表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/91

泣き虫と経済事情

ブックマークや評価ポイントなど応援よろしくお願いします

読んでくださる方には感謝を 

 【精霊語】

 

 わたしたちが使っている言語。妖精郷の中ではこれで通じるため人種の言語を学べる所も機会も無かった

 今後ゲームを進める上でプレイヤー同士で言葉が通じないのは、かなり厳しい。精霊語は歌ってるように聞こえるだけのため意思疎通は難しくなりそう

 ちなみに、わたしはソプラノ風でポーちゃんは鈴虫みたいな「りーりー♪」って音がする。耳に心地いい


「プレイヤーさんたちの中に精霊語が分かる人って居ると思う? ポーちゃん」

「職業に精霊使いがあるらしいから、もしかしたら」

「じゃあ野良募集みたいに叫んでみる? ふたりで」

「他に手はない。それに私たちは目立つ」

 そう。わたしの真っ白なヨロイと発売が始まったばかりなのに改造されているポーちゃんの魔女装備

 これが目立って、通り過ぎていくプレイヤーさんたちがチラチラとこっちを見るんだよね。よく見なくても、他のプレイヤーさんたちの装備にハデさは無い


「悪目立ちして絡まれそう。さっさと通訳できる人をさがそうか」

 ポーちゃんに絡んできたら自爆してやるがな。おっと痛覚設定をオフにしとかなくては

 あれ痛いんだ、ホントに


「じゃあ始めようか。誰か、精霊語わかりませんか~」

『らーらーるーららー♪』

「精霊使い、いませんか~」

『りーりーりりー♪』

 なにやら目の前に人だかりが出来てきたけど、皆黙って聞いているだけで話しかけてこない


「誰か言ってること分かりませんか~」

『ららるーらるらー♪』

「見せもんじゃないぞ、こら~」

『りりりーりりーりりー♪』

 ポーちゃん、それはマズイ


 そうしていると、ひとりの男性が進み出てきた。その人は、おもむろに小さなハープを抱えると演奏を始めたではないか

 綺麗な曲を弾きながら、わたしたちに目線を送ってくる。歌えって事かな


「歌ってるんじゃないんだけどな~」

『ららるーるららー♪』

「カネとるぞ、こら~」

『りーりりりりー♪』

 ポーちゃん、それはアカン


 なんだかんだで1曲弾き終わり、優雅に礼をしてプレイヤーさんたちに何か喋ってる男性。ポーちゃんもカーテシー決めてるので、慌ててペコリ

 するとプレイヤーさんたちから拍手が鳴りだし、ポーちゃんが脱いだ帽子に飾ってる、かぼちゃ頭にお金を入れだしたではないか

 そしてキリのいいところで、皆さん解散となった


 わたしたち3人が無言で向かいあっていると、ニコッと笑った男性は地面に文字を書き出した

 『ナターリオ』

 右手の人差し指を自分に向け、左の指を地面の文字に向ける


 その手があったか!


 筆談なら問題なく会話できる。なるほどナターリオというのがこの男性の名前か

 よく見りゃかなりのイケメンおにいさんでは、ありませんか。わたしたちもイケメンさんに倣い地面に名前を書いた

 『ポシェット』『ポーチ』

 それを見たイケメンさんは驚きの表情を見せ、ブラウンの髪の毛を掻きながら考え込みだした。わたしたちの視線に気づくと、ちょっと待ってと手で合図してから空中を見上げ独りで喋りだした

「多分、フレンドチャット」

 ポーちゃんが教えてくれた。ほー、あれがそうなんだ

 そう言えばポーちゃんとはしたことないね。いつも一緒なので

 ぐへへ


 チャットを切り上げたらしいイケメンさんは再び地面に文字を書く

『精霊語が分かるフレンドに連絡した。近くの店に居るので付いてきて欲しい』

 コクコク頷くポーちゃん。知らない人に付いていっちゃだめでしょ


「あね、大丈夫。【看破】に抵抗しなかった、敵意は無い」

 いつの間に……看破のような相手の情報を得るスキルは抵抗されると効果が無くなるらしい。スキル等は秘匿したい人もいるため、許可なく使うと揉め事になる可能性が出てくる

 お互いの信頼が大事なのだ。まあ、隠蔽するスキルも有るようだけどね

 もし騙してたなら店ごと自爆してやる。筆談も面倒だし行ってみるか


 イケメンさんに連れられて到着したのは、どうやら酒場のようです。こんな施設まで作ってたのね

 カウンター席に座ってる女の子がこちらに気付き、ブンブン手を振ってる。目の前に立つとイケメンさんと一言二言会話をし、こちらに向き直った


「ホントに来たのけ? もうちっと用心せえじゃ」

 怒られた。でも本当に精霊語だ『ちりーん♪』って風鈴みたいな音がする

「まあ、来てくれたのは嬉しいじゃ。わしはアルテアいうでな」

 お爺さんのような変な喋り方をするアルテアさん。見た目は小さな女の子……なのだが耳が人間より大きくて先が尖ってる

 白い髪で瞳は紫色。何より肌が黒く、止めに酒くさい

 とりあえず、移動して4人でテーブルを囲んだ。イケメンさん、パンケーキ食べるの? わたしもそれ頼もう。ポーちゃんは焼き鳥なのね

 

「ダークエルフ?」

 わたしが問いかけるとニイッと笑ってみせた

「ダークエルフのロールプレイというのが正解かの」

 わたしには分かる。この人は強者だ

 まず装備が違う、着物姿なのだ。さっきまで集まっていたプレイヤーさんたちの中には和装は居なかった

 つまり、わたしたちと同じ専用装備みたいな物だろう。そしてダークエルフ

 ゲームをやり込んだ者は普通のプレイでは満足できなくなってくる。唯一化とでも言うのだろうか? 

