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式神  作者: 櫻井島弥
6/8

四城の雲

 「村雨、仁、宜しく頼んだ」

 「了解」



 「村雨、辛スナック食べる」

 「いらん、ショートケーキがある」



 

 「え、嫌だ」

 「才能ない奴の言うことなんて聞かないよ」



 「実ってさ、結局何がしたいんだろな」

 「俺らがいないと何もできないんだろ、じゃああいつ無能じゃん」





 「神代、お前には才能がある・・・・・・俺と一緒に四城にいこう」

 「すまんな村雨、気使わせたみたいで・・・・・・もういいよ、皆の言う通り僕は無能だよ。無能が率いる集団もまた無用の長物だ、だから、いいよ、もう」



 皆、神代から離れていった。神代に才能があるというやつもいる。

 でも、もう以前のように、()()が集まることはない。


 連合軍は、あいつを中心とした集団でしかない...........



 * * * * * * * * * * * 

大人数でいると見た目が悪い。だから集団でいることは好ましくない。柄が悪く見えてしまえば、どんな人間でも関係ない。


 だが、例外もある。簡単な話、東大生の集団が柄悪く見えるかと聞かれれば、答えは否である。むしろ普通の人間は尊敬すら抱くことだろう。


 ようは全員が全員一流であればいい。


 「村雨、聞いたか、今年は国立医学部、今のとこ二十人受けるらしいよ」

 「そうか」


 「村雨先輩、僕のクイズといてくれました?」

 「まだだ」

 「いや解く気ないでしょ」



 「おい見ろ、村雨組の回診だ」

 「朝から神々しいねぇ、流石は四城のトップ集団」

 「篠崎さんかわいいなぁ」

 「医者の息子でイケメンで頭よくてあんなかわいい子引き連れてるとか、さすがに許せないな」

 「いやまぁ、仕方ないな」


 今日もガヤががやがや言っている。

別にどうだっていいのだが、なぜ俺が廊下を歩くことを回診と呼ぶのか。確かに白い制服ではあるが、それは皆同じだろう。


 

 まぁ、悪くない。こうして進学校のトップに立ち、一流の仲間たちと歩く、見栄えのいい集団は嫌いじゃない。


 なにより、

「清秀、これ食べるか」

「いらん、あと清秀って呼ぶな」

「ははははは、相も変わらず辛い物嫌いだな清秀」

 こいつらといるのも楽しい。




努力を怠ったことは無い。才能だけで首席をキープできるほど、うちの高校は甘くない。だが、勿論校内1位で満足する気もない。必ずや南方 涼晴(みなかた りょうせい)を倒す。その後は全国トップの高校へと導く。


校内トップ、初めてその成績を取った時の感動は忘れない。仲間もでき、高校生活は実に有意義なものだ。


だが、ここ最近不穏な動きが見られる。下手したら俺の平穏を乱しかねない。


別に正義感などではないが、これまでに叩きのめした犯罪者の数は数え切れないほど。こんな愉快犯を野放しにしておくのも気が引ける。


放課後を告げる鐘が鳴る。俺は隣の教室から出てきた篠崎 咲良(しのざき さくら)に一言告げて、図書館へと向かう。


「俺は調べることがあるから今日は部活を休むと伝えてくれ」

「いや、いいけどさ、私生物部の部員でもなんでもないんだけど」


部室によくいるし似たようなもんだろ。


図書館に来たところで、欲しい書物がある訳でもない。だが、落ち着いて考えるのには適した場所だ。


進学校と呼ばれるに値する高校の図書館はそれ相応に敷地も広く蔵書も多い。


無駄に最上階に作っただけのことはあり、窓際からは校内の様子がよくうかがえる。


最も視界の広い席に座り、携帯電話を取り出す。


buzztter、ネットブログサイト、他のSNS。最近、インターネットのあらゆる所で、噂が広がっている。それは根も葉もない、都市伝説のような風の噂でしかない、はずだ。


〖某二番手高校の首席は四股下衆野郎〗

俺の事は別にいい、解せないのは

〖学年二番は素行不良、喫煙飲酒の常習犯〗

〖三番女は逆ハー築く、男を操る女王様〗

〖後輩首席はいじめっ子、中学時代の黒歴史〗


まだマシな方か、酷いものには名前も書いてあった。


これは要するに、俺と俺の周囲を誹謗中傷したものだ。だが、内容は事実無根、誰がなんのために書いたのかは不明だが、確実なのは最近陰口が多いことか。


俺の周囲のことをよく知っている誰かなのは間違いない、後輩くんがと書いてあるなら、最近の様子を知っている者であるはずだ。


校外の人間が、例え嘘だとしても、ここまでの内容をかけるとは思えない。


考えたくはないが、容疑者は校内の誰か。さらに、教師であることが考えにくいとなると、生徒だろう。


解決法などいくらでもある、そもそも無視すればいい。痛くも痒くもない。困ったのは、解決しようと思えば、俺には話を聴ける相手がいない。仲のいい周囲は、俺と一緒に攻撃をくらっている最中だ。それを除けば、俺は真っ当に質問できる人間関係を構築していない。


