五等星と連合軍
大掃除や、その他年末の行事の回収に明け暮れているのは私だけではないはずです。そんな最中ですが、まぁ予定よりも無駄に長くなってしまった
いや、実は予定通りで、最初の段階からわかり切っていたことなんですけどまぁ。
とにかく、読んでいただければ
今日はサバの味噌煮、いいできだな。
あぁ、暇だなぁ。1人だからなぁ、やることないし、家事するか。
「そういえば、式谷さんは、なんの話があったんだい?」
僕はふと思い出して、目の前の少女、式谷 優來さんに問うてみる。
「あ、そうでした。私そのために神代さんに」
すると式谷さんも食事の手を止め思い出した様子だった。
「何なに、どうしたの」
と、この食事を作ってくれた張本人である篠崎 咲良が聞いてくる。
「いや、僕に用事があるらしくて、色々あって話が出来てないんだ」
放課後の学校で美少女に呼び出されたこの僕、神代 実だったのだが、勿論告白されるようなことは有り得なかったようである。
「改めてすみません神代さん」
「はい、なんでしょう」
式谷は突如真面目な顔になり、
「お願いします、一緒に五等星を倒して欲しいんです」
あらまあ、これまたいきなりどうしたか。いやまぁお願い事なんて、何を言われるか想定できないのだがな。
「五等星を?」
「倒す」
僕達が話を始めても、さくらは遠慮なく自分が作ったスパゲッティを美味しそうに食べていたが、さすがに手を止め聞き返している。
あの、さくら、ミートソースが口についてるぞ。
「はい」
「倒すってのは、具体的に」
「いつどんな方法でもいです、学力で上回ることが目標です」
なるほどねぇ
五等星か、
この街にあるいくつもの高校のうち、五つの進学校は特に高い偏差値と進学率を誇る。いわば超名門である。成績に比例して部活動も盛んであり、この街の高校のトップを行く学校である。そのなかのトップは常に変動し、お互い譲らず、故に等しく、五等高校。
さらには誰が言い出したかは知らないが、5つの高校を線で結ぶと、星の形ができ上がる。最初に見た時はびっくりしたが、これまた本当の新事実。いつの間にか呼び方は街中で定着し、五等星と呼ばれるようになった。
私立、公立それぞれの特色があり、街の中学生なら五等星のどこかへ行きたがること間違いなしだ。
しかし、1年前からその言葉が指す意味が変わった。
5人の天才がそれぞれ別の進学校に現れた。
彼らは進学校の中でも圧倒的な力を見せ、さらには何度模試が行われても学校の順位が変動することは無かった。
まるで今まで、凡人達が争いあってきたのに対し、真の天才が争いあい、わかり切った結末を出していると言わんばかりに、5人は5人だけで争っている。
今となっては当然のように、五等星は彼らを指す言葉になってしまった。
どこかで聞いたことのある話だな。
「で、式谷さん、なんで僕にそれを言う?」
「それは、その、私たちの、学校は」
僕達の学校は、五等高校じゃない、どころか進学校じゃない。
「二流進学校とか自称進学校とか、流行語みたいだな」
「はい」
俯いて返事をする。
「クラスのみんなは?」
「いいえ」
何がいいえなんだろうか、式谷さんの声はさらに小さくなってしまう。
「なんでそんなに深刻そうなの?」
「なぁさくら、今は静かにしておいてくれないか」
「なによ、私だけ仲間外れにする気?」
さくらはすぐ、少しだけ怒った感情を入れてくる。
「いやでも五等高にかようお前に言われても困る。」
「え、さくらさん、そうなんですか?」
「さっき制服だったのに、気づかなかったの?」
さくら制服だったのか。え、気づかなかったのか。
「さくらは位階序列2位の四城に通っている」
「なによ序列って」
「そ、そうだったんですか。気づかないで、すみません」
