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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第32話 突風の舞い込み

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 マールス支部長を助けた後も何度か錬金術を扱う練習を行い、だんだんと感覚を掴み始めていた。僕が先程感じたように、風を起こすというよりは、空気の粒子を操るイメージを抱いた方がなんとなくうまくいっている気がする。


「あとは実戦で慣れていくって感じだね」


「これだけ使えれば、十分だとオレは思うけどね」


 マールス支部長からもフェーレスからも及第点を貰えたみたい。この錬金術、思っていたよりも使い道が多くて結構ありがたいかも。


 すると、フィクション世界とつながっている扉が勢いよく開いた。


「ひぃー、危なかったぁー!」


 扉の中から飛び出してきたのはエクエ。ぜぇぜぇと荒く息を吐いている。何かから逃げるようにフィクション世界から退出したのだろう。その後を追うようにしてマティも扉の向こうから現れたが、彼は特に荒い息を吐くことなくこの前のようなクールさを保っているように見える。


「ゲホゲホ……ってマールスいるじゃん。ご、ごめん。大事な話の最中だった……?」


 エクエは僕達に気づくなり、気まずそうにそう聞いた。


「そんなことないよ、それにそろそろお暇しようとしてたところだからね」


 そう言ってマールス支部長は軽く手を振る。


「そうなの?なかなか会えないからさぁ。なぁ、今度時間があるときに遊びに行ってもいい?」


「うん、もちろん」


 というか、確か初めて会ったときに僕に対してタメ口でいいよと言っていたけれど、そもそも全員にタメ口で行くスタンスなのだろうか。でもよく思い出したら係長に対しては敬語だった気がしなくもない。


「ところで、エクエ君はどういった理由で帰ってきたのかな?その様子を見るに、任務が完了した訳じゃなさそうだけれど」


 係長は笑顔だが、その声にはたっぷりの威圧感がこもっていた。


「ひぇ……僕は帰ります!さ、さよなら!また今度!」


 先に部屋から出ていったのはフェーレス。すぐさま係長の雰囲気を察知したようで、逃げるように去っていった。なんだか先程と雰囲気は違う気が……。


「フェーレス君も行っちゃったし、僕も帰るね。アズマくんもエクエくんも頑張ってね!」


 マールス支部長はなんだか楽しそうに手を振って出ていった。エクエがこの後説教されるのが丸わかりで楽しいんだろうな。そんな彼は部屋を出ていくまでにはとくにドジはふまず、優雅に去っていった。


「さて、エクエ君。説明してもらえるかな?」


 係長が再度エクエに圧を掛ける。この説教タイムに僕は必要ないだろうと思い、立ち去ろうとするも係長に止められた。


「アズマ君は一旦ここで待ってて。で、エクエ君。俺、別に怒ってるわけじゃないよ。気になってるだけだから」


 いやいや、これで怒ってないは無理があるって。


「簡潔に言わせてもらうと、人手不足です。特に、あの世界観と俺の剣は相性が悪いからと持っていかなかったばっかりに戦闘手段が無さ過ぎて」


 そう言えば、エクエは一般的なファンタジー小説のフィクション世界を観測することが多いとアルタ姉さんが以前の研修で言っていたな。今回はどうやら違うみたいだけど。彼の服装を見るに、明らかにファンタジー小説という感じではない。彼は動きやすそうなスーツを身に纏っていた。


「成程ね。じゃあ折角だし、アズマ君に頼もうかな」


「え、僕ですか?」


 確かに人手不足とは言っていたけれど、適当過ぎないだろうか。まぁ、いいか。観測を通してエクエのことを知れて仲良くなれそうだし。


「うん。じゃあエクエ君、今回の観測を踏まえたうえでの資料を作ってアズマ君に共有してあげて。で、アズマ君はリアス君とヴェルス君を呼び戻しておいてね。俺はアルタ君のご機嫌伺に行ってくるから!」


 僕の2回目の観測が、今始まろうとしていた。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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