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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第26話 本当のエンディングを迎えよう

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 天上世界に戻って来た。しかし、余韻にひたっている場合ではない。この後ユーがどうなるのか見なければ。会わなかったけれど、ヴェスティのことも気になる。


 係長は、デスクの方へ来るよう僕を手招きしている。デスクの方に演算装置でもあるのだろうか。


「これは俺とアムネシア君が普段使ってる演算装置。運命とは、偶然ではなく必然のもの。だから演算結果はたった1つだけ。覚悟はいいかな」


 係長がホログラムを空中に映す小型の機械を机の上に置いた。機械部分で演算して、ホログラムを用いて実際に見ることができる仕組みになっているみたいだ。


「はい。観測係として、そしてユーの友人として彼を見届けます」


 係長が機械に何やら番号を打ち込むと、ホログラムはあの世界の地図を映し出した。いや、地図ではない。縮小されているだけだ。木々が騒めいている。


「あ、これユー達じゃありませんか?」


 リアスが草原をゆっくりと進む2つの黒い点に気づく。係長がその点を拡大すると、間違いなく彼らであった。


「彼らにフォーカスを入れて……っと。じゃあヴェスティと会うところまで早送りするからね。何か気になったところがあったら声かけて。巻き戻して再生するから」


 ホログラムのユー達はずんずんと森の中へ入っていく。僕達も使ったあの小屋で夜を明かし、再び魔王城へと進む。時折僕達が渡した本を見ながら進んでいるのがよく見えた。あの小屋は街と魔王城の丁度間くらいにあったはずだが、魔王城までの道は険しく、ユー達が野宿をする様子が何度も過ぎていった。


 やがて、彼らは魔王城に着いた。すると、ユーと大男が何やら言い争っている様子が見て取れる。係長に待ったをかけて、彼らの対話を聞くことにした。


『ここまで一緒に来てくれてありがとう。俺はたぶん魔王になる。これはきっと今の魔王と同じように、一人で乗り越えなくちゃいけないと思うんだ』


『でも兄貴!一緒に帰るまでが旅、そうじゃないのかよ?』


『またまた、そんな遠足みたいな』


 どうやら、ユーはこの先大男を置いて一人でヴェスティに会いに行こうとしているようだ。大男が止めたくなる気持ちもよく分かる。一人で行こうとするのは、ある意味自己を犠牲にするのだと言っているようなものだ。僕も大男と同じ立場にいれば止めたに違いない。


 それに、流石はアウクト氏が作り出したキャラクター。ギャグ漫画の登場人物。シリアスなシーンだというのに、テンポの良いボケとツッコミが挟まれる。


『君に他人を傷つけるなと言った手前、君の目の前じゃあ魔王を倒せないよ。ねぇ、最初で最()の俺のわがまま、聞いてくれる?』


『はぁ……、あんたには勝てないな。だが、約束だ。このわがままを最後にはしないでくれ。これだけじゃ、俺からあんたへの恩は返しきれねぇよ』


『いいよ、約束する。これは最初のわがままで、最後じゃない』


 そして二人は固い握手を交わす。


 あの時、大男に襲われた時。まさか彼が勇者パーティーの一員になるとは思ってもいなかったな。だけど、彼らは今ではもう最高のコンビとなった。


 ユーは大男が見えなくなるまで、彼の後ろ姿を見つめ続けていた。その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。大男との約束を果たせないと本当は互いに気付いているのだろう。彼らのそんな友情に、僕まで涙を流してしまいそうになる。


 そして、ユーは魔王城の中へと入っていった。僕達が渡した資料を読みながらヴェスティの待つ大広間へと歩みを進めていった。ヴェスティもユーが洗脳を受けた勇者ではないということに気付いているのだろう。大広間へ向かう道中、彼が従える魔物がユーを襲うことはなかった。

――ピピッ

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