第15話「焼肉をやろうPart1」
「兄さん」
「ん?」
「暇」
「そうか」
「暇ー」
「そうだな」
「実は僕の身体にはヒマジンとイマジンが憑いてるんだよ」
「そうですか」
「ひーまー!」
俺のそっけない態度にイラッときたのか、ブランブランと揺れる羅門。
暇なのはわかったから天井にぶら下がるのはやめろ。
天井が壊れそうで怖い。
とりあえず羅門を天井からおろした。
「兄さん。僕は思うんだ」
真剣な顔で羅門が言う。
「第10話から第14話まで、僕軽く空気だったんだよ!」
……。
おいしいとこだけ持ってっといて何が空気だコラ。(第12話参照)
「だからね。焼肉パーティをしようと思う」
動機が意味不明過ぎるだろ。
とりあえず羅門が異常にうるさいので焼肉パーティをする破目になった。
二千円までと制限をつけ、羅門には肉を買いに行かせている。
問題はメンバーだが……
とりあえず岸田を誘うことにした。
電話をかけ、焼肉パーティに至るまでのいきさつを話すと「俺の方が断然空気じゃねえかふざけんなコノヤローぐらの次に登場したのに新キャラより出番がないとはどういうことだおいこらちゃんと俺の話を聞けそして出番をよこせ」などと騒いでいたが無視しておいた。
一応参加はするらしい。
流石に涼香を呼ぶ気にはなれなかったのだが、良い肉を気前よく持って来てくれると嬉しいので誘ったら「庶民の料理を食べるのも悪くないですわ」などと鼻持ちならないことをほざいていた。
多分霧も来るだろう。
ちなみに電話番号は連絡網より。
後は詩織だな。
詩織に電話すると思ったより反応が良く、「りえりえと優も連れてくから」と半分はしゃぎながら返答してくれた。
みんな好きだなぁ焼肉。
ちゃんとみんな肉持って来てくれるみたいだし。
鳳凰院家の用意する肉が凄まじいことに期待。
ちなみに有馬は用事で来れないらしい。
「よっ」
片付けつつホットプレート等を用意していると予定より十五分程早めに岸田が到着した。
「おう岸田。早かったな」
「俺さ……これで登場やっと四回目なんだぜ………ははっ」
まだ僻んでるのかコイツは。
「ま、まあこれから出番増えるさ…」
「そうだよな。俺、お前と親友だもんな……」
「ただいまー」
そうこうしている内に羅門が帰ってくる。
「アレ…?兄さんその人誰だっけ?」
………。
覚えてやれよ。
そりゃお前ら二人は面識なかったけど……。
岸田もそのくらいで泣くな。
俺は岸田の背中を軽くさすると、再び用意に取り掛かった。
「羅門、肉はそこら辺に置いといてくれ」
「リョーカイザー」
ヨーカイザーみたいに言うな。
しかも無駄に懐かしいなおい。
岸田、羅門にも手伝ってもらい、用意が完了した。
長めの机の真ん中にホットプレートを置き、それを囲んで焼肉パーティ…といった感じだ。
座布団良し、皿良し、箸良し、茶碗良し、米良し。
後は到着を待つだけだ。
集合は七時の予定なのでもうすぐ来るだろう。
と、思っている内にインターホンが鳴る。
ピンポーン
「はいはいっと」
ドアを開けると詩織、福井、木下の三人だった。
「時間ピッタリ……よね?」
「ああ。丁度七時だ」
「………時間厳守」
「まあとにかく入れよ」
そう言って三人を中に入れる。
「あ、あの…」
「ん?」
「この間は本当にありがとうございます!!」
緊張した面持ちで頭を下げる木下。
「良いって良いって。今日はそういう硬いのはなしでいこうぜ」
「そうだよ。兄さんはおっぱいのために頑張ったんだ」
「羅門。今からお兄ちゃんと遊ぼうか」
ソファーの上でのびている羅門はさておき、後は涼香と霧だけだ。
「……そういえばこの人は?」
詩織が訊ねたたのは勿論岸田のことであった。
だから泣くな岸田。
「ああ、コイツは岸田。俺の友達だ」
ピンポーン
不意にインターホンが鳴る。
あの二人だな。
俺がドアを開けるとやはり涼香と霧であった。
「申し訳ございません。用意に手間取ってしまい、遅刻していまいました」
「ああ、全然気にしてないって」
律儀に頭を下げる霧。
「わざわざ来たんですから、感謝して下さいまし!」
感謝するのは家に入れてもらうお前だろ。
締め出すぞ。
そんなこんなで全員揃った。
八人……結構な人数だな。
だが肉も八人分だ。
「そういえば……こちらの方は誰ですの?」
と、岸田を見ながら言う涼香。
だから泣くなって岸田。
ちなみに岸田はお前と霧の事件のある意味での発端でもあるぞ。(第6話参照)
「うん。じゃあ岸田さんの空気っぷりが明らかになったところで、焼肉始めようよ」
そんな思いっきり言ってやるな羅門。
岸田がそろそろかわいそうだ。
かくして、神宮家主催の焼肉パーティが幕を開けたのであった。
続