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妹に婚約者も屋敷も奪われましたが、亡き王妃の帳簿には私の名前しかありませんでした 〜追放された公爵令嬢が王宮の裏金を暴いたら、冷徹宰相閣下に「国ごと君を守る」と言われています〜  作者: 終焉を綴る堕天筆聖セラフィム・夜叉王院常闇寛龍


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第85話 王都慈善通信の記者、現る

 《王都慈善通信》から面会願いが届いたのは、匿名支援者への再照会文を発送した翌朝だった。


 封筒は薄い青色で、紙質はよい。

 貴族家の正式書簡ほど重々しくはないが、商人の請求書ほど事務的でもない。


 どこか、読まれることを前提にした手紙だった。


 ミリアが差出人を確認する。


「《王都慈善通信》記者、ライオネル・ブラン」


 セレスティアは手を止めた。


「編集長ではなく、記者ですか」


「はい。面会目的は、『王妃基金の支援方針について正確に伺いたい』とあります」


「正確に」


 その言葉だけなら、悪くない。


 むしろ、こちらとしても不正確な記事を書かれるよりは、直接聞いてもらった方がよい。


 だが、昨日の記事を思い出すと、素直には受け取れない。


『匿名の善意、王宮の規程に阻まれる?』


 あの見出し。


 そして、支援対象者情報の公表条件を一切書かなかった紙面。


 事実の半分だけを残し、必要な半分を抜いた記事。


 セレスティアは封書を受け取り、文面を読む。


『貴基金による事実確認文を拝読いたしました。弊紙としても、読者へ正確な情報を届けるため、王妃基金のご見解を直接伺いたく存じます』


 丁寧だ。


 とても丁寧。


 だが、丁寧な言葉が安全とは限らない。


「どうなさいますか」


 ミリアが尋ねる。


 セレスティアは少し考えた。


「会います」


「よろしいのですか」


「拒めば、『王妃基金は説明を避けた』と書かれるでしょう」


「会えば?」


「言葉を切り取られる可能性があります」


「どちらも危険ですね」


「はい」


 セレスティアは、封書を机に置いた。


「だから、記録を取ります」


 ミリアはすぐに頷いた。


「同席します」


「お願いします。オルド法務官にも同席を依頼してください」


「カイン様は?」


「宰相閣下が同席すると、相手が身構えます。今回は、まず王妃基金として対応します」


 ミリアは少し不安そうだった。


「よろしいのでしょうか」


「完全にはよくありません」


 セレスティアは正直に答えた。


「ですが、記者は敵兵ではありません。少なくとも表向きは、話を聞きに来る相手です。最初から宰相府の圧で押し返すと、かえって記事の構図を与えます」


「冷たい権力が、温かい善意を押さえつける……ですね」


「はい」


 嫌なほど分かりやすい。


 ミリアはため息をつきそうになって、途中で止めた。


「では、面会場所は」


「王妃基金の小応接室で。扉は開けず、ただし記録官と法務官が同席。茶は出しますが、長居はさせません」


「菓子は?」


「出しません」


「分かりました」


 ミリアが真面目な顔で書き込む。


 セレスティアは少し笑った。


「そこまで記録しますか」


「後で『王妃基金は茶菓子すら出さない冷たい場所』と書かれたら困ります」


「……出しましょう。小さな焼き菓子を」


「はい」


 こういう細かなことが、社交界では意外と大きい。


 服も発言。

 茶も発言。

 菓子も発言。


 面倒だ。


 だが、面倒だからといって無視すれば、その空白に相手が物語を入れてくる。


 それは、もう十分に分かっていた。


 ライオネル・ブランは、午後の鐘が二つ鳴る少し前に現れた。


 年は三十前後。


 淡い栗色の髪を後ろへ流し、灰青色の目をした男だった。服装は華美ではないが、よく整っている。仕立てのよい上着に、目立ちすぎない銀の筆記具。靴も磨かれていた。


 記者というより、社交界に出入りする若い文官のように見える。


 彼は部屋に入ると、柔らかく礼をした。


「お時間をいただき、感謝いたします。王妃基金監査補佐官、セレスティア・エルフォード様」


