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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第31話 元素を操るということ

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「あ、この小さい欠片は無くさないようにアクセサリーとして身に着けてもらうことになるんだよね。このロケットがついたネックレスでもいいかな」


 フェーレスはそう言って即座にネックレスを生成する。ネックレスには楕円型のカプセルがついており、そこに賢者の石の欠片を入れるようだ。本来ロケットは写真を入れるものだけど、中身さえ見せなければ何の違和感もないはず。


「はい、特に問題はありません」


 僕がそう言えば、フェーレスが錬金術を使ったのか賢者の石の欠片は自然とロケットの中に納まり、ネックレスは僕の首へとかけられた。特別重いということもなく、違和感は感じない。


 でも、この首にかかっているのはフェーレスの最も強い感情を犠牲にして生成したものであり、錬金術もある種の禁忌の術と言える。そう思うと、なんだか賢者の石の欠片に質量を感じてしまう。こればっかりは仕方ない。


「ちなみに、この賢者の石の欠片の場合ならキミがいくら錬金術を使おうともオレが代償を払うとかないから安心してじゃんじゃん使いまくってね」


 錬金術についてはまだまだ気になることがたくさんあるものの、僕が「風を操る錬金術」を用いる限りは代償が発生しないというなら、聞くのも野暮かもしれない。まぁ、いつか詳細について聞けたらいいけれど。ファンタジー小説好きでもある僕としては、現実世界の最もファンタジーな現象を知りたいと思うのは当然だろう。


「あ、そうそう。使い方については俺からでもいい?」


 そう口を出したのは、マールス支部長である。


「俺はこう見えて地上世界においては最初で最後の錬金術師だからね。最初というのは天上世界においても変わらないけれど」


 そう言うと、マールス支部長は賢者の石の欠片を一つ作ってみせた。


「これは一応君と同じ、酸素と窒素を操ることができる賢者の石の欠片。残念ながらこれにはこれら元素を生成する力はないから、窒息対策に使えないという点は注意してね」


 成程、あくまでこの賢者の石の欠片の能力は物質移動でしかないということか。


「まずはロケットの上に手を当てて、欠片を強く意識してみて。そのうち手を当てずとも意識できるようにはなるけど、最初のうちはこうした方がいいと思うよ」


 マールス支部長は僕に見せるように、先ほど生成した賢者の石の欠片を握り、胸の前に置いてみせた。僕もそれを真似するようにそっとロケットを握り、胸元に当てた。


「あとはイメージするだけ。ミストさんから聞いたよ。君は趣味で物語を書いていたみたいだね。その想像力があれば、きっと大丈夫。ほら、そこの紙を手元に移動させてみて」


 そう簡単に言うけど、本当にできるのだろうか。


 僕は深呼吸をして欠片を強く意識しながら、紙が風で動く様子をイメージする。しかし、残念ながら紙自体は風の影響を受けたものの、そのまま床に落ちてしまった。


「最初は慣れないと思うけど、いつかは大きな岩だって持ち上げられるようになるから自信を持って!」


 マールス支部長はそう言って床に落ちた紙を拾ってくれたが、立ち上がるタイミングでコートの裾を踏み、後頭部から床へ倒れそうになる。


「危ない!!」


 僕が咄嗟に風ではなく、空気がマールス支部長の転倒をせき止めるイメージを思いに込めると、イメージにはやや及ばないものの彼の転倒を防ぐことができた。何となく、感覚がつかめた気がする。


「今のは全然わざとじゃないけど、アズマくんが感覚が掴めたようで何より」

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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