第十二話 ホムラ
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「いいぞ。
言霊を得意とする式神をお前に作ってやるよ。
そうすればこうして陰陽師に頼らなくてもいいからな」
「おお! 言ってみるものだな。
なにか用意する物はあるか?」
「そうだな……
毎日その人が使っている物であれば作る事が可能だぞ。
例えばその手ぬぐいとかな」
「こんなのでいいのか?」
「ああ。少し待っていろ」
手渡された黒い手ぬぐいに、術を乗せた息を吹きかける。
正兼をしっかりサポートしてくれる姉のような存在を思い浮かべながら術をかけていく。
コイツがサボらないようにしっかり頼むぞ……あ。
「どんな名前にする?」
俺は式神を縛る名前を聞き忘れていた事を思いだし、術を止めた。
危ない。
いつもの癖で植物の名を付けるところだった。
これは一様正兼へ送る式神なので勝手に名前を付けるのも気がひける。
「ホムラがいいな。
熱く俺を包容してくれるようなそんな女の子が――」
「分かった。ホムラだな」
お前の妄想まで撒き散らさないでいいよ。
サユリとカエデが怖がっているし。
サッサと式神を完成させてしまおう。
聞いたか?
お前の名はホムラ。
お前の主人となる人物の願望だ。
あの暴走を止めたり、サボっている所を見かけたりしたら、しっかり説教するんだぞ。
そして、正兼が困っていたら支えてやって欲しい。
さあ、ホムラ目覚めの時だ。
ボン。
と言う小さな破裂音と白い煙が収まると、黒髪の鮮やかな女性が立っていた。
「どうだ?」
固まって動かない正兼に声を掛ける。
反応がない。
さて、どうするかな。
「ホムラ。正兼をどうにかして現実に戻してくれるか?」
静かにだらしない顔で呆ける正兼の前に移動すると、平手打ちを三発食らわせる。
軽快な音が屋敷ないに響く。
いや、それはやりすぎだ。
鼻血出てるし!
「ほら起きろ、正兼!
いつまでだらしない顔を晒していんのさ!!」
「え? ええ?」
鼻血を垂らしながら放心状態の正兼。
えーと。
これは術が効きすぎたな。
まあいいか。
これで少しは仕事をサボらなくなるはずだ。
いや、サボれないはずだ。
「さあ、用事は済んだのだから。
帰ったら直ぐに次の退魔刀を造り始めるわよ」
「え、どうしてそれを――」
それは俺が説明しよう。
なぜ俺が毎日使っている物を指定したのか。
それは仕事の内容、生活の一部始終を見ているからだ。
常に身につけている物なら、どのような作業工程があり、どれがサボりなのか直ぐに分かるだろ。
だから頭に巻いていた黒い手ぬぐいを器にしたんだ。
いつも巻いているからな。
「退魔刀ありがとうな。
大切にするし、折れたらまた持ってくるからな」
「大切に扱ってくれよ!!」
正兼はホムラに耳を引っ張られながら帰っていった。
これでより良い退魔刀が造り上げられることを願うばかりだ。