「王妃基金統括補佐としても、本件を担当しております」


 セレスティアは静かに訂正した。


 小さな線引きだ。


 ライオネルは、すぐに笑みを深めた。


「失礼いたしました。統括補佐殿」


 謝り方は自然だった。


 悪意は見えない。


 それが、かえって厄介だった。


 セレスティアは着席を促した。


 同席者は、記録官ミリアと法務官オルド。


 ライオネルは二人にも丁寧に礼をした。


「本日は記録を取らせていただきます」


 ミリアが言うと、彼は少し楽しそうに微笑んだ。


「もちろんです。こちらも取材記録を残しますので、互いに正確であることは大切ですね」


 声が柔らかい。


 言葉も正しい。


 だが、その柔らかさの奥に、紙面を作る人間特有の観察があった。


 彼は部屋を見ている。


 茶器。

 焼き菓子。

 セレスティアの服の色。

 ミリアの筆。

 オルドの書類。


 すべてが、彼にとっては文章の材料なのだろう。


 セレスティアは、先に釘を刺した。


「本日の面会内容を記事にされる場合、発言の引用は事前確認をお願いします」


 ライオネルは少し眉を上げた。


「事前確認ですか」


「はい。王妃基金の正式見解として扱われる可能性がありますので、誤解を避けるためです」


「読者へ迅速に届ける必要もあります」


「迅速さと正確さは、対立しないはずです」


 ライオネルは、数拍置いて笑った。


「なるほど。統括補佐殿は、やはり手続きの方ですね」


「手続きで守れるものがありますので」


「本日は、まさにそこを伺いたいのです」


 ライオネルは筆記具を手に取った。


「弊紙の記事について、王妃基金から事実確認文が出されました。まず、記事に不足があったとお考えですか」


 いきなり来た。


 セレスティアは、感情を動かさず答える。


「不足がありました」


 ミリアの筆が走る。


 ライオネルは微笑んだままだ。


「どの点でしょう」


「王妃基金が確認しているのは、支援そのものではなく、支援対象者情報の公表条件です。また、当該救護施設への短期燃料支援はすでに手配済みです。記事では、この二点が触れられていませんでした」


「紙面には限りがあります」


「人の印象を左右する部分を落とすほどの限りでしょうか」


 ライオネルの目が、ほんの少しだけ細くなった。


 初めて、笑みの奥が動いた。


「厳しいご指摘です」


「必要な部分だけです」


 ミリアが一瞬だけ顔を上げた。


 その言葉が出たことに気づいたのだろう。


 ライオネルは、面白そうに繰り返した。


「必要な部分だけ」


「はい」


「では、こちらからも必要な部分をお尋ねします」


「どうぞ」


 ライオネルは、少し身を乗り出した。


「人は、数字では動きません」


 部屋の空気が変わった。


「不足状況表。燃料費。寝具洗浄費。輸送費。どれも大切でしょう。しかし、読者が寄付箱へ手を伸ばすのは、数字を見た時ではありません。誰かが寒さに震え、誰かが涙を流し、誰かが救いを待っていると知った時です」


 声は穏やかだった。


 だが、言葉には自信があった。


「人は数字では動きません。涙で動くのです」


 ミリアの筆が止まりかけた。


 オルドの視線がわずかに険しくなる。


 セレスティアは、ライオネルを見た。


 彼は本気だった。


 少なくとも、そう見えた。


 人の涙が、寄付を集める。


 困っている人の姿を伝えなければ、社会は動かない。


 彼は、それを信じている。


 だから厄介なのだ。


 ただの悪意なら、切り捨てられる。


 だが、彼の言葉には一部の真実がある。


 人は数字だけでは動かない。


 それは確かだ。


 だからこそ、王妃基金も概要報告書に「何が変わったか」を入れている。


 問題は、その涙が誰のものかだった。


「涙を流すのは読者です」


 セレスティアは静かに言った。


「ですが、その涙の材料にされるのは支援対象者です」


 ライオネルの筆が止まった。


 初めて、すぐには返事が来なかった。


 セレスティアは続ける。


「読者が心を動かされること自体を否定するつもりはありません。支援の必要性を伝えることも必要です。ですが、支援対象者の個人的な境遇を、同意や安全確認なしに語ることはできません」


