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【蹂躙】

かなり短いですが、それでも良ければ……

 焦燥にかられ俺は外へと飛び出す。真っ先に目に写ったモノ。それは……


 ――――――阿鼻叫喚の地獄絵図だった。


 辺りを埋め尽くす人間とも動物とも分からない腐敗した死体。その上を魔族に変えられた生物だったナニカが呻き声を上げて跋扈する。恐らくは以前は人間だったのであろうぬらぬらとした皮膚も持つ単眼の巨人が腐敗した死体をぐちゃぐちゃと踏み潰しながら闊歩している。翼で空を飛び回る痩せ細った醜悪な小人が死体を引き千切って遊んでいる。死体を食べている醜い化け物がいる。大きな蜥蜴の様な怪物がいる。多種多様な人外が……この世界にいてはならないモノが…そこには、いた。


「……は、はははは、どうなってんだよ」


 異世界で幾度となく、嫌と言うほど見てきた光景。それが再び己の眼前に現れた事に俺の頭はまだ追い付けておらず、弱々しく笑いを溢すしかなかった。


 だが、俺はその光景に驚いてはいるものの恐怖や絶望、人が殺された事に対する悲しみや怒りという感情はなかった。……多分、向こうの世界にいた数年でどこか感性のネジが抜け落ちたのだろう。


 ――――俺はもう……精神さえも化け物じみているのか。


 そう思わざるをえなかった。


「……!」


 そこまで考えた所で魔族の数匹が俺を訝しげ見ている事に気が付き、睨み返す。


 すると、そいつらは考えもなしに俺目掛け、突撃を敢行した。


「向こうでもこっちでもお前らは変わらないな。まぁ、下級程度じゃあそんなものか」


 そう呟くと俺は地面に右腕を叩き付けた。それと共に眷族共の足元から水晶を思わせる3m程の無数の黒い刃が突き立ち魔族を易々と貫き絶命させた。俺が手を地面から引き抜くと刃も地中へと戻る。残ったのは魔族の死体。だが、それも時間の経過と共に闇の粒となって霧散した。


 唸り声が渦巻いている事に気が付き顔を上げると、音に気付いたのか周囲の魔族が俺の元へと集まって来ていた。ざっと見回しただけでも数百はいる。


「数が多いな。数秒は掛かるか……」


 そう言いつつ俺は右腕を変貌させる。目まぐるしい速度で右腕が細胞単位で変わっていく。元々凶悪だった爪は更に長く、大きく、鋭利に。右腕自体も太く、大きくなっていき、赤い脈の輝きが強くなる。


 そして右腕の変異が終了する。その腕は英雄と言うよりは巨人の腕を凶悪に歪めたモノだと言った方が正しかった。俺はギィと(わら)うと、軽く右腕を横凪ぎに振り払う。俺へと向かって来ていた魔族が触れてもいないにも関わらず一匹残らず引き裂かれ、地面の赤い染みへと早変わりした。


「こんなものか……やっぱり脆いな」


 だが……まだ、居るだろうな。これで終わりとは思えない。


 俺は他の魔族を探し、歩き始めた。




【To Be Continued】

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