<オーク退治>
話は少し前にさかのぼる。
ドラゴンの討伐命令を受けた後、俺とアンヌは村や町を渡り歩くことになった。そして、そういったところを歩いているうちに村や町の脅威はドラゴンだけにとどまらないということに気づかされたのだ。
町は比較的安全なのだが村に至ってはオークや魔獣に襲われるなど、危険と隣り合わせの中で生活することを余儀なくされているのだ。
・・・・・
木をかき分け、蹴り倒しながら俺は森の中を進んでいた。村人たちに同情したアンヌはこの周囲の村をたびたび襲うオークを討伐することにしたのだ。そんなこと勝手に約束するなと思うが、俺もオークを一度見てみるかという感じでアンヌの言うことに従うことにした。
「本当にこんなところにいるのかしら」
村人の話によれば、オークは乗っ取ったエルフの村を拠点としているらしく、大樹といわれる森で一番大きな木に住んでいるらしい。しかし、どこまでも続く森を見て、アンヌは本当にこんな森の奥にオークがいるのか疑問に思い始めているようだ。
実はというと、すでに俺の足元に何匹かのオークがいることははっきりしている。生い茂った葉のせいで地面付近が見えないので確認はできないのだが、ここに来るまでに何匹か踏みつぶしたり木と一緒に蹴り倒したりしているのだ。実際に確認するには木や葉をかき分けなくてはならないため面倒臭くわざわざそんなことはしないが、この付近にオークがいるのは間違いない。
・・・・・
数分後
森の入り口から一番大きい木から一直線に木を蹴り倒してたどり着いた場所には百匹はいるであろうオークの軍団が待ち構えていた。
何とも言えないような気持ちの悪い声を出しつつこちらを見ている。
「こんなにいるの」
これだけの集団がこんな森の中にいるというのは驚きだが、すでにやることは決まっている。
グオオ!
こん棒や石で攻撃を仕掛けてきたオークたちはそんな声を上げながら大量の水に流されていく。俺はオークたちを洗い流すようにして大樹にのぼっているオークや周囲にいるオークを端へ端へと追い出していく。当然のことながらオークたちは何度も俺のもとに向かって来ようとするがそのたびに水で当ててやると上半身から吹っ飛ばされていく。
そして、オークたちが全員ずぶぬれになったのを見計らい俺は電撃を流した。
グギャアアア!
オークたちは断末魔を上げて体から血の泡を吹きだして絶命した。こうしてこの地域を荒らしていたオークは討伐された。その後、死体を集めて穴に埋めるのに苦労したが、それはまた別の話である。