純白の翼
「ここ…どこ?」
空は夕焼けの赤さ。
花畑は赤いカーネーションばかりが咲き乱れている。
赤ばかりの空間。
見渡す限り、建物があるわけでもなく
花畑と空の色の境目がわからなくなるほどに、花畑は続くようだった。
ふと自分の姿に目をやると、さっき着ていたピンクのパジャマのままだ。
お風呂に入り、少し濡れたまま束ねたポニーテールの毛先が肩を濡らす。
そうか、夢なのかもしれない。
そう安心した時、頭上から何かの気配を感じた。
バサッバサッバサッ…
自分よりも巨体な体が空から降りてくる。
その巨体からは二枚の大きな翼が生えていて、音は翼が羽ばたく音のようだ。
純白の翼。
純白の巨体。
赤い空間に突如現れた存在に目を奪われ
気づくと巨体と顔との近さは1mも無い。
「ちょ、ちょっとストーッ…ぶふっ!」
巨体の腹が顔にクリーンヒットする。
『ん?
あぁぁあ、ごめんなさいごめんなさい!
僕、久しぶりに下界に降りたもので…。
…!
主ー!やっと会えた!ようこそ!』
嬉しそうに私の顔からピョンと体を避けた姿は
空想世界ではよく見るユニコーンそのものだった。
白馬の体から純白の翼が二枚。
頭には天を穿つ角。
空のように透き通るブルーアイ。
しかし…
「ごめん、誰?」
空想動物といえど、馴れ馴れしいのは嫌いである。