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第二十四話 鬼と行平

大変長らくお待たせいたしました。

「オレっちの火炎で丸焼きにしてやるよ!!」

 鬼は息を吸い込み、燃え盛る火炎を今度は俺を焼き殺すために吐き出した! 

 俺は咄嗟の判断で体を捻り、地面に伏せる。

 俺の被っていた高烏帽子を焼き尽くす。

 黒い灰になってしまった高烏帽子の残骸が目の前を風に揺られながら飛んでいく……

「おいおいおいおい! 

 なに避けてんだよ陰陽師。

 オレっちとしては今さっきので終わらせるつもりだったってぇのにぉ……」

 くそ、こんな事なら稲穂とコイツを倒して別れるべきだったと少し後悔してやる。

 生憎と今の俺に出来る事はそれくらいしかない。

 家を急いで出ていなければ、色々と持って来ていたんだが……。

 取り敢えずコイツを回避して東門に向かうか?

 だが、それだと確実にコイツの火炎で涼の都が火の海になるのは容易に想像がつく。

 だからこそ、それは出来ない。

 何よりコイツは何をするか分からない。

 そこが怖い所だ。

 なにをするにも距離を取らないと!

 俺は着物の中から残りの式札をばらまき、再び鎧武者の式神を呼び出す。

 八体の鎧武者を鬼に向かって飛んでいく――

 その間に俺は飛び起き、間合いを取りなおす。

「くは。オメェ大概にしやがれ!」

 鬼の吐く炎に焼かれ一瞬で火だるまになり、灰に変わってしまう。

 さて、距離は取った。

 ここからどうする?

「まだやろうって言うのか陰陽師? 

 無駄だぜぇ、オレっちは無能で落ちこぼれなオメェにやぁ傷一つつける事なんてできやしねぇよ」

 人を見下した目で俺を見る。

 鬼。

 この目は懐かしい。

 俺が涼で育った十数年間向けられてきた物と同じだ。

 そしてコイツは――

 この鬼は自分が特別だと思い切っている目だ。

「おめぇはあれだろ。

 地方から呼び戻された、陰陽院の落ちこぼれだろぉ?

 噂は聞いているぜぇ……」

 どんな噂なのやら。

 それよりなんで俺の事が鬼に伝わっているのだ?

 まあ確かに俺の成績の悪さは長い陰陽院の歴史の中でも歴代最下位らしい。

「興味あるな。

 どんな噂だ?

 それになんぜ、その事を鬼のお前が知っている?」

「無能で、落ちこぼれ……。

 霊視すらまともに出来ない上、

 式神すら使役できないダメダメ、最悪な落ちこぼれ陰陽師だってなぁ。

 だから地方に飛ばされたんだろぉ?

 そんなダメで落ちこぼれの陰陽師がオレっち達の頭を討伐する――

 ――ってんだから噂になっていない方がおかしいってもんだろう?」

 この頭の回転が悪そうな鬼に言われると、かなり頭にくるのは俺だけか?

 だが、それも仕方ないか。

 俺がそう仕向けたのだから……

「どんなふうに殺されたい?

 焼かれたいか?

 切り殺されたいか?

 それとも……オレっちに生きたまま頭から食われたいかぁ?

 くははは!!」

 鬼は盛大に笑い。

 そして、鬼の体はさらにデカくなる。

 俺の身の丈をはるかに超え、民家の屋根程の高さはあるだろう。

 腕や足は俺の胴回りほどの太い腕をしている。

 あれほどデカいと思っていた大刀が、今では可愛らしく思えるほど小さく見えた。

「都の中での結界が弱まったお蔭であの窮屈な体からおさらば出来たぜぇ。

 オレっちも早急にオメェを食って御所に向かうとするかぁ」

 目の前に居る俺から完全に興味が失われているようだった。

 あっちは色々と大変なんだよ!

 お前まで向こうに行かせてしまったら。

 なんで俺がここに居るのか分からなくなるだろ!

「お前の相手は俺だろ!

 このデカブツ!!」

 小石を数個拾い上げ、それを鬼に向かって投げつける。

 石には術をかけているため。

 鬼に当たる寸前で小さな破裂音と共に弾け飛んだ。

 無数の飛礫が鬼の皮膚に突き刺さる!

 俺は手を休める事無く石を投げつけ続ける。

 鬼はそれを払い飛ばそうとするが、その前に破裂させ確実に傷を負わせていく。

 そしてついに、鬼の視界を封じる事に成功した。

「いい加減にしろよぉ、この虫けらがぁぁぁぁ!!」

 鬼の怒号が再び夜の涼に轟く。

お気に入りしていただいている方には、大変ご迷惑をおかけしました。

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