 ライオネルは、少し首を傾けた。


「同意があればよいのでしょうか」


「同意だけでは足りません」


「なぜです」


「困っている時の同意は、自由とは限らないからです」


 ライオネルの表情が、わずかに変わった。


 セレスティアは、ゆっくり言葉を選んだ。


「燃料がない。寝具を洗えない。子どもが寒い。その時に『事情を語れば支援します』と言われた人は、本当に自由に断れるでしょうか」


 部屋が静まり返った。


 オルドが、静かに頷いている。


 ミリアの筆が再び動き始めた。


 ライオネルは、しばらく黙ってから言った。


「ですが、現状を伝えなければ、支援は広がりません」


「現状は伝えます」


「個人の姿なしに?」


「はい」


「それで読者は動きますか」


「動くように、伝え方を考えます」


 ライオネルは、少しだけ笑った。


「それは理想論ではありませんか」


「そうかもしれません」


 セレスティアは否定しなかった。


「ですが、誰かの安全を犠牲にした方が簡単だからといって、その道を選ぶことはできません」


「安全、安全とおっしゃいますが、名前も顔も出さない記事です」


「仮名でも、事情の組み合わせで特定されることがあります」


「読者はそこまで調べません」


「読者全員ではなくても、知っている誰かが気づけば十分に危険です」


 ライオネルは、わずかに眉を寄せた。


「それでは、何も書けなくなる」


「書けます」


 セレスティアは、はっきり言った。


「救護院で冬季燃料が不足していること。寝具洗浄費が足りないこと。暖房時間が短くなれば療養環境が悪化すること。支援後に何が改善するか。それらは書けます」


「それでは物語になりません」


「王妃基金が必要としているのは、物語ではなく支援です」


 言った瞬間、ライオネルの笑みが消えた。


 ほんの一瞬。


 すぐに戻ったが、確かに消えた。


「厳しいですね」


「必要な部分だけです」


「また、それを」


 ライオネルは苦笑した。


「統括補佐殿は、読者の心というものを少し軽く見ておられるのではありませんか。人が感動するからこそ、善意が集まるのです」


「読者の心を軽く見てはいません」


「では、なぜ涙を避けるのです」


「避けているのは涙ではありません。人の涙を、別の人の評判や紙面のために使うことです」


 ライオネルは、今度こそ少し黙った。


 茶が冷め始めた頃、ライオネルは話題を変えた。


「王妃基金は、匿名支援者の申し出を条件なしの寄付として受け付ける道を示されたそうですね」


「はい」


「では、その方が名を伏せ、支援先名も出さず、ただ王妃基金へ寄付した場合、どのように読者へ知らせるのですか」


「寄付者名ではなく、支援分野と支援後の変化で報告します」


「それで、その方の善意は報われるのでしょうか」


 セレスティアは、少しだけ眉を動かした。


「報われる、とは?」


「支援した方にも心があります。誰かに認められたい、善いことをしたと知ってほしい。そう願うのは、悪いことですか」


 ここも、厄介な問いだった。


 悪いことではない。


 善い人だと思われたい気持ち。

 称賛されたい気持ち。

 自分の善意が届いたと知りたい気持ち。


 それらは、人間なら自然にある。


 完全に否定すれば、嘘になる。


「悪いことではありません」


 セレスティアは答えた。


「ならば」


「ですが、その気持ちを満たすために、支援を受ける方の事情を差し出すことはできません」


 ライオネルは、筆記具を指先で回した。


「では、支援者の心はどこへ置けばよいのでしょう」


「支援が届いた事実に」


「それで足りる方ばかりではありません」


「だから、寄付者向け概要報告書があります。何に使われ、何が改善したかを伝えます。必要なら寄付者名の公表も、範囲を確認して行います」


「しかし、読者が泣くような話ではない」


「泣かせることが目的ではありません」


 ライオネルは、また笑った。


 ただ、今度の笑みには少し疲れが混じっていた。


「統括補佐殿。世の中は、正しいだけでは動きません」


「知っています」


「本当に?」


「はい」


 セレスティアは、茶器のそばに置かれた小さな焼き菓子を見た。


 結局、彼は手をつけていない。


「正しいだけでは動かないから、言葉が必要です。けれど、言葉が人を傷つけるなら、そこにも手続きが必要です」


 ライオネルは、ゆっくりとこちらを見た。


「言葉にも手続きですか」


「はい」


「それは、ずいぶん窮屈な世界ですね」


「支援を受ける方にとって、勝手に語られる世界の方が窮屈かもしれません」


 沈黙。


 今度の沈黙は、少し長かった。


 面会の終盤、ライオネルは筆記具を置いた。


「率直に申し上げます」


「どうぞ」


「弊紙は、王妃基金を敵視しているわけではありません」


「そうですか」


「少なくとも、私はそうです」


 その言い方が気になった。


 私は。


 では、編集部全体は違うのか。


 セレスティアは聞き返さず、続きを待った。


「私は、支援が広がってほしい。読者が、遠い施設や貧しい人々を自分と関係のあるものとして感じてほしい。そのために、物語が必要だと思っています」


「そのお考え自体は理解します」


「では、なぜここまで警戒されるのですか」


「あなたが語りたい物語の中で、語られる人がどこに立っているか見えないからです」


 ライオネルは目を細めた。


「語られる人」


「はい。読者と支援者と記者は見えます。でも、支援を受ける人が、自分の物語をどこまで渡したいのかが見えません」


 ライオネルは、初めて少しだけ視線を落とした。


