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偽りの悪旗外伝 もう一つの地球『イザナミ』への転生編   作者: 新景正虎


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第23話 飛来物迎撃

「ど、どうしてそんな事を」


 戸惑う春人にイーテニス大尉は不敵な笑みを浮かべて答える。


「この視察の目的はあなたたちにこの世界の事を知ってもらうことだから」


 その言葉とまなざしに春人は圧倒される。


「それともあなた達、このまま船室で今何が起きているか分からないまま過ぎ去るのを待つ?」


 二人の反応を試すようにそう言うと、彼女の視線は二人の間を行き来する。


 春人は陽葵の方を見る。


 彼女は唇をきゅっと噛み締め、こちらを見ている。


 しばしのためらいの後に陽葵の方を見てうなずくと春人は答える。


「俺…俺たちもつれていってください」

と。


 春人と陽葵は他の人と共に連れられて船の操舵室に向かうエレベーターに乗り込んだ。


「客室区画の外は無重力だから出たら気を付けて」


「は、はい」


 到達を知らせるチャイムが鳴り、扉が開く。


 イーテニス大尉が一歩、歩みでると続けて軽く床を蹴って壁に設置されている移動式の握り棒をつかむ。


 握り棒をつかんだまま先に進むイーテニス大尉。


 春人を含めて皆、それに倣う。


 握り棒についているスイッチを押すと棒が壁に埋め込まれたレールに沿って通路の壁を進む。


と、


「いい尻してるな、あの大尉さん」


 そんな声が聞こえてきたので春人は一瞬イーテニス大尉の方に目をやりそうになってしまう。


 だが、意識して目を向けずにすんだのは傍らにいる陽葵、そして結衣のお陰だろう。


 もし、イーテニス大尉の尻をじっと見ているところを陽葵に見られたら。それを結衣に知られたら…


「お兄ちゃん」


「先輩」


「いやらしい…」


 白い目を向けてくる二人の視線に春人は内心で身震いする。


 そうしてしばらく進むと通路の奥に扉が見える。


 イーテニス大尉は掴まっていた移動式の握り棒から手を離すと惰性で宙を飛び、扉の近くにある手すりをつかむと、そこを支点に床に足をつける。


 春人らもそれに倣う。


 操舵室の扉が開き、一同は宙に浮かんだ状態で部屋に入る。


「大尉どの」


 操舵室の中央の席の前に立ち、こちらに気づいて振り返った壮年の男性。その人物に春人には見覚えがあった。


 乗船の時に春人ら乗客らに挨拶をしていた人物。おそらくこの船の船長だろう。


「また見学させてもらいますね」


「そちらにどうぞ」


 大尉の言葉にうなずいた船長に促された先には急造の見学席とおぼしき座席が並んでいる。


 イーテニス大尉に促されて、春人らは床を蹴って各々席につき、シートベルトを締める。


 春人が席につくと隣に陽葵がつき、イーテニス大尉はその隣の席につく。


 と、


「大尉さん?」


 彼女は陽葵の手をそっと握ってくる。


「怖い?」


「い、いえ」


 緊張のまま首を振る陽葵にイーテニス大尉は穏やかに微笑む。


「あなたの事は聞いているわ。無理しないでいいから」


「は、はい」


 その言葉にわずかに微笑むとうつむく陽葵。


 だが、少しして、


「あの」


「ん?」


 陽葵はとなりの席に座る春人に聞こえる程度の小さな声でささやく、


「先輩も手を握ってもらえませんか?」


「あ、ああ」


 そう言われ、春人はそっと陽葵の手を握る。


 春人は気づく。


 彼女の手は小さく震えていた。


「怖いんです。あの時を思い出してしまって」


「…分かったよ」


 春人は陽葵の手を握る力を少しだけ強くする。


 それを見た大尉は握っていた手をそっと離す。


 そんな間も事態は動き続ける。


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