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ガチ勢のアドバイス「ぶっ放せ」

 マーガリッティの学友や母親がミドルハマーを訪れて四日後……。

 ジョンマンはサザンカと向き合い、試合をしていた。

 もちろんジョンマンは先日のように四つのスキルを発動させているのだが、それでも先日からは大きく異なっている。


「エクスプロージョンボム!」


 ジョンマンの前で、強力な爆発攻撃が発生する。

 ジョンマンは爆発の威力が低い場所に移動するが、それでも爆発をくらっていた。

 とはいえ、結界などで爆発の威力を上げているわけではないので、有効打には達していない。


「ソニックスラッシュ!」


 しかしそこで、追撃の斬撃が入る。

 爆発が発生しているのだから視界は光と炎に包まれており、なおかつ『強い魔力』が視界を埋めている状態でもあった。

 だからこそ、ジョンマンはその斬撃を回避することができず、受け止めるしかなかった。


「そう、それでいい。弱い魔法では、強い魔法をごまかすことはできない。それなら強い魔法を牽制にして、本命の強い魔法を隠せばいい。その分消費は大きいが、確実に削ることができる」

「ええ、そうですね。それでは、続いて……!」


 サザンカは続いて、巨大な泡のような魔法を出現させた。

 彼女はそれを前方に放り投げる。


禁球泡装(きんきゅうほうそう)!」


 ゆったりと飛ぶ、泡のような魔法。

 それは空中で破裂し、周囲に飛び散った。


 それらは地面にこびりつき、先日の念々土壌のようにジョンマンの陣地に残る。

 だが違うことが、二つある。一つは念々土壌と違って時間経過と共に消えていくことであり、もう一つはサザンカが魔法の維持を止めても残っていることだ。


 残留性の強い魔法。

 例えば相手を炎上させ続ける、火炎放射器のような魔法がある。

 これは使い手でも途中で消せない危険な特性を持っているのだが、逆に言って使い手が魔法を維持しなくてもしばらくは残ることを意味している。

 もちろん数秒で消えるのだが、その数秒間でできることはいくつもある。


「ショックウェーブ!」


 放つのは、衝撃波。

 殺傷能力がない代わりに、効果範囲は広く詠唱も短くて済む。

 何より、相手を押し出す効果がある。


 ジョンマンはそれを踏ん張って耐えようとするが、地面に残っていた禁球泡装が飛び上がってジョンマンの体にこびりついていく。


「有刺鋼鉄茨網!」


 それを経てから、ジョンマンの体に拘束の茨が絡みつく。

 ジョンマンは消えていく粘液と茨によって拘束されていたところで……。


禁球泡装(きんきゅうほうそう)!」


 更に、粘液が追加された。

 今度は全身がしっかりと泡に包まれ、もはや顔も出せていない。


「食らいつけ、虎喰い犬!」


 そこまでいって、ようやく本命の、強力な拘束魔法が発動した。

 ジョンマンの体はしっかりと固定され、完全に身動きが取れなくなっていた。


「そう、それでいい。残留性の強い魔法は、一度発動したら維持に意識を割かなくていい分、畳みかけには有効だ」

「で、ですが……その分魔力を消費するのは泣き所ですね……!」

「前回みたいに、当てることもできずに終わるよりはいいだろう。相手が魔法対策を練っているのなら、多少の無駄は覚悟してしかるべきだ」


 試合、というよりは一種の型稽古に近かったのかもしれない。

 ジョンマンとサザンカは、申し合わせて戦いを切り上げていた。

 ジョンマンは鎧に傷がついているがほぼ疲れておらず、一方でサザンカはかなり疲労していた。

 しかし先日と違って、サザンカは大いに手ごたえをつかんでいた。


「魔力の消費が気になるのなら、弱い魔法を重ねて、もっと手順を踏んで、相手をじっくり追い込んでから強いのを撃てばいい。それも難しいなら、魔法のコンボを流れるように、連続して出すことだな」