「いいよ全然、気にしないで、勉強に励むのは学生の義務だし、倒してもらって全然構わないわ」
「あ、はい、あははは」
とても気まづそうな愛想笑いだ。
「まぁ、言われなくても倒す予定だから、安心してくれ。あいつらは僕が責任もって沈めてやる」
「責任?」
こくんとこ首を傾げる。
「あぁ、五等星は全員連合軍だからね」
「連合軍?」
質問したらさらに知らない言葉が増えたと言った感じでまたもこ首を傾げる。
「僕達のチームの名前だよ。要は伝説の一派のこと。今この街の上に君臨してあぐらかいてる天才5人は全員うちの奴らなんだよ、ごめんね」
「え?ぇええええぇぇぇぇえ」
それはそれは、大層驚きになったことだった。
ぼくも手伝うということで話も落ち着き、式谷さんも落ち着いたところで、今日の所は解散した。
した、が、何故か三人分の食器を洗ってるすぐそこで、さくらは僕の家のテレビをつけてソファに横になってる。
「食べてすぐ横になってたら太るぞ」
「大丈夫よちゃんと運動してるし」
なんで残ってるの?って、思い当たる節はあるのだが
「久しぶりだな・・・
その、さくらの手料理食べたのとか、さ」
「そうよ、久しぶりよ、本当に久しぶり」
さくらは体を起こしてソファの後ろの僕を睨みつける。
まずい、怒られる。
「ごめん、怒らないで、僕が悪かったから、本当にごめん、反省してるから怒らないで」
「ダメ!何よ今更怒らないでとか、高校入ってからずっと私の事無視してたくせに、極み付けは何よ、おはようございます篠崎さんなんて言われた日は」
ソファの上に立ち上がって、僕は見下ろされる形になる。
「ごめん、落ち着いて」
「落ち着かない!隣の家に住んでる幼なじみに他人行儀にされてみなさいよ、私、家で泣いたんだからね」
ダメだぁ、悪いのは僕なんだけど助けて神様、神に頼るのも最低か、どうしよう。
「え、嘘ごめん、本当にごめん」
「だから許さない、他に言うことあるでしょ、どっちにしろ許さないけど」
確かに、よくよく考えてみれば、言われたい言葉と言われたくない言葉の区別ぐらいつく。特に、大切に思ってる相手にはね。
「あ、ごめんそうだった、ごめん。えぇと、ずっと気にかけててくれて、ありがとう、さくら。あとご飯もありがとう、美味しかったよ」
「世界一?」
「ああ、どんなレストランの料理よりも美味しい。また作りに来てよ」
「まぁ、そんなに言うなら今日のところは許すわよ」
よかったぁ。やっぱり、ごめん、より、ありがとうだよね。
さくらがソファに座り直したので、僕も隣に座る。
「もう2年生なのね、早いわねぇ」
言いながらさくらは体を伸ばす。
「本当だよ、これじゃあっという間に卒業だ、中学の比じゃないな」
この1年一瞬の出来事だった。
「気にしなくていいのよ、いつまでも引きずっててどうすんのよ、そのために私を無視してるんじゃ話にならないんですけど」
「うん、わかってる。だからさ、また前みたいに、今度みんなで遊びに行こ?な、いいだろ」
「え、うん、いいけど」
少し戸惑った返事が返ってきた。
「そいえばさ、なんでゆらちゃんあんなこと言ったの?」
あんなこと、というのは勿論お願いの内容だろう。そりゃ、さくらには分からないこともあるだろう。
「うちはさ、早世は一流の進学校じゃないんだよ。だから、少なくとも僕の知ってるうちの生徒は全員、どこか諦めてる。五等星なんて天才が現れてからは、もう何をするにも、勝てない勝てないって嘆いてるよ」
「そう、なんだ」
気まずそうな返事をされた。暗くなられると困るので話を変えてみる。
「どうだ、そっちは」
「うちはさ、楽しいよ学校生活も。みんな何するにも自信あるし、あんたが言ってた順位だって、1位を取ろうって必死になってる」
「それは、いい学校だね、すごく活気があるみたいで」
