがり帽子。これに、小さいかぼちゃ頭を乗っけた
服はノースリーブの白ブラウスに黒のボウタイをリボン結び。チェック柄のミニプリーツスカート
ニーハイのタイツは右側がストライプ。左側は、かぼちゃ頭と星の模様
靴はローファーにして、最後にコレを渡さなきゃ
「光兎ぬいぐるみポシェット!」
わたしの形をした白いポシェット。造形に苦労したぜ、はいどーぞ
受け取ったポーちゃんは笑顔だ
「良い、実に良い……とう!」
かわいいポーちゃんにダイブをかます、わたし
ポヨン
何かに阻まれる、わたし
「あね、セクシャルガードの設定を忘れてる?」
そうだった。人型になったポーちゃんに悪さするやつが出ないように許可なく触れる事が出来なくなる機能。わたしは悪さしないよ
個別に設定が出来るようでフレンドのわたしは解除してくれた。今のわたしはポーちゃんの腕のなか。くふふ
人型かあ、わたしのインベントリにも気になるアイテムが未使用で眠ってる。ってか使えないんだよね、コレ
わたしが人型になれるとしたらコレが関係するんじゃないかなあ
「あね、そろそろ行く?」
おっとそうだった、進化したのはドラゴンに挑むためだったね。私たちが気合いを入れて作戦を確認していると、空中に赤い魔方陣が現れてヌルッとヤツが出てきた
「やや! 間に合ったようですな」
出たなキザ野郎、その名はジャック。む、ポーちゃんを見る目がやらしい
「おお、これはこれは美しい。わが同輩よ、その姿はまるで一輪のバラ……」
おまえ、そのかぼちゃ頭で何言ってやがる
「マザー、野菜の煮物たべない? かぼちゃが入ったの」
ごそごそと調味料を出すマザー。止めにでっかい包丁を出してきたよ
あ。逃げた
「姉君は、なかなかに辛辣ですな。では用件を済ませるとしましょう」
そう言ってジャックが取り出したのはフリル付きのゴシックなパラソル
「お預かりした魔皇樹の杖から作りだした逸品で、金属の硬さを持ちながら軽量化に成功。片手で扱えます」
メビウスが寄越した禍々しい杖、あれジャックに預けてたんだ。へえ性能はそのままでパラソルにしたの? むむ、ポーちゃんに似合うじゃないか
「裏妖精郷の名工である、わたくしにかかれば容易き事。あと、お揃いのコレを」
ジャックとお揃いのマントがポーちゃんに渡される
「傘を装備すればINTが向上し、開けば魔法の防御力大。マントは対火、対刃に優れ防御力もかなりの物でフロイラインに相応しき優雅さも備えた品に仕上がりました……で料金ですが」
ポイっと渡したジャックの石像。わたしが物質変化で作ったのをポーちゃんのスキル【染色】で黄金色に塗った
ポーちゃんはスキル幾つ持ってるんだろ
「おおおお何と素晴らしい! わたくし感動致しました」
はい、よかったね。だから早く帰れや
「では御入り用の際は、御用命を」
スッと消えるジャック。やっと帰りやがった
さて装備も揃った、改めて行こうか
──ズンズン進む、迷わず進む。そしてついにボスフィールドに辿り着いた
ヤツが居る。作戦はこうだ
ポーちゃんのち・か・ら・お・し。いやだってそれで大丈夫って言うんだもの
どんだけ強いのよジャックオーランタン
「あね、始めるよ。隠れてて」
堂々と真正面から挑むポーちゃん。開幕は……
「闇の追球」
突き出したパラソルから3個の黒い玉が飛んでいく。迎撃しようとしたドラゴンの爪をかわし顔面に全てヒットさせる
痛そうに呻くドラゴン。お返しの一撃は怒りの大咆哮
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァーーー!!」
げえ! 状態異常の【怯み】になっちゃった。動けません
ポーちゃんは……パラソル開いて無効化してる
そこからは凄かった
襲い来る爪をパラソルで反らし、反撃に闇魔法を撃ち込む。竜の息吹の気配あれば飛行し(飛んでる!?)顎を蹴りあげる
ドラゴンがたくさんの魔法の矢を発動させると範囲魔法で迎撃
「黒き稲妻の雨!」
「鬼火」
ポーちゃんが2人になった! 素早い連携で追いつめていくが牙と爪に捉えられる。触れた場所が蒼白く燃え上がった
思わぬダメージに動揺するドラゴンの頭上に3人目のポーちゃんが現れる
「トリック・オア・トリート」
ハロウィンでお馴染みのセリフを呟くと、たくさんのお菓子爆弾が降り注ぎドラゴンが火の海に包まれた。不発弾もあるんだ、お菓子か爆弾か
おー、出番ないなこりゃ。まあ、分かってた、呑気に観戦して油断し過ぎていたんだろうね
──それは不意に訪れた
ポーちゃんが優勢に戦うなか1秒にも満たない静寂。それを突き破らんと地面から衝撃が襲いかかった
大地の激震
ドラゴンが逆転を狙った大魔法。余りの激しさに浮遊する間もなく何度も身体を地面に打ちつけられた
悠然と空を飛んでいるポーちゃんが何かに気づいて、わたしの前に降り立つ
瞬間!
渦を巻きながら豪炎が迫ってくる。放たれた息吹は視界全てをオレンジ色に染め、焼き尽くさんと熱量を解き放った
わたしは堪らず顔を伏せる
「ごめんね。ナギお姉ちゃん」
聞こえた言葉に答えようと、顔を上げた時にはキラキラと輝く粒子を残してポーちゃんは消えていた
ポーちゃんばっかり不幸な目にあいますがステータスのLUKも、ある理由により0です
実は生産職だったジャック氏