そもそも誰が犯人かわからない以上下手に聞くことも出来ない、噂の張本人に話しかけられてもな。


そんな俺なら誰かに恨まれることも多いだろう。


悪目立ちして先輩に目をつけられたか。いや、3年にもなって後輩数人を陥れるためだけにこんなことをする暇人はうちの学校にはいない。受験生ならことが大きくなる可能性を危惧するはずだ、それが出来ない無能なら受かってないだろう。


そうなると一二年の誰かか。


一学年8クラス280人、2学年で560人、俺達被害者を除いても550人以上いる。万が一、三年生の中に犯人がいた時のことを考えると800名以上の容疑者、どうしたものか。


「やっぱりここよね、まったく、どこに行くかくらい言いなさいよ」

顔を上げると、野暮用を済ませた篠崎がいた。


「呼んでないから言ってないんだが」

「で、何かわかったの」


「特には、だが偽情報の源はこのネットのページだ。そしてこのページのURLをbuzztterに拡散させたアカウントがいる。最も、とうの昔に削除されているがな」


最初は過激な発言を繰り返していたようだが、用が済んだら足がつかないように姿を消したか。目的は噂を広めることだけ、ならいいのだが。


「よく更新されてるわね」


目的は噂の拡散ではない、ページがあると宣伝することだ。


一昨日、ページに一枚の画像が投稿された。いじめっ子後輩のフェイク画像だ。さすがに行動を始めたのはこのためだ、愉快犯じゃ済まされなくなってきた。




「流石に放置する訳にもいかない、俺はしばらく犯人を探す」

図書館を出たすぐの廊下、壁は全て広い窓で覆い尽くされている。常に光が差し込んで、夜でも月明かりに照らされている。


「1人で探すつもり?なんの手がかりもないんでしょ、手伝ってもらえば」

「誰にだ?」

ふと窓から向かい側の校舎を見た。四城はそれなりに土地が広い。中にはも大きく、向こう側とは距離がある。


わざわざ、しっかりとした一眼レフのカメラで、こちら側を撮っていた。

「そりゃ実じゃ、え、ちょっ、どこ行くの」


「先に帰ってろ」


俺が見た瞬間逃げた。このタイミング。そもそも俺達の会話を写真に撮りたい物好きはいない。


犯人でなくても、事件になにか関係しているはずだ。

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、、、クソ」


やはり向かい側まで走っていては間に合わないか、そもそも向こうにわたる手段が3階まで下りてコの字の校舎を移動するか1階まで下りて中庭を突っ切るしかない。


校舎を渡ろうにも廊下の反対だ、、間に合わん。




先程制服を着た男が立っていた場所にたどり着いた時には、既に5分ほど経過していた。



「はぁ、はぁ、はぁ、、、神代を、呼ぶか」





「実さん」

「どうした」

式谷 優來(しきたに ゆら)が微かに目を輝かせながら問うてくる。


「お腹減ってませんか」

「僕はまだ」

「はいはーい俺腹減った」

「俺もなんか食べたいな」

僕の返答は邪魔される。僕に聞いてきたんじゃないのかな、澤田、翔祐。


今日は少し早く学校が終わり、何故か知らないが3人が家に来ている。


「では!実さん、キッチンお借りしますね」


いや、だから僕はまだ........。


大人しく式谷の手料理を待つことにした。








「何故電話しない」

「電話するより家行った方が早いでしょ」


「お前は家が隣だからだろう、俺は近くないんだぞ」

篠崎が嫌がる俺のシャツの袖をシワができるように強く握りグイグイ引っ張る。

「お願いするんだから直接出向きなさいよ」

「別にお願いという訳では無い、少し手伝いをだな」


「グチグチ言わない」

「離せ!やめろ!」


俺は篠崎につれられて、神代実自宅前まで来てしまった。


ここに入るのは、気が進まない。

この犯人探しが終わったら、

(多分)1年間投稿を辞めます。

(もしかしたら)投稿します。

1年経ったらこの他沢山の創作を投稿するので、何卒よろしくお願いします。

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