第20話 扉を開けた先には
――ピピッ
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僕達は、中にいることと扉の開け方を情報端末のチャット機能を使って送ってから中に入った。メモ書きを残すよりも確実性があるし、この世界に痕跡が残らないから便利かもしれない。覚えておこう。
「では、私はランプに火を灯してきますね。先程リビングのランタンから携帯用ランタンに炎を頂いてきたので。まぁ、ミストさんを連れてくるのが一番早かったかもしれないですけど」
そっか、係長がいなくなったら臨機応変な対応が必須になってくるんだった。今後係長以外の先輩達から学ばないとな。
そして、リアスは鷲の姿となってランタンを嘴にくわえてあたりをぐるりと旋回すれば、ランタンに光が灯る。そして、この空間の全貌が見えるようになった。
「やっぱりここは罠だったんだね」
この空間はドーム状になっており、空間の底には魔物が着用していたとみられる装飾品が散らばっていた。ここは泉に立ち寄った魔物をあの穴を経由して辿り着いた先なのだろう。そして、ここで多くの魔物が殺されたに違いない。
「そうですね。きっとヴェスティさんは魔物を使った実験も行なっていたに違いありません。壁の側面には様々な穴が開いていますし」
確かに過去の回想シーンの1コマくらいで描かれた気がしないでもない。
ちなみに、僕達が今立っているのはテラスのようにせり出している場所だ。それなりに高い位置にあるため、翼が生えた魔物でない限りは襲われなさそうだ。
こんなにもよく見えるところにいるというのに、どこを見ても手がかりが隠されていそうな場所や違和感を感じる取ることはできなかった。
「じゃあ特に手がかりは見つからなそうだね。係長を手伝いに行こうか」
僕はRPGの主人公なんかじゃないんだから、探した箇所すべてで何かを見つけるような補正などかかっていない。まぁ何かあればよかったとは思っているけれど。
「それもそうですね。私が調べていなかったがためにお手を煩わせて申し訳ありません」
「いやいや、謝らなくてもいいよ。僕も調査より仲間に自身の安全を伝えたり、入り方を教える方が大事だと思うから」
リアスは若干目を見開きながら驚いた顔でこちらを見る。
「僕、おかしなこと言ったっけ」
思わず独り言が口から零れ落ちた。
「いいえ、当たり前のことをおっしゃっていたと思いますよ。だからこそ嬉しいのかもしれませんね」
リアスは微笑みを僕に見せてから扉を開けて出て行ってしまった。
「当たり前が、嬉しい……?」
一体リアスにはどんな過去が隠されているのだろうか。ヴェルスが存在しないもの扱いをされていたのだろうとは思っているけれど、リアスは何をされていたのだろう。
まだ僕には彼らの心の深淵へと足を踏み入れる勇気も彼らからの信頼も持ち合わせていなかった。
――ピピッ
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