「でもね、五等星は五等星なのよ、他のみんなは割って入らない。天才天才って奉って、自分達はその取り巻きでいいのよ。うちだって一緒、諦めてる連中ばっか」
あぁ、せっかく明るい方向に向かってたのに、どうしようまるで久しぶりに話したからぎこちない会話しか出来ないみたいになってる。
「そうか」
僕の馬鹿、なんだその返事は
「でも、倒してくれるんでしょ。みのるは戻ってきてくれた、全員倒して、また皆で遊ぼ」
そんな嬉しいことを言ってくれた。
「あぁ、待ってて」
今はそうとしか言えない。僕が1番と証明しないと、そうじゃなきゃダメなんだ。リーダーは僕なのだから
会話が終わったあと、直ぐにさくらは自分の家へと帰って行った。幼なじみって、いいもんだな。不思議な距離感がある。普通の友達ではなく、かといって兄弟でもない。とっても大切な相手である。この感情に名前をつけるならなんというのだろうか、高度な日本語使いではないからな、上手く言葉にできないな。
次の日、学校で式谷さんにこう告げられた。
「倒すと言っても、私たちだけ学力を伸ばすという訳ではありません。神代さんには、クラスの士気を高めて欲しいんです」
まぁなんでもすると言ってしまった手前何事も断れない。
そして今日は日曜日。
「すみません、お待たせしました」
「いや、大丈夫だよ、今来たところだから」
式谷さんは春らしい厚さの白い服の上からニットの羽織り物を来ている。なんて言うんだろうか、正直そういったファッションには疎いので分からないが、ああいうのをカーディガンと言って差し支えないのだろうか。
グレーの柔らかそうなスカートはぎりぎり膝下まである。
まぁとにかく言えるのは、色は地味であるはずなのに、とても神々しく華やかである。端的にまとめると
「可愛いね、似合ってるよ」
という感想しか出てこなかった。ちょっと照れくさいな。
何故、何故日曜に美少女と街を歩いているのか。それは勘違いする者も少なくないだろう、しかし、違う。
この数日の間に何かありえない進展があったとか、助けたことで惚れられたとかそんなことは決してない。
「えっと、名前はなんだったっけ」
「岸 翔祐さんです」
お願いをひきうけてすぐ知ったことなのだが、僕のクラスには最近不登校な生徒がいるらしい。その翔祐くんはクラスの中では結構頭が良いらしく、現在貴重な戦力がいない状態らしい。
と、言うわけで学校に来るように説得しに言っているという訳だ。
「家は近いの、ああ持つよ」
「ありがとうございます、はい、ものの数分で着きますよ」
人の家へお邪魔するのだからと、当然のように買い物をする姿はとても可愛らしいもので、周りから見ればカップルにでも見えるのだろうか。
何を考えているのだ僕は
「ここです」
本当に数分だった。レジを抜けたあと荷物を持ったのはついさっき、もう着いてしまった。
僕の家からは歩いて学校に行けるが、ここからは電車を使わなければならない、その位の距離だ。
まあそこまで離れてもいないのだが、近くの駅前で待ち合わせしていたが、式谷さんが来るところを見逃してしまった。家はどっちの方向なのだろうか。
別に聞いてみてもいいのだろうが、少し躊躇してしまう。
「今どき珍しいな」
「そうでも無いですよ、意外に多いんです」
そうなのか、僕的には日本中どこでもオートロックが当たり前だと思っていた。
築10年ぐらいのマンションは、決して外見に落ち度はなく、とても綺麗な物件だった。
自動ドアでもなければロックもされてないドアを抜けて、エレベーターに乗り込むと、どうやら15階建てのようだった。」
田舎でもないが、一地方都市に変わりはなく、そこまでの都会でもないこの街からしたら、20階建ての建物は珍しい。
それでも1番の中心街に行けば、有名企業が軒を連ねる、高層ビルが並び立ってはいるが、少しだけね。
