第9話 仲間の仇を討て!
「お、俺は…」
病室で眠っていた信介が目を覚ました。彼は皇軍の剣士ゾルマの超斬武踏を喰らって大ダメージを負った。しかし色んな人達の協力があって、奇跡的に生き延びたのである。
「皆はどこだ…ここは…病室か」
病室を見渡して、レイラの兄の傘、それから紙を見つけた。
「私達は仲間を集めに行っています。目が覚めたらここへ来て下さい」
そこにはレイラの文字と彼女達がいる場所が印された地図が描かれていた。
「盗賊に魔女ときて、次はどんなやつをスカウトするつもりだよ」
信介は置いてあった服に着替えると、傘を持って病院から出発した。
「天井がある…」
クロスドリアの街並みに驚くのも無理はない。天井があり、そこには青空が描かれている。その下では当たり前のような営みが行われているのだ。
そんなことよりも、まずは目覚めた事を伝えなければ。気になった店からは目を背け、レイラ達がいるクエスト受付場へ。
しかしそこで待っていたのは、ボロボロにされた仲間達だった。
「レイラ!皆、大丈夫か?!何があったんだ!」
「信介さん…」
「すまん保津…喧嘩売る相手間違えた…」
「おうお前、こいつらの仲間か?」
「ノアに喧嘩売ったからどんなやつらかと期待してみたが…残念だったな」
あたふたする信介に二人の男が近寄る。しかし彼は気にも留めず、ブツブツと口を動かした。
「さっきの病院で良いよな。うん、足りない分は後で稼げば…」
「逃がしてもらえると思ったら大間違いだ」
「ガッツァーに喧嘩売ったやつには容赦はしねぇ。お前はこいつらが二度と歯向かわないよう徹底的にボコボコにしてやる…見せしめだよ。分かるか?」
「悪いけど後にしてくれ!こいつらを病院に連れてった後なら好きなだけ殴られてやるから!」
仲間がやられて怒るわけでもなく、無礼を代わりに詫びるわけでもない。信介はとにかく彼らの治療を優先した。そんな風に自分達を適当に扱う態度が、男達の勘に障ったようだ。
「テメェ!そいつらの代わりに詫びたらどうなんだ!」
そして怒鳴る男がパンチを打つ。信介はそれを喰らっても構うことなくレイラを抱えて病院へ。そして彼女を運んだ次にはナナ、プレッツ三姉妹、そして信彦と、全員を搬送した。これが出来たのも、レイラの兄の傘があったからだ。
「ハァッハァッハァッ…俺の仲間達が迷惑を掛けてしまってごめんなさい」
「な、なんだこいつ…」
今の信介には男達を殴り倒せる力がある。本人もそれを自覚していた。それでも彼は頭を低く下げて謝罪を選んだのである。
「…へっそれが分かってりゃ──」
「こいつらが許しても俺は許すつもりはないぜ」
男の言葉を遮ってまた別の男が姿を見せる。彼こそがレイラ達を倒したノア・カサエルである。手にはゾルマと同じブレイブレラを持っていた。
「お、お頭…」
「お前があのガキ達のリーダーか…一応聞いておくが名前は?」
「保津信介。雨天皇を倒しに異世界から来た」
「…それで、異世界からの勇者さん。雨天皇は倒せそうかよ」
「今は無理だ。けれど英雄の武具が揃えば勝てるはずだ」
「勝てるはず…だぁ?ナメてんじゃねえぞ!誰にやられたか知らねえがそんなザマでよ!雨天皇に勝てるわけねえだろうが!戦いナメてんのかあぁ?やる気ねえなら家に帰れ!」
そこまで怒鳴られても信介は動じず、反論する言葉も考えずに黙っていた。
「気に入らねえな。お前、街出ろ。そして俺と戦え」
「ちょっとお頭!」
「お前らは帰ってろ」
ノアの鋭い眼に怯えた男達は受付場に入っていった。
「どうした?俺と戦うのが怖いのか?」
「あぁ、そりゃ怖いさ。戦うのなんて大っ嫌いだ。平和な世界で暮らしてたからな…」
しかし信介は逃げ出さず、ノアと共にクロスドリアの外へ出た。




