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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第8話 編成に加わることなく

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 純粋な勇者と思われる青年は未だに頭がくらついて立てない僕を心配そうな顔で見つめた。しかし、縛られている男が反抗し始めたことで、その視線は僕から外れていった。


「違うんだ、兄貴!こいつら、少なくともそこの双子は人間じゃねぇんだよ!だから危ない存在だと思って兄貴の脅威になる前にやっつけちまおうと思って……」


 どうやら二人が武器になる様子を見ていたらしい。不気味に思ったり、魔王関連の何かだと思ってしまうのも無理はない。何百年も倒されない魔王なんて異例なんだから。


「こら、言い訳はダメだって親から習わなかったの?それに、彼らが俺の脅威になるとして、それを君が倒せるって?命はもっと大事にしないと」


 メモからは純粋ということしか分からなかったから、ふわふわとしたイメージがあったけれど、どうやら違うみたいだ。本当に家族や隣人に愛されて育ったんだろうな。人は怒られたら反省し、二度と同じ過ちを犯さないと心の底から思っているんだろう。


「これは僕達の国の機密技術なんです。僕達外国から研究のために来ているんです。このことはくれぐれもご内密に」


 そう言って僕は口元に指を立ててみせる。機密情報となればきっと変に疑われることもないだろうと考えた。


「そうなんだね、じゃあ俺も気になってたけど見せてもらうのは止めておくよ。悪気はないみたいだし、この人の縄ほどいてもいいかな?」


「大丈夫ですよ。こちらこそ怪しまれる行動をしてしまってすみません」


 捕えられた男性に一応謝っておく。彼はこちらこそ手荒な真似をして悪かったと謝罪をする。どうやら本当に悪気がなかったみたいだ。こういうごろつきって普通は根に持つもんじゃなかったっけ。まぁ、たまには違う人もいるか。


「そしたら俺たちはここを離れるよ。また会えるといいね、外国の研究者さん」


 彼は男性を連れて路地から出ていこうとする。僕は彼を呼び止めた。


「あの、名前を伺っても?貴方のことを何と呼んだらいいのか分からないと、見かけた時に声をかけられませんから」


 すると、彼は振り返り、自身の名前を述べる。


「ユー・スティシア。気軽にユーって呼んでくれていいよ。君は?」


「僕はアズマ。きっと貴方にはまた会える気がする」


 勇者はそう言ってとびっきりの笑顔を見せれば、去って行った。


「きっとあれが純粋な勇者だよ。名前も『Iustitia(正義)』なんて安直すぎるし。アウクト氏の名前である『セイギ』はヤマト古語由来。意味は『正義』。あの勇者は彼自身を落とし込んだキャラクターなのかもしれないね」


 ユーが純粋な勇者であると予想していたのはリアスとヴェルスも同じだった。


「間違いないでしょう。心配になるほど純粋でしたね」


「でも、それが彼の良さであり、強さの秘訣のはずだ」


 彼を助けるためにも、僕達はまず係長から任された仕事を片付けなければならない。一度周囲をきちんと確認してから二人に武器形態へと移行してもらった。


 <今回は大丈夫だ>


 ヴェルスからの声が聞こえ、安心する。先程は教えてくれたのに体の反応が間に合わず申し訳なかった。おかげでユーには会えたが。


 今度こそ路地裏から安全に出ることに成功し、宿屋へと向かう。宿屋の入り口には、特にドレスコードが必要とか一見さんお断りとか書いてないので、遠慮なく入らせてもらう。


「お邪魔します……」


 カウンターに立っているのは小柄で柔和な雰囲気が漂う老紳士であった。


「おや、お客様ですかな?」


「はい、予約をしたくて。代金は僕の先生がお支払するのですが、今手続きをしても大丈夫ですか?」


 老紳士はメガネをくいっとあげながら僕の頭からつま先までじっと見つめると、うなずいた。やはり、ある程度お金がないと泊まることのできない高い宿屋なんだろう。


「いいでしょう。2人用ということでよろしいか?」


「はい」


 老紳士が部屋の状況が書かれているだろうボードを確認している。


「ここは後払いだから、帰るときには先生とやらに払ってもらいなさい」


 そう言って鍵を渡される。


 <地図についても聞いてみたらいかがです?>


 リアスからの助言に、中学の修学旅行を思い出す。京都に行った際、ホテルの部屋に観光名所が載った地図があったこと。観光名所があるわけでもなければ、異世界ではあるものの、もしかしたらと思い、老紳士に尋ねた。


「地図ってもらえたりしますか?もしくは買える店舗を教えてくれると助かります」


 それを聞いた老紳士は、ごそごそとカウンターの中においてあった籠を漁りだした。


「もし忘れ物でもよければ、これをあげましょう。皺が気になるようだったら、この店に行けば新しいのが買えるかと」


 そう言って地図を渡される。一気に係長からの任務が片付いてしまった。それどころか特大な収穫もあったし。報告するのが待ちきれない。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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