「着きましたよ、705号室です」
エレベーターを降りて少し歩くと、岸家の前に到着した。
ピンポーン
・・・
「おかしいですね」
ガチャッ
少しの沈黙のあと扉は開かれた。
「えっと、どなた様で」
出てきた翔祐と思わしき人物に足元から頭まで見られる。扉によって視界はさえぎられ、式谷さんが見えていないのだ。
「突然すみません、私です、式谷です」
式谷さんがひょっこりと顔を出しながら言う。
「えっと、翔祐くんは」
言葉に詰まる、なんと言えばいいんだ。家に入って数分、固まったままだったが
「呼び捨てでいいぜ」
これは親しみやすい性格で助かった。
「じゃあ翔祐、えっと、これは」
「すまない、先月から一人暮らしなんで、慣れてなくてな」
自覚はあるようで何よりだ、この手の問題で一番嫌なのは、部屋の主がこの状況を便利だと勘違いしていることだ。
「正直に言うと、相当汚いな」
部屋に入って最初に目に入ったのは、圧倒的ゴミだ。1ヶ月足らずでここまでしたというのだが、とにかく汚い。足の踏み場がないせいで、そんなに距離の無いはずのキッチンも、大西洋の反対側のように思えて仕方がない。
その遠目に見えるキッチンも、使用された形跡はあるが、片付けられた形跡はない。
リビングの辛うじて片付けられた机と椅子の周りは、砂漠の中のオアシスなのか、それとも月面の基地なのか。
どちらにせよ、最初にゴキブリを見て以来、式谷さんは意気消沈と言った様子で固まっている。
恐ろしいことに、タコ足配線どころじゃない、いや、あれは使われてないのか、なら問題ないが、いいのか?・・・・・・どうなんだ........
とにかくコードは絡まり合い、SF映画でしか見た事のない状態になっており、巨大な電子を通す玉を形成している。
選択したのかしてないのかわからない洗濯物が山積みになっており、次の地震が来れば、間違いなく真っ先に被害に会うだろう。
探さずにこれだ、きっと、本気を出せば恐ろしいものがいくらでも見つかる。
で、本題は
「えっとさ、それで、学校に来る気はあるんだよね」
「あぁ、行きたくないわけじゃないんだけど、この通り、まぁなんだ、自堕落な生活を送っちまっててよ」
だな。強く同意だ、すまない。
ダメだぁ、式谷さんが完全にフリーズしてる。顔面蒼白、きっと虫が苦手なのだろう。
「とにかく、この状態は危険だ。良ければ掃除手伝うよ、ね、式谷さん」
「あ、は、はい」
戻ってきてくれた。
「マジか、頼む、いやぁ、正直一人じゃどうにもならないってか、俺なんにも知らなくてさ」
とても明るい笑顔だけど、結構現状危ないです。
「よーし、となれば全力で掃除だ。久しぶりに腕がなる」
「楽しそうですね」
「掃除は楽しいよ、部屋も物も人も、綺麗になるんだ」
と、おばあちゃんに教わりました。
「カッコイイこと言うな、こりゃクラスも生まれ変わりそうだぜ」
まずは翔祐が生まれ変わってくれ、このままだと家事で死ぬ。
とはいえ、これは結構ひどいぞ。
家事スキルに乏しい翔祐と、現在フリーズ中の式谷さん、見た感じの戦闘力では戦いが厳しい。
どうしたことか、実際に式谷さんが復活しても結局2人、1LDKだが一つ一つが地味に広い部屋だなこれ。
既に1時半を回った。これは今日中に終わるように思えない。どうしたことか
方法は、まぁ、やるしかないな。
「ごめん翔祐、部屋に知らない奴を入れてもいいかな?手伝いを呼びたくて」
「みのるの友達か?別にいいぞ、てか、掃除してもらうのに文句言えないしな」
「なら良かった」
* * * * * *
「あぁそういうわけだ、頼む」
岸さんのお宅を掃除することになり、やる気を出した神代さんがお友達を呼ぶようです。
ポケットから出てきたのは、今では珍しい携帯電話、ガラケーと呼ばれるものです。
