評価と価値
前回の続きなので少し短めです
ブックマークや☆ポチの評価ポイント、いいね! など応援よろしくお願いします
読んでくださる方に感謝を
待ってくださっている方にさらに感謝を
「えい! スカルストライク!!」
ポカ、ポカ、ポカ
「やりましたね~。バンシィナックル~!」
ポス、ポス、ポス
「身共、ひま」
「主様、ファイトです!」
『まあ……こうなるわな』
VS. FIELD NO.4
◆エクト VS. ◆モカ
主様により、この世に生を受け数分。わたくしは懸命に主様を応援しております
この状況になってしまった原因。それは主様が自ら先頭で戦うことを望まれたからです
「ふん、そんな攻撃は効かないわ」
「それは、こちらもですぅ~」
どうやらモカ様もエクトお母様も、物理戦闘は素人と変わらないようです。主様は後衛職であり、エクトお母様は生産職がメインなのですから当然でしょう
死霊術師専用の杖【人生無情】でポカポカ殴るのが限界のようです。エクトお母様なんて素手で応戦している有り様です
さて私事で恐縮ですが、少しばかり説明させて頂きましょう。わたくしの種族は【霧人】と呼ばれております
身体を霧に変えることが出来、どんな狭い隙間でも入り込むことが可能です。ですが、相手の肺に入り込み窒息させるなどは出来ません
元々は霧の中に迷い混んで、亡くなられた霊魂が集まったアンデッドモンスターです。霧で視界を奪ったり、感覚を狂わせ迷わせる等といった間接的な攻撃しか無理なのです
今のところは
はい、今のところはです。この先の進化次第では、その攻撃力が凶悪化いたします
たとえば、霧化した身体を強酸に変えるとか……そこまで行かなくても睡眠や麻痺など、状態異常にする霧になったりと多彩なことが出来る種族なのです
同じように霧化しても、逃げるしか出来ない吸血鬼一族とは違うのです。ええ、断じて違います
さて、その一族である幼い吸血鬼をチラと見やります。主様を写し取ったその容姿。妬ましいです、羨ましいです
おそらくAIはわたくしの方が優秀でしょう。エクトお母様に恨みは有りませんが、より優れた方が主様のお姿に相応しいのではないでしょうか
……わたくしのAIが告げてきます。それは嫉妬という醜い感情だと
吸血鬼という種族は優秀です。いずれ成長すれば、わたくしを置いて恐ろしく強くなるでしょう
ロードともなれば、まさに魔王にも匹敵します。産まれる時の宝珠の数、如何に関わらずこればかりは運次第です
主様は余程、運に恵まれた御方なのでしょう。ただの1度で引き当ててみせたのですから
そして現実を突きつけられた時、わたくしはどうなるのでしょう。おとなしく、この吸血鬼の下に付くのかそれとも──
──もういっそ、この手で
「むぎゅ!」
頭の上に何かがのし掛かって来ました。ああ、この御方は
『何か暗い顔をしているな。まあ、見当が付くがな』
負の生命を司る精霊。光ウサギというモンスターの姿を借りたこの御方は、我ら不死者たちの創造主
普通の精霊たちにとってのマザーエーテルのような存在です。メビウス様も似たような存在ですが、あちらは闇も司るため、一緒には出来ません
『自らの価値を決めかねているのだろう? 気にすることは無いと思うがな』
そこまで判りますか。この御方も生まれて間もないはず、わたくしたちとの思考能力の差は何処から来るのでしょう
「わたくしは……不安なのでしょう。主様にとって価値の無い存在となってしまうのが。それはとても恐ろしく思います」
いつか『お前は要らないよ』そう言われてしまうのではないか。吸血鬼にとても及ばぬ従者なのですから
『評価は他人がくだすもの、こればかりは残酷にも決まっている。だが価値を決めるのは汝自身にも可能なのだぞ』
「わたくしが?」
それは、どういうことでしょう?
『左様。価値というものは翻って考えれば、どのように生きたか若しくは生きるかだ。他人から見た自らだけが全てではないのだ』
「生き方を自分で決める? わたくしは主様の従者なのに?」
『従者であることに変わりはない、しかし従者が主の命令だけで動いているわけでもない。……そうだな、取り敢えず目標を定めてみることだ。理由が有れば生きることの不自由さは多少、無くなるはずだ』
「目標の見つけ方など知りません」
それは、わたくしにとっては与えられるものなのですから
『そうだろうな、人のなかには一生をかけても見つけられぬ者も居る。汝は多くの知識を学ぶが良い、そして経験すれば良い。それだけでも少しは違ってくるものだ』
今はまだ何も知らないのだから
わたくしは自らで耳をふさぎ、目を閉じていたのかもしれません。与えられるもの、それだけに固執する動きを止めた存在なのでしょう
なるほど、少し分かった気がします。たとえこの小さな姉に勝てなくとも、良いではありませんか
わたくしは、わたくしなりに主様のお役に立ちましょう。その結果がどうであろうとも
『少しはスッキリした顔になったな』
「はい、ありがとうございます。しかし不死者に生き方を説くとは、御方様は面白いですね」
『なに、子供たちに世話を焼くお節介ものなだけだ』
「ふふ」
主様たちの戦いも、一段落したようです。このままですと引き分けで終わりそうですね
「あるじたちだけ、あそんでズルい! 身共もまぜて!」
「ハアハア。こ、こっちは必死だったのよ。遊んでなんかないわよ」
「そ、そうですよ~。ゼエゼエ、遊んでなんかいません~」
吸血鬼がおとなしくしているのに我慢できなくなったみたいですね。ですが、そろそろ時間切れでしょう
主様たちも肩で息をしている有り様です、ここまでですね
「私たち遊んでるように見えたの? ねえ、ネブラ?」
主様がわたくしを見てそう言います。え? え?
「あ、あの……」
「ずっと考えてたのよ、あなたの名前。……ダメ? もうちょっと考えようか?」
必死に戦っている間にも、わたくしの名前を考えてくださっていたのですか。わたくしの名前……それは、わたくしの存在を認める言葉
今は、何より嬉しいことです
『我の目も曇ってはおるまい? 能力で見捨てるような者を選んではおらぬよ』
「御方様……」
悩んでいたことは無駄だったようです。ああそうだ、ちゃんとお答えしなければ
「ええ、とても仲が良さそうでしたよ」
「うげえ」
「ええ~」
お二人とも、とても疲れた顔で肩を落とされました。申し訳ありませんが、素直な感想です
「あるじ、身共! 身共にも、なまえ!」
「まってー! 今は休ませて。考える余裕がないのー!」
吸血鬼が主様に纏わりついて困らせてます。仕方ありませんね、助けて差し上げましょう
「はなせ、妹! 身共のなまえー!」
「姉たるもの、我が儘ではいけませんよ」
ふふ、この関係も悪くはありませんね
◆エクト VS. ◆モカ
時間切れ引き分け
負の生命を司る精霊にハデスの名が付くのは、もう少し後のことです
死霊術師の説明がやっと出来ました。従者であるネブラ視点になっております
エクトだと語尾がアレですし、前回はモカでしたから
ハデスがいいやつになってしまった、まっいいか
それでは、また