「そうですね……私は魔法の合わせ技が破られるたびに思考を停止して、貴方に体勢を整え直す時間を許していました。もっと連続して撃っていれば……」

「俺のような相手を想定していなかったってだけだろ。それに序盤は俺のスキル構成を理解していなかっただけだしな」


 ジョンマンとサザンカの試合を、二人の生徒や弟子たち、トラージュも見ていた。

 皆が一様に思うことは……。


「サザンカ先生がどんどん強くなっていく……」


 元より多くの魔法適性があり、かつ多くの魔法を習得していて、それらを強化する術も身に着けている。

 そんな一流の天才魔法使いであるサザンカがジョンマンに敗れたのは、実戦経験が足りないから。

 ジョンマン自身がサザンカにアドバイスをすることで、その短所は急速に補われていった。

 おそらくもう少し練習を重ねれば、彼女はより一層強くなるだろう。


「これが、一流だ」


 そうして呆れている面々に、ジョンマンは説いた。


「マーガリッティちゃんがそうであるように、アラーミ・ティームがそうであるように……真の一流は、強くなる機会を逃さないものだ。その意味では残念だが特進クラスの生徒は一流ではない。まず、なる気がないからな」


 なんとも残酷な言葉だが、サザンカも何も言えない。

 普通なら否定するところだが、実際に一流の修行を体験して断念した生徒達を擁護することなど、誰にもできないだろう。

 した場合、彼らが惨めになるだけだ。


 だがここで、それに近いことができる者がいた。

 同じく一流を断念した、トラージュである。


「……ノォミィ。私は貴女に謝らなければならないようです」

「お母さま……」

「私は今回、一流になり得る機会に恵まれました。ですが、自分の意欲不足によって、それを自分の意志で諦めました。私の意欲など、その程度です」


 トラージュはすでに結構な年齢だが、それでもすでに一人前の魔法使いではある。

 ここから無尽蔵の魔力を得れば、一流を目指すことも夢ではないだろう。

 少なくとも、大きく成長できることは確かだ。


 だが彼女は断念した。

 体がキツイとか体が壊れたとかではない、管理される生活に耐えられなかったのである。


 つまりは、しんどいからもう無理なのだ。

 ぶっちゃけ、気合と根性が足りないだけである。


「……私は一流になることができず、その夢をマーガリッティや貴方に託してきました。いえ、押し付けていましたが……その意欲がこの程度だったのですから、まったく恥じるばかりです」

「お母さま」

「私を許してください」


 才能がないので、魔法使いになれなかった。

 才能がないので、一流になれなかった。

 それは先天的な理由なので、仕方がないのだろう。


 だが気合や根性が足りないので一流になれなかった、というのは自分の問題である。

 それを非であると認められる程度には、彼女も恥を知っていた。


「マーガリッティも、そうです。私の我儘を押し付けてしまいました……貴女は貴女で、自分の道を決めなさい」

「……はい」


 特進クラスの生徒たちも、トラージュの変節に同調する。

 結局自分が悪い、自分が劣っているのだ。


「いやあ、よくわかってくれたようで何よりだ。世の中には『自分が劣っている』と認められない奴が多くてなあ……それに比べて、君たちは立派だ。しょうがないだろ、なんて開き直りに逃げないからな」


 この世には、『お前才能ないよ』というあきらめを促す言葉がある。

 普通なら絶望的な宣告だが、考えようによっては認めている証だ。

 少なくとも、今の特進クラスやトラージュには、それを言われるだけの価値がない。


「さて……先日も言ったが、君たちには得意分野があり、それは大いに伸びてきた。だがそれにも成長曲線があり、成長限界がある。一般的な魔法使いの十倍に伸びることはあっても、二十倍、三十倍になることはない。これは大魔法を習った場合も同じだ」


 と、ここでジョンマンは話の流れを変えた。

 特進クラスの生徒たちが自分を認めたことで、話を進められると考えたのである。


「で、どうする? 諦めてふてくされるか? もうこれで十分だからそれでいいだろ、と開き直るか?」


 このまま彼らを帰せば、そうなるだろう。

 だが今この場で、他人からそういわれると反骨心も沸きかける。


「それはちょっともったいない(・・・・・・)


