4:念願の男友達??
(しっかし…男の子は皆最後尾の席なんだなぁ~…」
指定された席に座りながら座席表を眺めていたらふと気が付いた
俺の席は一番後ろの廊下側だ
多分名字が「八剱」だからなんだろうな…
因みに零は窓から2番目の席になっており、俺とはもう1人の男の子を挟んだ状態になっている
…借りてきた猫みたいな物静かな感じでちょっと面白い
(誰か知っている人の名前は無いかなぁ~、と…)
先生が来るまでの間、あづみちゃんと蓮華ちゃん、さつきちゃん以外に見知った名前が無いかを確認してみる
俺も既に小学校3年生だ
保育園メンバー以外にも見知った子は何人かはいる
まぁ、仲良くなった子は少ないけれど…
(保育園メンバー以外の女の子には警戒されるし、男の子メンバーは我儘な子が多いんだよなぁ~…)
どうやら保育園メンバー以外の女の子は親から世間一般の男子像を説明されているんだろう
こちらから話しかけても凄い警戒される
それでも根気よく話しかけて行けば徐々に警戒心は薄れてくれるんだけど…如何せん時間が掛かる
零以外に話した男の子は我儘な気質の子が多く、出会ったばかりの零みたいな子が多かった
お陰で何度か衝突してしまい、俺は零以外の男子に避けられがちな傾向にある
まぁ、1人だけ仲良くなれたけど…
「あ、君が『八剱夜人』くん?」
「…ん?」
ボケーっと考え事をしている俺に対し、隣の男子がにこやかな表情で話しかけてきた
センター分けの金髪に茶色の目をした彼を一言で言い表すのならば『西洋の王子様』といった所だろうか?
零が俺様系ワイルド男子で彼が西洋系王子様…イケメンって何処の世界でも得してるんだろうなぁ~…
…俺?
俺もそれなりに整っている容姿はしているとは思うけれど2人程じゃない気がする
まぁそこは好き好きなんだろうけど、さ
「え~と…八剱くん?」
「あ…ごめんごめん!!ちょっとボーっとしちゃってて…うん、僕が八剱夜人だよ。君は…え~っと…」
「そうなんだ。突然話しかけちゃってごめんね。僕の名前は『アルスァンク=黄秋』、この国では黄秋 アルスァンクになるのかな?」
「黄秋くん…だね。宜しくね」
「ノンノン、僕の事はアルスと呼んでくれ給え」
「あ、うん…じゃじゃあアルスくん、宜しくね」
「「「「きゃ~~~!!!」」」」
彼…アルスがそう言いながら差し伸べてきた手を俺も握る
するとそれと同時に席の前方から黄色い声援が響き渡る
うん…気持ちは分かるよ
キラキラの王子様が一般パンピーに優しくしている時って、いつもよりキラキラしてるよね
…まぁそこにいる一般パンピーは引き立て役になって若干の虚無感を味わうけどさ(←俺)
「お、夜人!!新しい友達が出来たのか?!俺様は香我美 零だ!!夜人のライバルだ!!宜しくな!!」
「あ…うん、香我美くん…だね、僕はアルスァンク=黄秋だよ。こちらこそ宜しく」
「「「「「「きゃ~~~!!!」」」」」
零はアルスァンク君、いやアルスのもう片方の腕を掴んで無理矢理握手する
するとそんな俺達を見て周りの女子たちがさっきよりも一回り大きい声で黄色い歓声を叫びだす
まぁ…俺様系ワイルド男子と西洋系王子様男子の握手はクるものがあるんだろうなぁ…くすん