「……私は、彼らの声を届けたいだけです」


「本人が届けたい声なら、聞きます」


「届けたいと言えない人の声は?」


「だからこそ、慎重に扱う必要があります」


「難しいですね」


「はい」


 セレスティアは、迷わず認めた。


「難しいです。だから、王妃基金は簡単な美談にしません」


 ライオネルは、苦笑した。


「それでは記事になりにくい」


「それが、あなた方の問題です」


 ミリアの筆が、ほんの少し止まった。


 オルドも一瞬だけセレスティアを見た。


 セレスティアは、言葉を続ける。


「王妃基金の問題ではありません」


 ライオネルは、声を立てずに笑った。


「厳しいな」


「必要な部分だけです」


「その言葉、記事にしたくなりますね」


「引用は事前確認をお願いします」


「もちろん」


 今度の笑いは、少しだけ本物だった。


 ライオネルが去った後、小応接室には冷めた茶と、手つかずの焼き菓子が残った。


 ミリアは記録をまとめながら、深く息を吐いた。


「疲れました」


「私もです」


「悪い方、なのでしょうか」


 セレスティアは少し考えた。


「悪意だけの方ではないと思います」


「はい」


「ですが、危険な方です」


「善意を信じているから?」


「ええ。自分が人の心を動かす役目を担っていると信じている。だから、支援対象者の危険が後ろへ下がってしまう」


 オルドが静かに頷いた。


「記事のためなら何でもする、という悪質さとは別ですね」


「はい」


「しかし、結果として危険になる」


「そこが難しいです」


 ミリアが記録の最後に書いた。


『ライオネル・ブラン。悪意のみではない。感動が支援を広げると信じている。だが、語られる側の安全と同意への認識が弱い』


 セレスティアは、それを見て頷いた。


「そのまま残してください」


「はい」


 部屋の扉が開き、カインが入ってきた。


「終わったか」


「はい」


「どうだった」


 セレスティアは、一言で答えた。


「厄介です」


「だろうな」


「人は数字では動かない。涙で動く、と」


 カインは表情を変えなかった。


「正しい部分もある」


「はい」


「だから厄介だ」


「はい」


 セレスティアは、記録の写しを渡した。


 カインは目を通し、最後の部分で止まった。


「王妃基金の問題ではありません、か」


「言いすぎましたか」


「いや」


 カインは、わずかに口元を動かした。


「必要な部分だけだ」


 セレスティアは、少しだけ笑ってしまった。


「使われましたね」


「ああ」


「ライオネル氏にも記事にしたいと言われました」


「させるな」


「引用確認を求めました」


「いい」


 カインは、手つかずの焼き菓子を見た。


「食べなかったのか」


「はい」


「では、もらう」


「えっ」


 カインは当然のように一つ取った。


 ミリアが目を丸くする。


 セレスティアも驚いた。


「召し上がるのですか」


「出したものを無駄にするな」


「それはそうですが」


 カインは焼き菓子を食べ、短く言った。


「悪くない」


 緊張が少しだけ緩んだ。


 不意に、部屋の空気が戻る。


 セレスティアは小さく笑った。


 カインは菓子を飲み込み、真顔に戻る。


「次は、記事になる」


「はい」


「こちらも準備しろ。数字だけでなく、支援の必要性を伝える言葉を」


「個人の痛みは守ります」


「ああ」


「でも、必要性は伝える」


「それが次の仕事だ」


 セレスティアは、静かに頷いた。


 夜、覚書にはこう書いた。


『《王都慈善通信》記者、ライオネル・ブラン来訪』


 次に。


『人は数字では動きません。涙で動くのです』


 さらに。


『涙を流すのは読者。しかし、その涙の材料にされるのは支援対象者』


『困っている時の同意は、自由とは限らない』


『言葉にも手続きが必要』


 少し手を止める。


『彼は悪意だけではない。感動が支援を広げると信じている。だから危うい』


 最後に。


『王妃基金が必要としているのは、物語ではなく支援。ただし、支援の必要性を伝える言葉は必要』


 ペンを置く。


 扉の外から声がした。


「寝ろ」


「はい」


「今日は何枚だ」


「一枚です」


「よし」


「ライオネル氏は、また来るでしょうか」


「来る」


「ですよね」


「向こうも君を見に来た。次は記事で来る」


「はい」


「傷つくなとは言わない」


 前にも言われた言葉だ。


「でも、飲まれるな」


「はい」


「人は涙で動く。だが、涙だけで制度を作ると危うい」


「はい」


「数字だけでも足りない」


「難しいですね」


「だから寝ろ」


「そこへ戻りますか」


「寝ない頭で考えると、もっと難しくなる」


 セレスティアは笑った。


「それは事実です」


「だろう」


「おやすみなさい、カイン様」


「ああ。おやすみ、セレスティア」


 灯りを落とす。


 人は数字では動かない。


 涙で動く。


 その言葉は、完全には間違っていない。


 だからこそ、セレスティアはその危うさを忘れてはいけなかった。


 支援の必要性は伝える。

 個人の痛みは守る。


 その両方を満たす言葉を、王妃基金はまだ持ちきれていない。


 なら、作るしかない。


 美談ではなく、刃物でもない言葉を。


 セレスティアは、その難題を胸に抱えたまま、静かに目を閉じた。

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