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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
アナザーシナリオ第一巻 『求冠者たちの物語』

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第2話 空きコマ

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「最近は偽の神を信じず、天上世界の真なる神の存在を信じようとする集団が現れました。ただし、全知全脳システムの演算によれば、もう間もなくその集団は姿を消すそうです。何でも……」


 授業がそろそろ終わるようだ。先生も、皆もチャイムが鳴っていないのに片付けを始める。数秒も待てないのかしら。そんなんで本当に「人間」を支える「相棒」を務められるのだろうか。


 キーンコーンカーンコーン


 皆はそれぞれ次の授業へと移動していった。私はと言えば、次の授業はない。図書館でも行って小説でも読もうかしら。これだけ新鮮な気分で読めるのも、きっと全知全脳システムへのアクセス権限がない今だけだろうし。この時期を有意義に使わなければ。


 と言っても、天上図書館にある物語は決して多くない。


「あら、これは新しいのだわ」


 思わず口からそう零れる。神援者として天上に配属された吟遊詩人が、文字を覚えて書き起こしたものだ。全ての吟遊詩人が神援者になるわけではないから、貴重なものだ。物語として、面白い。


 私はしばらく読みふけっていた。


 偽の神と「人間」の攻防、恋愛、信仰の推奨。その神は存在しないというのに、「人間」は妄想力が豊かだ。ただ、真なる神がそれを利用しているのもまた事実。妄想に秘められた欲望を世界運営に使っているとか、使っていないとか。私は知らないけれど。


 バサバサッ


 書物が棚から零れ落ちたのか、少し離れたところからそんな音が聞こえた。かなりの量に聞こえたが、他の人は助けに行く気がないらしい。仕方ない、私が手伝おう。本の内容的のも区切りが良いし。


「ど、どうしよう。落としちゃったのに順番とか本当に分からないんだけど……だ、誰か助けに来てくれたりしないかな」


 誰かがボソボソと言っている声が聞こえてきた。


「私、手伝うけど……って」


 現場の棚に辿り着けば、そこにいたのは、眼鏡をかけているもののすぐに分かった。私の気に食わない相手、フェーレス。助けに来なければよかった。彼を助けたいと思う「人間」も、「相棒」も、神もたくさんいるだろう。


「ごめんなさいやっぱり用事が」


「い、行かないで!」


 情けなくて、弱い声。いつものフェーレスとは全く違う。視線が合うも、いつもの自信に溢れた瞳ではない。眼鏡越しに見える今にも泣きそうなほど潤んだ瞳には、恐怖が浮かんでいる。でも、瞳に浮かぶそれらが嘘ではないことくらいは私でも分かる。


「仕方ないわね。書物の題を言うから、言われた作品を私に渡してちょうだい。私が本棚に物してあげるわ」


 彼のそんな瞳を見なかったことには出来ないけれど、何となく私以外には見せちゃいけないと思った。見てもいいのは、彼を嫌っている私だけ。彼に好感を持っている人は、見るべきではないと思った。だから私が助ける。ただそれだけ。


「ありがとう、アルタさん」


 いつもは私を含めた周りの皆を動物形態の動物名で呼ぶのに。なんだか不思議な感じだ。


「ほら、さっさと片付けるわよ。そしたら、今回のことは忘れてあげるから」


「……うん、そうだね」

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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