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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
第一章 語り手の章

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第1話 喪われたエンディング

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 アルタ姉さんが持ってきた資料を見ると、そこに書いてあったのは、僕もよく知る漫画だった。僕が小学生の時に連載されていて、毎週父と読んでいた記憶がある。あのエンディングは僕達にとってもとてもショックだった。


「どうやらアズマは読んだことがあるみたいね」


「はい。僕、大ファンだったので」


 だからこそ、正統な作者の思い描いたエンディングを見たかった。If創作を見たことがあるが、やはり雰囲気や独特な画風が再現されていない。未練がそういったエンディングを見届けたいという死者がいたって不思議じゃない。


「俺達もいつか依頼が来ると思って既に読んだことがある」


 どうやら、僕の「相棒」達も知識があるようだ。助かる。


「なら早速会議を始めましょう」


 係長もやって来て、初めての観測へ向けて会議が始まった。


「観測先の資料は読んでもらったし、この作品を読んだことがあるみたいだから、世界観の把握は割愛するね。じゃあヴェルス君、依頼内容を伝えてくれるかい?」


「分かった。まず、依頼人は……作者のアウクトを担当していた編集者だ。死因は自殺じゃないというのは、一応伝えておく。依頼は、作者の思い描いたエンディングを見届けること」


 アウクト氏の編集者は優秀な人物として有名だ。作者を尊重し、的確なアドバイスを与えていたものの、社内で浮いてしまっていたらしい。アウクト氏が表現闘争に参加したのは、そんな編集者を守るためだったとも言われている。


「アウクト氏は天上世界にいるんですか?」


 僕は軽く手を挙げて質問した。彼ほどの作家であれば、神に見初められていてもおかしくはないと思いたかった。


「いいや、いたらとっくに彼に頼っているよ。この依頼を研修に使わせてもらうとはいえ、生産性のないことはしたくないからね」


「ただ、地上世界では廃棄されてしまったであろうメモをアルタさんが見つけてくれたみたいです」


「今回だけ特別。次回以降は自分たちでやりなさいよね」


 アルタ姉さんはそう言って、何かが走り書きされているコピー用紙をペラペラと見せた。アルタ姉さんマジ優しい…!


「ありがとうございます、アルタ姉さん」


「べ、別に感謝されたかった訳じゃ……」


「アルタ君?」


 若干照れているアルタ姉さんに圧をかける係長。アルタ姉さんは感謝されたり、褒められたりすることに慣れていないのだろうか。


「分かっているわよ。話を戻すけど、メモには、純粋無垢な勇者について書かれているわね。彼は町の人と、魔王ヴェスティを倒せなかった勇者たちのために剣を取った。無理やり選ばれた勇者じゃなかったから、洗脳を必要としなかったみたい」


 アルタ姉さんは何枚かに分けて書かれたメモを机の上に置き、具体的に書かれている箇所を指し示しながら説明する。


「ただ、その勇者がヴェスティを殺して2人目の理性を持った魔王になったのか、それともヴェスティを殺さず、世間には殺したことにして、彼の望む結末を迎えさせてあげるのかが書いてないのよね」


 そんな肝心なところだけが抜けているなんて。


「じゃあ、大ファンだったアズマ君に質問。どうやったら出来るだけ作者の意向に沿って世界を改変できるかな?」


「少し悩ませてもらってもいいですか?」


「もちろん」


 僕は考えた。小学生時代の記憶を呼び起こしながら。今見たメモを思い返しながら。


 ただ、肝心なことがやはり欠けている。そもそも、この作品はアウクト氏のデビュー作だ。彼が描くエンディングの作風というものを知る術がない。メモを見るに、エンディングがコミカルになることはないだろう。ただ、シリアスシーンも冒頭と望まれなかったエンディングのみだ。


 彼の生き生きとしたキャラ描写の秘訣、インタビューなどで触れられていなかっただろうか。SNSで発信を行う作家のように、「キャラが動く」的なことを言っていなかっただろうか。


「少し資料の確認も必要になってきますが、僕の仮説、聞いて下さい」

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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