1:何だかんだで小学生
「「「行ってきま~す!!」」」
朝の身支度を終えた俺と月姉さん、母さんは誰もいなくなる家に向かってそう言って扉を閉める
保育園を卒業してはや3年、俺は小学校3年生になった
時間の流れが速いって?
ふっ…人生なんてそんなもんなのさ
俺の精神年齢も33歳…だけど最近は精神も身体に引っ張られている様な気がしなくもない
因みに月姉さんは5年生、棗ちゃんは6年生だ
「じゃあ2人共、気を付けてね~」
「「は~い」」
道の途中で母さんと別れて、俺と月姉さん、麗さんは通学路を歩いていく
最初俺は小学生の間も車で行き来する生活になるのかと思っていたのだが、小学校からはどちらでも良いらしい
曰く、小学生になれば分別がつくだろうし護衛官がいるのであれば問題ないだろうとの事だ
俺は勿論徒歩を選んだ
毎日行き来するだけの生活よりもちょっとした事でも彩りが欲しいのだ
ただ、小学生の男の子でも7割が車での通学からスタートするらしいが…
まぁ保育園に行かない男の子からすればいきなり放り出されても怖いのかもね
ただ小学校3年生にもなると4割が徒歩での通学になる
私立小学校という事でやむを得なく車で通学している子もいるにはいるが、男の子に関しては大体面倒とかそういう理由だ
「夜人くん、今日から小学3年生だね」
「だね~…仲の良い子と同じクラスになれば良いんだけど…」
「私はずっと夜人くんと同じクラスになれない…」
「月お姉ちゃんとはずっと一緒にいるじゃん」
月姉さんの言葉に返答しながらも切にそう思う
あ、そうそう今日が小学3年生の始業式なのだ
大事な事?俺の学年なんて然程気にしないよね?
因みに1年時は零とあづみちゃん、2年時は零と雪ちゃんとりんちゃんと同じクラスだった
まぁクラスが違っても保育園で培った絆はそうそう薄れる事も無く、蓮華ちゃんやさつきちゃんやメイちゃんとも仲良くやってる
ただ…今のところ零とばかり同じクラスなのが解せない
嫌だとかそういう訳じゃなく…ねぇ?
「おーい夜人~!!!」
そんな事を考えていると当の本人からお呼びがかかった
声のする方へ目を向けると、元気一杯な様子の零と御淑やかな雰囲気の雪ちゃんが見えた
「零くんと雪ちゃん、お早う!」
「おうおはよ!!」
「夜人くんと月さんおはようございます」
「雪ちゃんおはよう」
「つ、月さん!俺は俺は?」
「はいお早う」
零が月姉さんに無視されたのかと思ったらしく焦りながら声を掛ける
…零って何処となく月姉さんに憧れている様な節があるんだよなぁ~
別にそれに対して思う事は無い
…いや嘘だな
ちょっとだけ嫉妬というか、モヤッとした気持ちはある
だけど月姉さんは俺が入学したと同時に俺の婚約者である事を喧伝している為、零としてもそこら辺は弁えているだろう…多分…きっとだけど
そう言う意味では零が雪ちゃんに話しかける男(俺含む)に対して嫉妬心を出しているのは致し方無いのかもしれないな
そんな事を思いながら6人で俺達の通う【私立四季小学校】の校門を潜るのだった




