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第6話 英雄の武具

 太古のレインランド。その空は雨天皇の封印雲によって塞がれていた。国には混沌を思わせる様々な雨が永遠と降り続けており、人々は青空を諦めていた。


 ある時、人々の青空を取り戻そうと一人の男が立ち上がった。それがアンブレラナイト。傘を必要としない国を取り戻そうとした剣士である。



 雨に打たれながら国中を巡ったナイト。彼は雨天皇の支配から人々を解放して仲間を増やしていった。

 彼は封印雲の力を打ち破る雨傘、雨合羽、雨靴を纏い雨天皇に挑み、そして勝利した。


 空には誰もが望んでいた青空が戻り、人々は再び平穏な日常を送り始めた………






「いやいやいやいや待った。それ、嘘でしょ?」


 昔話を聴き終えた信彦は迷わず指摘した。


 そう、アンブレラナイトが勝っているなら封印雲は既に存在せず、彼と信介がこの世界に連れて来られる必要もないのだから。


「はい、アンブレラナイトは雨天皇に挑みましたが敗北し、そして殺されました。実話らしいですが大昔の話なので、世間では夢物語として認識されています。私も最近まではそう思っていました」

「最近まではって、実在した証拠でも見つけたのかよ?」

「はい。それが物語に登場した3つの道具。英雄の武具と呼ばれています」


 英雄の武具。それはアンブレラナイトが身に付けていたという雨傘、雨合羽、雨靴の3つである。



 1つは勇気を力へ変換する魔法の傘ブレイブレラ。


 1つはどんな雨からも主を守る雨合羽リュウジンノコロモ。


 1つは今亡き天才科学者ブロウズ・ウィッケルが打倒雨天皇のために開発した万能雨靴ガロッシュ・ディ・アルバライズ。



「リュウジンノコロモは竜人タツヤ・オオガミが暮らす天空の大地に。ガロッシュ・ディ・アルバライズは南の海辺に建つ研究所に。ですがそこは今、雨天皇の兵士達に占拠されています…そしてブレイブレラは、皇軍最強の戦士ゾルマの武器になってしまっています…」

「2つも敵の手に渡ってるじゃん!どれも簡単には手に入らなそうだな…」


 信彦の言う通りだ。それだけでなくリュウジンノコロモを手に入れるため、常に雨が降り注ぐこの国で空を目指さないといけない。当然、大きなリスクを伴う目標となる。




「ンゥ!面白そうだ!」

「えぇ!?あんたそれマジで言ってんの!ゾルマってあれでしょ!魔物100体斬りの剣士のやつでしょ!そいつが雨天皇の仲間だなんて…!」


 プレッツ三姉妹の長女ジョーノは取り乱していたが、しばらくすると静かになった。どうやらナナ特製の薬が針で注入されたようだ。

 少し怖がらせるつもりで話していたレイラもこれには困惑。信彦という男が人一倍に冒険心が強いらしいと出会った頃から薄々感じていたが、これほどとは…そんな風に。


「…こ、怖くないんですか?」

「ワクワクしてる。空の島に異世界の技術が詰まった研究所。そして名前だけで威圧してくるような強敵…やっと冒険らしくなってきた!」

「異世界の人はそう感じるんですか…良かった。不安にさせてしまうかと思いましたが杞憂でしたね」


「ワッハッハッ!信彦は勇敢だね!けれど流石に6人だけだと不安だ。もう少し仲間が必要じゃないか?」


 ナナが尋ねると、レイラは棚から地図を取り出して信介に掛かっている毛布の上で広げた。


「ナナさんの言う通り私達には強い味方が必要です。それでまず、レインランド最大の都市であるクロスドリアに向かいます」


「クロスドリア!行くの初めてです!」

「アソコニハ色んな冒険者集まるらしいカラ、キット強い人も見つかるヨ!」


 クロスドリアはレインランドの冒険者達が必ず訪れると言われる程、施設が充実している。そこでなら強い仲間の加入もちろん、装備を整えることも出来る。


「保津の体調が良くなってから出発だな」




 目指すは大都市クロスドリア。本格的な冒険はそこから始まる。


 その日の晩、レイラは信介の回復と優しい雨を願って眠りにつくのだった。

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