5:自己紹介って何か緊張するよね?
「皆さんチャイムは鳴りましたよ!!早く席についてくださいね!!」
そんなこんなでワチャワチャしている間にチャイムが鳴っていたらしい
凛とした声が聞こえると共に眼鏡を掛けた知的な女性の声が聞こえた
チャイムの音は多分、女子の黄色い声でかき消された説…あるな
そんな事を思いながら改めて教室を見渡すと、一番後ろの席は俺を含む男子が陣とって、それ以外の席は女子たちが座っている
(このクラスの男子は4人か…)
俺、零、アルスともう1人、大人しそうな男子が1番窓際で萎縮しながら座っていた
そして俺達の後ろには麗さんと若葉さんを含む護衛官の方々が直立不動で立っている
うん…なんか参観日みたいだなと思ったのは内緒だ
「皆さん、3年生への進級おめでとうございます。これから1年間担任を致します『羽倉田 奏』と言います。皆さんはこれから当学校の小学3年生として1年生、2年生の子には優しく、上級生の子には礼儀正しく接してください」
「「「「は~い」」」」
「それでは折角ですので皆さん簡単に自己紹介をお願いします。自己紹介なんてという子もいるかもしれませんが、折角同じクラスになった仲間達です。今まで知らなかった子と仲良くなるチャンスでもありますのでお願いします。それではそちらの席の方から順番にお願いいたします。男子は女子が自己紹介した後にお願いしますね。」
「「「「は~い」」」
羽倉田先生はそう言いながら、生徒たちに自己紹介を促す
なんか小学校の先生なのにバリキャリ感がでているのが面白いなぁ~
「阿左美 望、趣味は読書です。これから1年よろしくお願いいたします。」
ーーパチパチパチーー
1番最初の娘が自己紹介を始める
毎年やるけど、どうにも慣れない…
でも噛まずにスラスラ言えるのは凄いなぁ~
「兎小石 叶……趣味はネットサーフィン…よろしく」
ーーパチパチパチーー
へぇ~…小学校3年生でネットサーフィンとかするんだ
最近の子は凄いなぁ~…
そんな事を思っていると順々にクラスの娘たちが自己紹介をしていく
それを聞きながら俺もパチパチと拍手をしていると、横から猛烈な視線を感じた
「…???」
「…………」
何かな?と思って横を見ると、アルスが呆けた表情で俺を凝視していた
呆けているのに凝視とは?と思わなくは無いが、事実なのだからそれ以上に表現する事が出来ないなぁ…
「えっと…アルス君、どうかしたの?」
「っ?!!え、い、いや…」
他の子の邪魔になったら悪いと思い、小声でアルスに声を掛けると我に返ったかの様な表情を浮かべた
「い、いや…す、すまない。女子の自己紹介に拍手をする男を見るのが初めてで…」
「そう?自己紹介はクラスの皆に向けてしてくれてるんだし、僕らもクラスの一員だしね」
「な…なるほど…」
「それに零くんも…ほら」
そう言ってアルス君の奥にいる零へ視線を促すと零もちゃんと拍手をしている
うん…零はちゃんとした子に育っておっさんは嬉しいよ
「ね?男子とか女子とかは関係ないよ。男子だろうと女子だろうとクラスの一員なんだから」
「そっか…うん、そうかもしれないな」
そう言ったアルスは納得した様な表情を浮かべていた