少しばかり黒の入った赤色の四角いケータイ電話を、ワンプッシュで開くと、電話帳から目当ての相手を見つけたらしく、電話を耳にあて話始めました。
内容を伝えると、相手の方はすぐ承諾したようで、場所を伝えて通話は終了したようでした。
一体どんな方なのでしょうか、神代さんのお友達となると気になります。
この間の方でしょうか、それなら本当に会うことになります。
通話の後すぐに、神代さんは向かいに行くといって部屋を出ていきました。
岸さんと少しの間離していましたが、『神代さんはどんな人か』というといに対して、つい口が滑ってしまいそうになりました。いけません、口が裂けても言ってはなりません。
「よーし掃除するぞ」
神代さんはほんの10分程度で帰ってきました。
当然、人を連れています。
「これゃ酷いな、本当に一人暮らしか」
「まだ1ヶ月だがな」
岸さんは初めましてのその人に話しかけます。凄いです、私も話しかけないと
「あの、初めまして私式谷優來といいます」
「なに、実の彼女?篠崎は?」
「えっ」
違いますけど、即座に否定するのもなんだか失礼なように思えてしまいます。なんというか、いやでも、決して、神代さんと私は、まだであって日も浅いですし
「違うぞたつみ、式谷さんは、新しいクラスメイト。うちの主席だぞ」
仲良さそうに神代さんとは話していますが、
「まぁ、よろしく」
「あ、はい」
なんだか歓迎されてない感じです。本当に神代さんのお友達はこんな人達ばかりなのでしょうか、あと3人ぐらいで泣いてしまいますよ。
「ごめんね式谷さん、こいつは横山 龍海、基本マイペースで暗い感じだから、テンション低いわけじゃないんだけどね。決して忌み嫌ってたりはしないよ」
なら、よかったです。
と、言うわけで、私も虫を怖がっている訳には行きません。いえ、怖いですけど、頑張らないと。
あれ、そういえば、この人も伝説?やっぱりそうなんでしょうか、この間の人といい、神代さんもですが、なんだか独特の雰囲気を持っている人達です。
横山さんは大きなリュックを背負っています。何が入っているのでしょうか。
聞きたい気持ちは山々なのですが、岸さんもいるので聞くことができません。
「じゃあ龍海は調理場の周り頼んだ、俺はこのリビングやるから」
「了解」
神代さんが指示を出し始めました。私も参加しないと
「あの、私も手伝います」
「大丈夫?無理しなくてもいいよ」
「大丈夫です、私も掃除します」
虫は怖いですけど、何もしない訳には行けないので
「えっと、俺は」
「翔祐もこっち手伝って」
神代さんは岸さんにも指示を出しましたが、ですがそれだと
「彼は1人になるが、いいのか」
「いいよ、むしろ僕らじゃそっちをできない。さっき少し見に行っただけでも、卵のからは放置されてもちろんシンクは汚れた食器でいっぱい。冷蔵庫の中には乾燥したいんげん豆が見えたし、外に放置されてた麦茶の中では、パックからカビが生えていた。極めつけはコンロとその周り、汚れがこびりついていた、あれは取れない」
神代さんが、聞きたくないおぞましい現状を語ってくれました。
「いや、それは私達も手伝った方が」
「素人には厳しいよ、お掃除のプロにおまかせだよ、龍海はこういうこと得意だから」
「なるほど、龍海くんに調理場を任せて、俺たちでほかの掃除をするんだな」
やっぱり神代さんのお友達、いえ、お仲間の方のようです。確かにそれなら、私たちで別の場所を掃除した方が
「違うよ、僕達ができる限りこの部屋を掃除して、あとは龍海がやるんだ」
「え、どゆこと」
ちょっと私も何を仰っているのかよくわかりません。
ですが、神代さんは至極当然のことを言っているという表情でいます。
「マジ、なの?」
「まじだよ」
どうやら、まじのようです。
さぁ、では気を取り直して、大掃除開始です!