 ここでジョンマンは、先日試合をしたコエモ、オーシオ、リョオマの後ろに回る。


「彼女たちは、一流を目指している。その彼女たちは君たちの代表を相手に、全力で臨んだ。にも拘わらず、一流を目指してもいない君達の代表に……辛勝しかできなかった。全然すっきりしない結果だった。なぜ?」


 ここでジョンマンは、エビデンスを掘り返す。

 ジョンマン自身の快勝で忘れかけていたが、弟子と生徒の対決は、本当にいい線を行っていたのだ。


「君たちが既に強いからだ。他の理由は一切ない、そうだろう?」


 ジョンマンの言葉を誰よりも雄弁に認めていたのは、三人の弟子の表情だ。

 試合に勝って勝負に負けた、という気持ちが顔に現れている。


「カイゴちゃんの防御魔法は、三人の猛攻をしのぎ切った。ノォミィちゃんの攻撃魔法は、二人を倒し一人にも大ダメージを与えた。ケエソマちゃんの拘束魔法は、三人を確かに抑え込んだ。君たち特進クラスのコンセプトは、禁呪を使っている戦士にも通じたわけだ」


 ジョンマンの賞賛もまた、誰かが否定できないことだ。

 既に証明されたことなのだから、むしろ胸を張れる。


「ではどうするか? その答えは、既に君たちの中に有る」


 そういってジョンマンは、ケエソマの方を見た。


「ケエソマちゃん。君はなんで、二種類の拘束魔法を習得したんだ?」

「え、え、え……え?」

「七色の茨も有刺鋼鉄茨網も、片方でも十分に強力な魔法だ。なぜ両方を修めた?」

「え……え、えっとぉ……」


 もしかして自分が褒められる流れなのでは?

 そう思えばこそ、ケエソマは照れてしまった。

 それを肯定するように、ジョンマンは笑って話の続きを待っている。


「わ、わたすぃ……は、七色の茨をぉ、さいしょにぃ覚えたんですけど……七色の茨はぁ、ちゃんと刺さらないと効かないのでぇ……じゃ、じゃあ刺さらない相手が『よし、防御固めれば大丈夫だろ』と考えるだろうって……考えてぇ……だからあ……じゃあ防御固めている相手にも有効な拘束魔法を覚えればぁ……その、勝ちを確信してるやつをぎゃふんと言わせられるかなって……」


「それだ」


 なかなか性格の悪いケエソマだったが、ジョンマンはその悪さを褒めた。


「ケエソマちゃんは自分の習得した魔法が通じない相手を想定し、それに対する準備をしていた。前回の試合では、まさにそれが活きたわけだ。素晴らしい」

「へ、えへへへ……」

「戦略的にも戦術的にも、君は最善を尽くしきった。一流とはまた違うが、君は立派な魔法使いと言えるだろう」


 ジョンマンの評価に、誰も異論を挟まない。

 対戦した三人も、トラージュもサザンカも、彼女がMVPだと認めていた。


「彼女の場合は、近い系統の二種類の魔法を、超強力な域にまで高めていた。他の子たちも、これに近いことができるだろう」


 ここでジョンマンは、ノォミィを見た。


「ノォミィちゃん。君は早く呪文を唱えるのが苦手で、しかも大威力の攻撃魔法しか使えないんだな?」

「はい!」

「じゃあ超初歩的な基本の攻撃魔法を習得しなさい。習得難易度が低くて、適性が低い子でも比較的簡単に覚えられる……威力も射程もそこそこのを、一つ」

「え?」


 そこからさらに、カイゴの方を見た。


「カイゴちゃん。君は防御魔法以外は使えないんだったね?」

(は、はい……)

「じゃあシールドバッシュ系の魔法を一つ覚えなさい。相手にダメージを与えるとかじゃなく、接近している相手の体勢をよろめかせるやつを」

(へ?)


