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<始動>

 「すごい、傷一つ付いてない」

 「さすが魔装巨兵だ」


 この施設の警備兵は口々に魔装巨兵を見た感想を言う。深夜に俺の右隣りにいた魔装巨兵が倒れたため、大勢の警備兵がこの部屋に来ているのだ。

 実はこれを倒したのはほかならぬ俺だ。いつもと違う反応が見たくて隣にあったのを倒したのだが、予想以上に倒れたときの音が大きく大ごとになってしまったのだ。


 「いったい何があったの?」

 「ああ、アンヌ様」


 警備兵たちの人だかりをかき分けて彼女が現れ、隊長と思われる男が深々と頭を下げてそれを迎える。


 「あれが帝国一の大魔導師―――」

 「若き天才―――」


 あたりにいる兵士たちからそんな話が漏れ聞こえてくる。俺みたいなのをなぜ一人で研究し続けているのか疑問に思っていたが、彼女、アンヌが帝国一の大魔導師といわれるほどの実力者であれば納得だ。

 その後、隣の魔装巨兵は警備兵たちの乗った数メートル。俺の足元ほどの大きさをした魔装兵たちに数人がかりで壁に寄りかかるように座らせられ、壁に内蔵された魔法で直立に立て直された。それにしても、魔装巨兵がこの世界には存在しているが警備兵たちの装備は剣や槍といった銃が出る前の装備である。こんな世界に俺みたいなやつが戦力だなんてはっきり言ってオーバーキルじゃないかとさえ思う。



・・・・・



 翌日彼女は再び研究に打ち込んでいた。


 「ああもう!難しいわね」


 そういいながらも彼女は左にある魔装巨兵と昨日警備兵が乗っていたのと同じ魔装兵に交互に乗って試している。アンヌの魔装兵を動かす様子は見ていて危なっかしい。操作が雑なのか動きが急すぎるのだ。


 ガッ!ドゴ!


 案の定、アンヌの乗った魔装兵は魔装巨兵の足元に衝突して大きな音を立てる。そして、バランスを崩した魔装巨兵はアンヌめがけて倒れ掛かっていく。


 「きゃあ!」


 それを見た俺はとっさに体が動いていた。受け止めた衝撃で轟音が部屋中に響き渡り、足元に敷き詰められている石の床が割れて地面ごとへこむ。そして、魔装巨兵の体に押しつぶされた魔装兵の隙間から這い出してきたアンヌと目が合った。


  「え?う、動いてる」


 そういって固まったまま、アンヌはしばらく固まったままだった。



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