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死んだら終わりのゲームで、PKだけが俺を強くする  作者: ルー


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1/1

再臨

この世界は、ゲームだ。


フルダイブ型VRオンラインゲーム《天衝塔てんしょうとう》。


現実と区別がつかないほど精密な五感再現。

痛覚も、疲労も、恐怖もある。


だが、ログアウトすれば現実に戻れる。

死ななければ。


天衝塔は、全50階層の攻略型ゲームだ。

ただし「塔」と言っても、縦に登る構造ではない。


内部は、巨大なダンジョンフィールド。


階層ごとに環境テーマが設定されており、

遺跡、洞窟、森林、氷原、腐食地帯

マップは横に広く、複数ルートが存在する。


足場が急に崩れたり、

理不尽な即死トラップはほとんどない。


このゲームは、

プレイヤーを雑には殺さない。


代わりに、

環境で確実に削る。


寒さでスタミナが減少し、

毒霧でHPがじわじわ削られ、

魔力汚染でスキル発動が不安定になる。


戦闘以外でも、

死は常に隣にある。


そして

死亡時のペナルティは、このゲーム最大の特徴だ。


HPが0になった瞬間、

キャラクターは完全消滅。

セーブデータも、課金アイテムも、ランキング記録も残らない。


アカウント削除。


作り直し不可。


だからこのゲームでは、

全員が慎重になる。


「……二度目でも、やっぱ空気重いな」


上城ミナトは、ログイン直後の転移広場で息を吐いた。


UIが視界の端に浮かぶ。

HP、スタミナ、環境耐性ゲージ。

システムメッセージは静かだ。


周囲には、同じようにログインしてきたプレイヤーたち。


誰も騒がない。

初心者ですら、走らない。


このゲームを少しでも調べてきたなら、

ここで調子に乗る意味がないと分かっている。


「初挑戦ですか?」


パーティ募集をしていたプレイヤーが声をかけてきた。


ミナトは、穏やかに首を横に振る。


「二回目です」


それだけで、相手の警戒が一段下がる。


二度目ということは、

一度は生きてログアウトできたという証明だからだ。


「じゃあ、無理しない派ですよね」


「はい。慎重にやります」


それは嘘じゃない。


このゲームで、

慎重じゃないプレイヤーは消える。


能力は、プレイヤー一人につき一つ。

ランダムで決まり、変更不可。


だから能力の話題はタブーに近い。


強い能力は狙われ、

弱い能力は切り捨てられる。


ミナトも、自分の能力を隠している。


固有スキル

《スティール・スロット》

発動条件:PKプレイヤーキル

効果:他プレイヤーの能力を一つ複製(最大3)


このゲームで最も嫌われる行為、PK。

それを前提にした能力。


慎重な世界に、

最も向いていないスキル。


「今日はマップ確認だけにしましょう」


ミナトはそう提案した。


敵の配置、

環境ダメージの感覚、

逃げ道の確認。


模範的な判断。

誰も反論しない。


(……一回目は、派手にやりすぎた)


ランキング三位。

“ピエロ”と呼ばれ、

PKプレイヤーとして恐れられた。


そして、姿を消した。


今回は違う。


二度目のログイン。

一からのスタート。


優しく。

慎重に。

誰よりも安全な場所で。


上城ミナトは、

人の良さそうな笑顔のまま、

ゲームを始める。


この世界で一番危険な遊び方をするために。

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