 ここまで言って、全員に聞く。


「さて、この二人がその魔法を習得していた場合……先日の試合はどうなっていた?」


 ここで全員が、先日の試合の、最終段階を思い出す。

 コエモとリョオマは戦闘不能に陥り、オーシオもギリギリ戦えるだけだった。

 特進クラスは三人の弟子をそこまで追い詰めたが、ケエソマが魔力切れを起こしたため、ノォミィの攻撃魔法を当てる手段が無くなり、降参するしかなくなった。


 だがもしも、ノォミィに他の攻撃魔法があれば? カイゴに相手をよろめかせる手段があれば?

 大いに弱っていて体力もぎりぎりだったオーシオを、倒せたかもしれない。


「……イケる?」

「そう、君たちは勝てた。ノォミィちゃんの火力不足で負けた、それも真実だがあと一押しで勝てたんだ。その一押しを用意すればいいだけだ」


 ジョンマンの説明を聞いて、特進クラスの生徒たちは『学び』を得ていた。

 いや、学びはすでに得ていた。それに気づいただけなのだ。


「君たちの間違いは、特化型が専門家でなければならない、という思い込みだ。君たちがすでに強力な魔法を有しているからこそ、しょぼい基本魔法を一つ覚えるだけでも結果が変わるんだ」


 自慢できるほど強力なメインウェポンが一つあるからこそ、半端で誰でも使えてまったく自慢にならないようなサブウェポンでも『牙』になる。

 その説明は、先日の試合を検討するからこそ、とてもすんなり頭に入った。


「なんでも極めればいいってもんじゃない。極めるのは一つにして、他に有用な魔法を必要な分だけ修めればいい。それが君たちの目指すべき、特化型魔法使いってもんだ」


 フレーム流やタワー流がそうであるように、魔法ビルドとは試行錯誤を要するもの。

 だがそれを考えることこそ、開拓者の務めというものであり、楽しさというものだ。


「一流になれないとしても、身の程を知ったうえで、自分にできる範囲で自分を高めればいい。そうしているうちに成長して、そして必要性を感じれば、また一流に再挑戦することもできる。その可能性を今潰すのは、本当にもったいないぞ」


 ジョンマンの言葉を聞いて、特進クラスの生徒たちは自分の得ている『魔法』を見つめ直す。

 これだけは誰にも負けない、という自分の育てた宝を。

 サザンカにもマーガリッティにも負けない、自慢できる長所を。


 これを、活かす魔法を得る。彼らはこの上ないほどに『必要性』を感じていた。

 自分のビルドとは、そういう憧れを形にするものである。


「でだ、サザンカ先生。俺は『ああしたらいい』『こうしたらいい』としか言えないが、アンタは直接指導できるんだろ?」

「……はい、私は一流の魔法使いですから」

「けっこう!」


 かくて、特進クラスの生徒たちは自信を取り戻していた。

 一流の魔法使いにも、一人前の魔法使いにもなれない。志してもいないし、目指してもいない。

 彼らが目指すのは、あくまでも自分の才能に沿った『特化型魔法使い』だ。

 その確固たる実像を得て、盛り上がっていた。


「でだ、マーガリッティちゃん。今のうちに話しておくが……俺はすでに、君のビルドをある程度考えている」

「私の、ビルドですか」


 そうしている中で、一流の魔法使いになり得るマーガリッティへ、ジョンマンは想像するビルドを語った。


「竜宮の秘法は、がっつり鍛える。だがエインヘリヤルの鎧や浄玻璃眼、圧縮多重行動は最低限でいいと思っている。君はすでに凄い魔法使いだし、それを活かすなら半端な戦士スキルを伸ばしきる必要はないからね」