「龍海、どんな感じだよ」
「久しぶりに手応えある敵だな」
やはり少し話しかけずらい人ですが、神代さんとは、とても独特ながらもとっても中が良さそうに見えます。
「綺麗になるの?」
「なるよ、龍海は家事全般大得意だから、他にも日用的な機械いじりとか、家庭内のことならなんでも出来るぞ」
岸さんが横山さんに向かって話しかけますが、無視されます。代わりに神代さんが答えていますが、にしてもやはり、岸さんの出会ってまもない相手にも話しかけるコミュニケーション力は凄いです。
怖いですが、私も勇気を出して話しかけないと、神代さんのお仲間の方なら、神代さんのことをよく知っているはずですので。
「なぁ、そこの部屋も散らかっているのか?」
「いや、まぁ片付けてる方だとは思うんだが・・・すまない、正直片付いてないな」
「見せてくれ」
神代さんは岸さんとふたりで岸さんの部屋を見に行ってしまいました。
ということは、いまこの瞬間、リビングには、たくさんのゴミと、私と、そしてゴ、ゴキ、むむむ虫がいます。
「大丈夫です、まさか、すぐそこにいるわけがありません。きっと私たちが掃除を始めてから冷蔵庫の裏にでも逃げたに違いありません」
独り言を言って自分を落ち着かせていると、向こうの横山さんと目が合ってしまいました。
とても、気まずいです。
何も言わずに掃除に戻られてしまいました。
きっと、変な女と思われてしまったでしょう。
「ビクビクしてるよ?大丈夫式谷さん」
「神代さん!だ、大丈夫ですよたたしは平気です」
いきなり声をかけられて、ついビックリしてしまいました。
「うん、平気じゃないね」
うぅ、神代さんに心配がられています。足でまといみたいでなんだか嫌です。
「虫が出たら僕が追っ払うからさ、式谷さんは洗濯物をお願いしていい?」
「わかりました、任せてください」
「あの、神代さん、横山さんも、伝説のお仲間さんなんですか?」
気になったので、岸さんがいないこのすきに聞いてみます。
「ああそうだよ、龍海は連合軍の道具係だ。」
「アイテムですか?」
聞くと、神代さんは私の後ろに立ち、耳元で囁くように、
「あぁそうだ、あいつでっかいリュック背負ってたでしょ、普段はポーチをこしの周りにつけてんだけど、とにかくなんでも持ってるんだよ。今日は掃除用のスペシャルバージョンらしい」
なんだか、あの時みたいで怖いです。
「もしかして、横山さんも五等星なんですか?」
全員お仲間だと仰っていました、もしかしたらあの人も。
「違うよ、それはまた別のやつら。案外普通でしょ、伝説なんて呼ばれても、所詮は普通の仲良しグループなんだよ」
仲がいいのは、お二人を見る限りよく伝わってきます。それより、それよりも、さっきから神代さんの吐息が耳に吹きかかって、わたひ、私
「あ、あの神代さん」
「ほら静かに、声、聞こえちゃうよ?バレちゃうよ?」
あ、私としたことが、つい大きな声を出してしまいました。
いえ、そうではなく、でも今は秘密の話をしていて、あ、えぇと
そんな、なんでしょうかこの状況は、すぐそこにいるクラスメイトに気づかれないように、神代さんと息もかかる距離でバレては行けない話をしています。
そう考えると、心臓がバクバクなって、音が周りに聞こえそうです。
「大丈夫?式谷さん顔赤いよ?」
平然としたように聞きますが、全部神代さんのせいです。わざとやってるに違いありません、違い、いえ、気づいていないようです。
無意識のうちにやっているようです、困ります。
暫くして、1面の目に見えるゴミを取り除くと、床が見えてきて、洗濯物も1度全部洗濯し終えました。そのとき、掃除機のパックの換えがないことが分かり、その他にも足りないものを買うために、神代さんと2人で買い出しに出ることになりました。
時刻はまだ3時半にならないぐらいのことでした。
1200%ありえないとは思いますが、12月31日に出す可能性がゼロではないです。いや、1200%ならありえないか。全然話が進んでいない感じなので、3日以内には出ることでしょう。
良いお年を