恐るべき子供たち
気が付くと・・・
私は姿の見えぬ、声だけの女の子に
後ろ手に掴まれ、前に進むように押し出された。
『 ちょっと、なにするの? 』
『 黙って。 そして、歩いて。 』
少女のような気もするが、
( どういう仕組み? 全然手が解けないんだけど・・・ )
有無を言わさず、前へ前へと暗闇の中を、
そう・・・あの光りの元へと誘われる。
かなりの近さに近づくと、
『 まつり、その人は? 』
少年のような声の問いかけが、私たちの歩みを制止させた。
『 国道近くの茂みにいた。 』
『 ・・・・見えていたのか? 』
『 たぶん。 』
『 こっちの人間か? 』
『 触った感じは ただの一般人。 でも、あの光は見えていた。 』
( いったい、誰? 何の話? )
『 もう、いいよ。 手を離してあげて。 』
少年の声が優しく届き、
私の腰辺りで拘束された両手は、やっと解放された。
前方の薄明るく照らされている光に重なるように
先ほどの声の主が、ゆっくりと顔を現す。
優しそうな顔立ちの、高校生くらいの少年が
わたしの顔をゆっくりと見渡してくる。
『 あなたは、だれ? 』
『 そ、そっちこそ、誰さ! 』
私は相手が年下であること、
そして 両手の自由を奪われ、ここまで連れてこられたことに
年甲斐も無く、少し腹を立てていた。
『 ごめんなさい。 少し、怒らせてしまったみたいで・・・ 』
『 い、いや・・・別に・・・ 』
少年の優しい声の感じに
私が ちょっと冷静になりかけたところ・・・
私の後ろから、先ほど私を拘束した少女と
そして、少年の後ろから もう一人の少女が・・・
合計3名の少年少女が、私の前に立ち尽くす。
『 あ、あぁ・・・私は もう帰るね。
私は急いでるの。 邪魔してゴメンね。 』
私は 急に恐怖感が募ってきた。
「 ここにいては いけない 」
そう、私の全細胞が叫んでいるようであった。
『 僕らは、
ちょっと人には言えないコトをしていて・・・ 』
少年の声が、
説明してあげるから、待ってよ
と、でも言いたげに 話しかけてくる。
『 誰にも、言いません。 ホント、急いでいるので・・・ 』
『 なんで、急いでるの? 』
幼い少女の声が、私の歩みを制止させる。
『 えっと、おじいさんを病院へ連れていく途中だったの。
で、急いでたんだけど・・・なんか、光り・・・
あそこ、光ってるなぁ・・・何だろう? と思って
ちょっと、立ち寄っただけだから・・・
ほんと、何も見てません。 』
少し、ホントで・・・少し、ウソ。
要は、言い逃れできれば、なんでもいい。
『 病人? 』
『 そ、そうよ。 』
『 ちょっと、待って。 確認する。 』
小さな少女は、両手を車の方へと かざし
そして・・・
すぐに、びっくりしたように両手を下ろした。
『 どうした? 』
『 なんか変なのがいるよ、お兄ちゃん。 』
『 変なの? 』
『 うん。 』
( 変なの?・・って、
もしかして、小さな私の存在のこと?
バカな・・・、で・・・でも・・・ )
『 私が見てくる。 』
『 いや、僕が行こう。 』
少年が 冷たい声の少女の歩みを制し、自分が一歩前に踏み出す。
『 待って! 何をする気!? 』
『 確認だけ、の つもりだけど・・・あなたは、何か隠してるの? 』
『 そんな、こと無いでしょ。 』
『 でも、ひまりが・・・僕の妹が、あの中に変なモノがいると・・・ 』
『 な、何言ってんの? ここから、あそこまで
行きもしないで何が解かるって言うの? 』
『 だから、それを確かめる。 』
少年の優しくもあり、不気味な威圧感に
私は、最大級のヤバさ・・・
そう、大きな一つのヤマ場を迎えようとしていた。
~つづく~