 同じビルド構築だとしても、各スキルの練度がまったく同じである必要はない。

 ジョンマンは五つのスキルをまんべんなく伸ばし、かつそれらを合わせた戦いを極めているが、弟子であるマーガリッティも同じである必要はなかった。


「イメージとしては……

『第一スキル エインヘリヤルの鎧 低』

『第二スキル 圧縮多重行動    低』

『第三スキル 浄玻璃眼      低』

『第四スキル 竜宮の秘法     高』

『第五スキル 星命の維新     高』

『第六スキル 汎用魔法      高』

『第七スキル 大魔法       高』

……みたいな感じ? そういうビルドを考えていた。まあ先のことだけどね」

「……確かにそれは、強力で私に合っていると思います」


 マーガリッティは自分の完成予想図を聞いて、すこし胸をときめかせた。

 そのうえで……。


「ですが……まずは竜宮の秘法を修めたうえで、母やサザンカ先生と相談したい。そう思います」

「……それでいいと思うよ」


 ジョンマンの提案が間違っている、とは思っていない。

 だが今決めてしまうのはもったいない気もするし、相談した方がよい結論になる、とも思えた。

 今盛り上がっている『クラスメイト』や『恩師』を見ると、そう思えるのだ。


「ジョンマンさん……ありがとうございました」

「ん……力になれたようでよかったよ」


 そしてマーガリッティは、万感の思いをこめて、『ありがとう』と言ったのだった。


「あ、あの~~……ジョンマンさん、だぜ……」

「ど、どうしたの、リョオマ君?」

「俺は~~!? 貴方の弟子である、俺にアドバイスをくださいましだぜぇえええ!」


 なんかいい感じになっている特進クラスたちを置いて、リョオマは泣いていた。

 このままでは結局、エンジョイ勢に勝てないという結論になりかねないからだ。


 エンジョイ勢がエンジョイ勢のまま、自分より強くなっていく、というのは悲しいことである。


「いやあ……君の場合も、他のスキルの練度を調整して、第六スキルを得るとかで解決できると思うよ。俺はまったく指導できないから、別の人に習う必要があるけど」


 そして悲しいことに、ジョンマンは指導者としてサザンカに劣るのであった。

 対処法を知ってはいても、指導はできないのである。


「今更ジョンマンさん以外に教わりたくないですぅだぜぇ……」

「その姿勢は一流じゃない気もするが……というか君のお父さんも、他のスキルを一つや二つ持っていると思うが……」


 結局のところ、アリババ40人隊とセサミ盗賊団の『基本ビルド』は戦闘特化ではない。

 戦闘に限らず、ありとあらゆる局面で『それなりに何とかできる』というスタンスだ。

 ジョンマン自身が強いのは、スキルビルド以上に本人の経験が周囲と段違いなだけである。

 であれば、同じビルドを学んだだけでは、ジョンマンの域に達せない。

 まして成長した特進クラスに勝てるかと言えば……。


「よし、じゃあ第五スキルでぶっ飛ばせ。身に纏うタイプの発動法もあるから、一気に試合を終わらせられるぞ! それでなら、今回のルールでも勝てるしな」

「なるほどぉ!」


 第五スキルで全部解決するのだった。

 そうどんな問題もガチ勢が行きつけば、開幕ブッパに至るのだ。

 さすが最強禁呪、禁止にもほどがある。


「星命の維新を身にまとえば、攻撃魔法をかき消して、拘束魔法を消し飛ばして、防御魔法も吹き飛ばせますね! 俺がんばりますだぜ!」

「そうしたら対戦相手も死ぬが……その意気だな!」


 盛り上がっているリョオマの声を聴いて、特進クラスの面々は一気に消沈していた。

 そう結局、第五スキルに対抗する手段は一つもないわけで……。


(やっぱり禁呪はルール違反だと思う……)


 ガチ勢(いちりゅう)がその気になったら勝てない、試合をするべきではない、という学びを得たのだった。

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― 新着の感想 ―
何かをやる時、無意識に一流を目指さなきゃってイメージしてしまうけど、 普通の人が普通に何かをやる範囲なら第一目標は一人前の方なんだなって区切りがついた。
「エンジョイ勢に負けちゃって、ねえ今どんな気持ち?」からの「やっぱり一流には勝てなかったお」
[一言] 身も蓋もないけどそのとおりでしょうね。開幕ブッパ。先日の試合でノォミィさんだって試合開始と同時に最大魔法を撃ちこんだのだし。より強力にやろうとしているだけで
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