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二十話 決着③


「じゃあ、前菜だね。」

 クインがテーブルの下からノートパソコンを引っ張り出す。電源を立ち上げ、ワイヤレスマウスを動かし一つ頷くと俺に画面を向ける。

 映っていたのは───

「御巫か。」

 御巫のHP、「トラ日和」のBBS画面。

「…何でコレが見れるんだ?」

「さっきね、コピーしてきたんだよ。だってもうネットは繋がらないからね───もっともネットが繋がっていたとしてもこのサイトを見る事は出来ないんだけど。」

 クインが意味ありげに笑う。


 そう、御巫のHPはそもそもネット上に公開されていない。公開されていたのはあくまで校内のPCのみ。

「御巫ちゃんがその事を知っていたかどうかは、もうどうでも良いね、けど、このサイトを拠り所にしていたのは間違いない事実。」

 そうだろう、御巫は毎日嬉嬉とこのサイトで遊んでいた。

「さて、それじゃあこの大量の書き込みは一体誰がしたんだろう?」

 決まっている。

「俺さ。」

「事も無げに言うね。」

「それほど気を持たせる事でも無いだろ?」

「そう、キミにとってはその程度の事なんだ。暇つぶしのお遊び。所が、御巫ちゃんにはそうじゃ無かった。もう心の拠り所だったんだよ。何しろPCの中の人達は誰も御巫ちゃんの事をイジメもしなければ責めもしない、どこまでも優しい人達だったから、頭の先までまでしっかりと依存しちゃった。」

「へえ?」

「悪趣味な事やったね。」

 画面がスクロールし、過去ログの一部が表示されている。

 どの文章も最初は普通に始まり、途中で切れている。脈絡も何もなく、不自然に途切れている。

「間違いなく、是が原因だね。」

「だろうな。」

 御巫は、弱かった。

 だから、ちょっとした実験でアッサリと───

「わざわざ何人分も同時に打ち込んで、如何にも大勢で会話をしているような感じにしておいて、御巫ちゃんが入ってきて会話が盛り上がろうとしている時に、突然自分以外全員の書き込みが途絶える。」

 効果は抜群だった。

「結果、御巫ちゃんは壊れちゃったと。」

「少しな。」

「そうかな?キミ達の学校ゴッコの朝礼時意外はPC室に篭りっ放し、お風呂もトイレも殆ど行かないで食事もろくに摂らずに一日中PCに文字の羅列を打ち込み続けているようなのが、本当に少し?」

「少しさ、それなりに意思の疎通はできたし一応会話も成り立っていたからな。」

 クインがノートパソコンの電源を落とす。

「一応聞くけど、罪悪感とかある?」

「俺にか?」

「他に誰がいるの?」

「あー………?」

 真柩の顔が浮かぶ

「いや、あるある、俺も罪悪感位は持ってるよ。」

「今は感じてる?」

「………多分、感じてないな。」

「御巫ちゃんも可哀想にね。」

 口調とは裏腹笑っている。

 御巫は苛められていた。

 何でだろう、理由は分からない。ただクラスの中で異端扱いされていた。

 そして、俺はそんな御巫に優しくした。

 御巫にとって俺は現実で唯一の友達。PCの中に沢山いると思っていた友達も全て俺。

 御巫は現実も仮想も俺に囲まれていた。

 で、何の為にそんな事をしたのかと言えば、特に意味は無い。

 只の気まぐれ。

 だから、御巫を陥れたのも只の気まぐれ。

 御巫は俺にも優しかった。

 でも、俺はそんな御巫も壊した。

 何故か?

 気まぐれとしか答えようが無い。

 成程、人から指摘されると反吐が出るような事やってるな俺。

 少々短めですが、キリが良いので此処まで。

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