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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第9話 ふたたび なかまに くわわった!

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 地図を手に入れた僕たちは、酒場前の広場で係長たちを待つことにした。ユーとの出会いの時にかなり時間を食った気がしたから係長たちを待たせているかもしれないと思ったが、僕の心配は杞憂だったようだ。


「勇者と会えたのは良いですが、若干やっかいなんですよね」


 宿屋から出た後人間の姿に戻ったリアスが、あごに手をかけながら言う。


「なんで?」


「私達異世界転生観測係はあまりメインキャラクターに関わらないほうがいいんです。特に今回のような場合は。私達は異世界の運命を尊重する必要があります。おそらく、転生した編集者さんは彼の一挙手一投足を見守ることになると思います。アウクトさんが創作することのない、彼の作風とは違う行動をする私達の存在を知られないようにするべきなのです」


 確かにそうだ。できるだけキャラクターに動いてもらおうという話を以前したような気がする。もし僕達が勇者パーティーに加わるなんてことになれば、ヴェスティを倒す難易度は下がっても、編集者に納得してもらえるストーリーにはならないはずだ。


「これは、どんな『観測』においても言えることだ。俺たちは作者の作風が反映されず、目立たない、モブに徹しなければならない。見かけ上はな」


 そしたら、僕が考えた策というのは相応しくないかもしれない。係長は僕が気付くのを待っていたのだろうか。あとで宿屋で作戦を練り直さなければ。


 今の作戦のままだと、ストーリーに違和感が残るのだ。何にも阻まれず、誰かに壊された罠を縫って歩く勇者なんて格好良くない。彼が描く勇者はこうじゃない。もっと困難を華麗に乗り越え、時には失敗しながらも諦めない。それが彼の描くかっこいい勇者なのだ。


「二人とも、ありがとう。おかげで僕の作戦の穴に気付いたよ。あとで係長にも共有しないとね」


 その後、新しい作戦について考えながら噴水に腰かけていると、若干顔色の悪いアルタ姉さんを背負った係長がやってきた。


「え、アルタ姉さんどうしたんですか?」


「大丈夫よ。酔ったわけじゃないから。ビールのにおいを好きになれないってだけ。王道RPGの世界はみんなビールしか飲まないんだから困っちゃうわ」


 アルタ姉さんも僕たちと一緒に来ればよかったのになんていう言葉は飲み込み、とりあえずアルタ姉さんには噴水に腰かけてもらった。


「はい、ウメカ君が作ってくれた例のブツだよ」


 そう言って係長が取り出したのは、1枚のハンカチ。それをアルタ姉さんは口元に近づけ、深呼吸をする。気付け薬的な奴なのだろうか。


「はぁ、癒されるわね。頼んでおいてくれてありがとう、ミスト」


 しばらく嗅いだ後に平気になったアルタ姉さんは、僕達に酒場で得た情報を教えてくれた。


「まず、勇者について。今は新しい勇者を探しているそうよ。候補を何人か出して、競わせるみたい。そして、勇者の選抜試験は都ではなく協会の本部があるこの街で行われるそうよ。昔からそれは変わっていないようね」


 それから、勇者候補の名前についても教えてくれた。僕達の想像通り、その中には「ユー・スティシア」の名もあった。


「ユー・スティシアなら先程出会いました。彼が純粋な勇者で間違いないと思います」


 僕は先程の出来事を係長たちと共有した。もちろん、周りの目があるため、一部ぼかしてだけれど。


「流石だね。君には運命を引き寄せる力があるみたいだ」


 係長のそういう態度にももう慣れてしまった自分が恐ろしい。


「そうだ、宿屋と地図はどうなったんだい?」


 思い出したかのように係長に言われるが、貴方が僕達に課した任務のはずなのだが……。


 僕はショルダーバッグから宿屋のカギと地図を取り出した。


「地図は濡れたり飛ばされたりすると大変なので、部屋に着いてからにしましょう」


 僕はそう言って、広場からもよく見える先程の宿屋を指さした。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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