 他人とは違うスタイルを模索しだすのである

「うい~。酒はええの~」

「酔っぱらいもロールプレイなの?」

 腰に瓢箪ぶら下げて、ガブガブ飲んでるよ。顔真っ赤にしながら

「こっちは素じゃて。現実で大酒すると、怒られるでな」


 ハア、と気の無い返事をしておく。それよりも、わたしたちの用件だ

「普通の言語は習得できるの?」

 ふ~っと息を吐いてから答えてくれた

「習得自体は簡単じゃて。図書館に行って【共通語】のスキルブックを買えばええ、場所は─」


 始まりの街

 普通に人種で始めればスタート場所である。ここからは森を抜けて行けば着くらしい

 道中モンスターはもちろん出るが強くなったわたしたちなら問題ないだろう。いざとなったら飛んで行くし

 

「案内してやってもええがのう。おぬしらと組むと目立って、のんびり出来んしのう」

「わたしたち装備が派手だもんね」

 おやおやって顔された。なんぞありますかの

「装備もそうじゃが、おぬしら二人は有名じゃぞ。ドラゴンの討伐者としてワールドアナウンスされたんじゃ、ほれ、今も……」


 入り口から来た数人のプレイヤーさんたちが、わたしたちと話したそうにしてる。それをイケメンさんは笑顔でやんわりと断ってくれてるみたい

「アレもわしも結構、名が売れておっての。絡まれるのはゴメンじゃて、すまんの」

 それでも連れてきて、教えてくれたのか。思ってたよりもイイ人たちみたい


「ところでスキルブックは5000(ジー)するんじゃが持っとるのけ?」

 アルテアさんの問いかけにポーちゃんが、かぼちゃ頭をじゃらじゃら鳴らす

「あね、足りない」


 今まで必要なかったもんね、ハア。とりあえず注目を自分に集めるために、歌いだしたナターリオさんの分け前を置いて、マザーの経営する旅館で対策会議でもしよう

 今日はそこでログアウトかな


「アルテアさん、ありがとね。ナターリオさんによろしく」

「有名税はトラブルを呼ぶでな。気を付けるんじゃぞ」

 

 目指すは始まりの街


───


 とある女性プレイヤーの邂逅


 私たちは大人気の癒しスポットと言われる妖精郷にやって来ました。ドラゴンに塞がれて通れなかった道が二人のプレイヤーによって開放されたのです

 世の中には凄い人たちも居るんだなあ。どこかで会えたりするんだろうか……

 温泉施設やウサギモンスターに癒されながら、探索していると可愛らしい声が聞こえてきました。どうやら二人のプレイヤーの歌声らしく、人だかりが出来ています

 私たちが静かに聞いていると、一人のカッコいい男性プレイヤーが歌声に合わせてハープを弾き始めたではありませんか。みんな時間が経つのを忘れて聞き惚れています

「以上をもちまして終了です。ご静聴ありがとうございました」

 男性が優雅に礼をしながら終了を宣言する。まわりは拍手喝采

 可愛らしい魔女の子が帽子を脱ぐと、その飾りであるハロウィンのかぼちゃ頭に、皆さんお金を入れ出しました。わたしも2Gほど

 

 それから光兎饅頭とか精霊樹木刀などのお土産を見て回ったり、ハナマキトカゲ園を見学したりしました。そしてハッと気付くとあの噴水広場に戻って来ていたようです

 噴水の縁に腰かけて休んでいると、地面に書かれた文字が目に入りました。私はそこに書かれているものを読むと、とても興奮しました

 ナターリオさんってトッププレイヤーのひとりじゃない! あのカッコいい人がそうだったんだ。うわー、握手してもらえば良かった

 そしてあとの文字を読むと、激しく胸が高鳴りました。えっ! この名前って確かドラゴンを倒した……凄い! 

 トッププレイヤーとドラゴンスレイヤーの邂逅なんて。とんでもない有名人たちの演奏会だったんだ

 でも何で地面に名前を書いたんだろ。どうやら続きの文字に解答があったようです

 精霊語が話せてナターリオさんのフレンドと言えば。そうか、あそこね

 私は仲間たちを誘うと目的の場所へと移動をしました─


 やっぱりいた。もうひとりのトッププレイヤーも一緒だ

 飲んだくれヒーラーアルテアさんなら酒場が怪しいと思ったんだ。私たちが、おずおずと近寄るとナターリオさんが話しかけてきました

「やあ、申し訳ない。少し事情があってね、わたしでよければ話を聞くよ」

 わーわー、私たち会話してる! 色々、聞きたい事はあるけど浮かれて言葉がなかなか出てきません

「うーん。じゃあ1曲披露してもいいかな。お代はいらないよ」

 立ち上がってハープを弾きながら歌い出すナターリオさん。ドラゴンスレイヤーの二人は出ていったみたいだけど、この歌を聞き逃すなんて出来ないよね

 

 その日の事は楽しい思い出として私の心に刻まれています



 


 

 


酔いは【酩酊】という状態異常になります。視界がぼやけたり、普通に歩けなくなる等の障害が発生するのですが飲んだくれさんは、その状態でトップヒーラーの地位を確立した剛の者です

イケメンさんはバッファーですね


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