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絆 ONLINE ~泣きむし自爆娘と愉快なフレンドたち~  作者: 一 万丈、
だって涙が出ちゃう精霊だモン
8/91

泣き虫とやり過ぎAI

ひとによっては後半に少し不快要素があるかもしれません

主人公たちの設定の根幹に関わる事なので書かないのも違うような気がしまして、先にお詫び致します

応援よろしくお願い致します

読んでくださる方には感謝を

 

「私を進化させて」


 え……わたしの持ってる進化アイテムを使えって事よね。ポーちゃん、まさか姫プレイに目覚めたの!

 そりゃあ奢るくらいするけど、いや際限なく貢ぐだろうけど純真なままのポーちゃんでいて欲しいというか。お姉ちゃんにべったり頼って欲しいというか……えへ

 ひーちゃんとべったりいいいぃ


「あねの思考が暴走してる」

 ハアハア(スパーン!)ぐえ! どこからハリセンなど。マザーあんたかい!

「あね、私の話し聞いて」

 はい、正座で拝聴します。今、兎だから足ないけどね

 兎に足がないのは、おかしいって? いやいや、この光兎たちってのはフワモコ毛玉に目と耳が付いてるだけの生き物なんだよ

 移動の時は身体全体で、ぴょんぴょん跳ねるの。ぴょんぴょん~って


「あね、脱線しない」

 怒られた。怒るポーちゃん兎さんカワイイ……はい、ごめんなさい


 ポーちゃんの話しによると精霊は次の進化が枝分かれするらしい。シンプルなのは中級精霊パイセン

 属性そのままでステータス数値が上がるのみ。あとは特殊進化

 クエストを達成して条件を満たすと進化先が追加されるみたい。今回、ポーちゃんが提案したのは特殊アイテムによる手段

 持ってるだけで良いんだって。よく知ってるねポーちゃん

 え! 情報を得るスキル持ってるの? 何それ、どんなスキル?

「あね、他の人のスキルを詮索するのはマナー違反」

 う。情報開示は本人の意志が優先されるって規約ね

 

