6:零の自己紹介と汚れている俺の心
そんなこんな(?)で女子たちの自己紹介が無事に終わる
あづみちゃんとさつきちゃんはスラスラと自己紹介していたし、蓮華ちゃんは自己紹介すると「きゃ~!」とか言われてた
うん、彼女ちょっとボーイッシュな感じだからね…ちょっと理解出来る
前世でいう所の多加良塚の男性役の人的な感じと言えば分かりやすいかな?
「はい女子の皆さん、自己紹介をして頂き有難う御座います。それでは次に男子の方から自己紹介をお願いします」
羽倉田先生がそう言うと同時に女子たちの視線が一斉に俺達に集まる
うん…何か怖い…
言うなれば肉食獣に囲まれた草食動物的な…
あの娘なんて目がギラギラしている感じが」するもんな…怖いわ
「それでは窓際の…『朝焼 公理』くんからお願いします」
「は、はははいぃぃぃーーーー!!!」
朝焼くんは叫ぶかの様にそう返事すると席から立ちあがる
……あ、椅子が倒れた
まぁ、有る有るだけどね
「あ、ああ『朝焼 公理』ですっ!!しゅ、趣味はど、読書で…ひ、人と話すのがに、苦手ですっ!!ぼ、僕の事はい、いないものとしてください!!」
ーーーザワザワーーー
朝焼くんの自己紹介に対してみんなザワザワしている
まぁそりゃそうだろうよ…こんなん拍手して良いのか分からんやん…
精神年齢おっさんの俺ですら「え?」ってなったんだから皆もそうだと思うんだから大人びているとは言えこの世界の女子でもそう思っているだろう…
「…朝焼くんってシャイなのかな?」
「うんうん…そんな感じよね」
「でも気を許した相手には凄く優しいと思う」
「確かに…「私が守ってあげなくちゃ!!」」
おぉう…前の席の女子からヒソヒソ声が聞こえるが、俺が思っている様な反応じゃなかったわ
なんだろう…この無条件に男ならば許してしまいそうな空気感…
この世界に慣れたとはいえ、この庇護対象である男に対しては全て許してしまいそうな感じは未だに慣れない
だがまぁ、周りの女子から好意的に見られているという事は悪い事じゃないのだと思う様にしておこう
「……朝焼くん有難う御座います。ただこのA組に在籍している以上は居ない者としては扱いません。だから朝焼くんも少しずつ誰かと話してみてくださいね。それでは次に香我美くんお願いします」
「おう!!」
羽倉田先生に呼ばれて零が勢いよく立ち上がる
イスが倒れるのも一切気にしていないその素振り…恐ろしい子…
「俺様の名前は香我美 零だ!!隣のクラスに妹の雪が居る!!趣味…趣味…趣味は夜人と遊ぶ事だな!!宜しくな!!」
零は堂々と言い放ちながらダブルピースしてアピールしている
ダブルピースって…ダブルピースって…汚れた心のおっさんは複雑だよ…
そんな事を思いながら得意満面な表情を浮かべる零を俯瞰的な目で見ていた