「ここには無いから取りに行く。マザー、扉を開いて」

 急におろおろしだすマザーに鋭い目を向けるポーちゃん。やがて観念したのか鍵を懐から取り出し、空中に向けて差し込む仕草をした

 なんと目の前に鉄で出来た扉が現れたではないか


「あね」

「は、はい!」

 突然の事に唖然としてるとポーちゃんはこう言った


「あね、ここから先は1人でも行ける。もし付いてくるなら覚悟したほうがいい」

 なんだか怖い事を言う。マザーも不安気な顔してるし

 でもね、ポーちゃんが行くのに待ってるだけなんて出来る訳がない。わたしも行くよ


「うん。あね一緒に行こう」



──裏妖精郷


 重い扉を開けた先は紫色の瘴気が漂う異形の大地だった

 植物は毒を吐き木々は、ねじ曲がり葉を繁らせない。空は灰色に濁り、流れる水は黒く澱んでいる

 動くモノは負の生命を与えられた不死者しかいない……明るい表の妖精郷とは全く違う世界。ここは裏妖精郷、暗黒の終着点


 ひえ、覚悟しろってこういう事か~。わたしホラー系は苦手なんだよね

 わ! ホネホネさん寄るな寄るな。ホネさんや腐肉(ゾンビ)さんに絡まれないよう、ふたりしてモッフリャー姿でパタパタ飛んで行く

 ポーちゃんに先導され辿り着いたのはドス黒い水を湛える沼地だった。しばらく進むと遠くの方に、うっすら青白い光が並んで2つ見える

 あーあれは知ってるぞ、鬼火(ウィルオーウィスプ)ってやつじゃないか。迂闊に近付くと沼に引きずり込まれるっていう怖いやつ

 ん、んん? こっち来る! 2つの鬼火に見えたモノは私たちの目の前に来ると、その正体を現した

「ようこそ、お嬢さん方。わたくし沼地の主ジャックと申します」

 それはハロウィンの時期に見る、かぼちゃ頭をしていた。タキシードを着込み、襟の大きなマントを付けた姿で優雅にお辞儀してみせる

 光って見えたのは彼の目だ


「ジャック、あなたの持つ提燈(ランタン)が欲しい」

「おう、これはこれは。あなた様のお望みとあらばすぐにでも。がしかし……」

 ポーちゃんの要求に渋る言葉を出す、かぼちゃ頭


「この裏妖精郷には表の世界同様に管理者が居られます。そのモノの許可なくしては、お渡しする事これ困難でございます」

「何処に居るの?」

「さて、それは……」

 キンッ

 !!! なに今の? 心臓を鷲掴みにされたような感覚……

「!! い、いやこれは参りました。管理者はあの大樹の麓でございます……」


 あっさり降参したジャックさん。ひょっとしてポーちゃん何かした?

「あね、行こう」

「う、うん」

 なんだか今日はポーちゃんに圧倒されっぱなし。リアルでは控えめな性格だけに驚いてる


 裏妖精郷には魔皇樹と呼ばれる大樹がある。枝に葉は無く、幹たちが見上げる者を押し潰さんと迫ってくるように思えた

 地上にまで出張った根が囲むように生えた場所に、その人は居た


『なに用か? ここは、そなたらのような者たちが来るところではないぞ』

 

 まるでパイプオルガンの様に響き渡る【精霊語】で女性が話しかけてきた。紫色の髪を長く伸ばし、手には鎖が巻き付いている

 どことなくマザーを感じる。同じ管理者だから容姿は似せているのかな


「あなたにジャックの提燈を持ち出す許可をして欲しい」

『ほう。ここまで来たからには資格ありと言う訳か』

 ポーちゃんの言葉に面白そうに嗤う


『では、これを持ち力を示してみよ』

 頭上よりスーッと降りてきたのは呪われてそうな1本の杖だった。ポーちゃんがそれに触れると一緒に消えてしまった


 えーと、これあれだね。自分と同じ能力の敵と戦って勝てという、お約束なやつ

『そんな生易しいものであればよいがの』

 不安を煽らないでよ。まったく──


 しばらく待っていると魔方陣みたいなのが現れてポーちゃんは戻ってきた。でも……泣いてる?


「ポーちゃんに何しやがった!」

 怒りのあまり、わたしは叫んでいた。許さない……ひーちゃんを傷付けるやつは許さない!


「ナギおねーちゃん!」


 強く、強くわたしを名前で呼ぶ


 スッと気持ちが冷めていく。ああ、そんな笑顔でわたしを見ないで。無理してるのが分かってしまうから


「力は示したよ。これで許可するよね」

『よかろう。その杖を持っていけ、それが許可証だ』

「あね、戻ろう」

 いつもの感じに戻ってる。何があったか教えてくれないんだろうなあ


「あなた、名前は?」

 苛ついた声が、わたしから出る

『メビウス、始まりと終わりを見守るモノ。始まりと終わりは交わり命は違う道をゆく』

「あ、そう。今日の事は忘れないよ」

『そうか。また再び相見えようぞ』

「お断りしたいわね」

 さて、今度こそ帰るか。かぼちゃ頭に八つ当たりしてやる!


 そのあとジャックに杖を見せて提燈もらったついでに文句を言ったら、平身低頭で謝られた。運営からも、ひーちゃんに謝罪が来たらしい

 まったくもう! やりすぎだよ。まったくもう


 本当ならポーちゃんを進化させようと思ってたけど気分最悪なんで今日はもう、ふて寝する! ログアウト


───


「ヤバい、寝すぎた」

 時刻は23時。昼寝したのが14時くらいだったから9時間も!

 母に見つからないように電気を消したままキッチンでゴハン漁ってたらパッと明かりが・・oh

 


  






 

 

 


  

 


運営「メビウスやり過ぎだよ」

  「ひどい……」

  「謝罪するぞ、ジャックにも頭さげさせろ」


メビウスも進化型AIですが性格は少し歪んでいます。決して悪人では、ないのですが…… 

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